楽を手放したらやってきたもの
2人目の妊娠をきっかけに、30代は『手料理が得意な人』として生きてみようと、自炊をする生活を始めて早9ヶ月。
25歳で結婚し、料理は面倒、大変。とずっと思っていたし、当時は手料理よりも外食や惣菜が多く、料理の時間はかからないから時間の節約にはなっていたと思う。
料理の時間はかからないから、自分のための時間を多く使えて好きなことをする時間はたくさんあって、仕事から帰ってきたらさっと食事を済ませ、あの頃何をしていたのかあまり覚えていないが、確かソファに座りSNSや海外ドラマ、映画を観ていた。日々の仕事のストレスや疲れをこれで解消しているつもりだった。
しかし、2人目の妊娠を機に食事を見直すことを決めたことで『自分で料理を作るって楽しい、面白い』と知った。
手料理をする生活を始めてからは、週5日は作り2日は楽をする5:2のバランスがちょうど良いと感じながら過ごしていた。
つまり、少しずつ日々の手料理の回数を増やしていったわけだけど、最近ではさらに回数を増やしてみたら、今のところ控えめに言っても、わたしには『良いことしか起こってない』
食材の味がわかり食事が楽しい
1番は、味付けがなくても食材の美味しさに気づけるようになったことである。
あらためてそう感じたのは、使う塩を食塩から海塩に変えた時のこと。
今までは食に興味がなかったから、食材も安いものを選んで購入し、安い食塩を使っていた。
どれだけ安く買えるか、値段を1番に気にしていたし味覚もそれほど良くなかったから味も気にならず、安くてお得な食材を常に選んでいた。
今振り返ると、安い食材で済ませることができていたから節約にはなっていたと思う。
けれど、手料理をするようになったわたしが節約と引き換えに得たものは、自分の味覚の変化にあった。
かつては、添加物や砂糖など含まれているものを全く気にしていなかったから、味の濃いもの、添加物まみれのものをたくさん食べていた。ジャンクフード、お惣菜ばかりを食べ、そういったものでお腹を満たそうとしていた。
しかし、お腹は満たされても食べた後は頭や体が重く、気分もなんとなく悪く、だるさも残っているし、ただお腹を満たすだけになっていた。
ところが、自分で質の良い食材を買い料理を作るようにしたことで、味をしっかり感じることができるようになり、食事を楽しめるようになったり、添加物まみれのものは美味しくないと感じたり、味の違いに気づけるようになったり、お腹を満たすだけじゃない楽しみ方をできるようになったのだった。
もちろんお腹も満たされるけれど、体に悪いものを摂り入れてないので、むしろ心も体も良いという感じ。
食べた後の罪悪感もないし、添加物による体のだるさもないから、自分の体調が良くスッキリしている。
味覚がよくなることによって、食事の時の会話も変化した。3歳の息子も味覚が良く、どんな味がするかの会話を楽しみ、マインドフルに食事をすることができている。
食材に興味を持つことでしっかり噛んで味を感じ、少量でも満腹を感じることができる。早食いにもならないし、食べ過ぎにもならないから消化にも優しい食べ方になり、つまりは暴飲暴食を防ぎスリムな体型になっていき、味覚がよくなるだけでなく健康的な体になっていくのだ。
この流れが本当に心地よくて、そうだ、わたしは楽をして時間とお金の節約をするかわりに、新しくこれを手に入れたんだ、という実感があった。
夫は平日はこの生活は難しいが、土日や休日に一緒にこの生活を続けて9ヶ月になる。
出かけることが好きで外食が多かったわたしたち夫婦が子どもが産まれたことで手料理を楽しむ家族として、これからの人生をどんなふうに楽しんでいくことになるのか。わたしたちが1番楽しみにしているのかもしれない。
いずれにしても、楽だった生活と手を切ったとしても、手間の中にも、それ以上の価値があるものが入ってくることもわかった。
それを知っていることで、この先も軽やかに変わっていける気がする。