アデサニヤはここで踏み留まることが出来るのか?
今週末に開催されるUFCファイトナイト・サウジアラビア大会のメインイベントにミドル級2位のイズラエル・アデサニヤが出場する。
このナンバーシリーズレベルの大会でアデサニヤの対戦相手を務めるファイターは、ミドル級5位のナッソーディン・イマボフ。
構図的には連敗中のアデサニヤが3連勝中のイマボフを迎え撃つ形となる。
しかし絶対王者という立場から陥落し、連敗を喫している今のアデサニヤにかつての勢いは無い。
虎視眈々と王座を狙う上位ランカーからしたらネームバリュー・ランキング共に優れているアデサニヤは、かなり美味しい存在になっているのかもしれない。
だからと言ってアデサニヤが簡単に攻略出来るファイターかというとそうではない、上位のランカーであっても苦戦の末に敗北することも十分にあり得るだろう。
しかし、不安要素や弱点が露呈した今のアデサニヤには以前ほどの脅威を感じないのもまた確かだ。
簡単ではないが、圧倒的でもない。
今のアデサニヤはそれぐらいの状態にあるのではないかと思う。
なのでこのタイミングでアデサニヤに挑戦できるのはチャンスであるのと同時に、アデサニヤにとっては間違いを正すチャンスにもなっている。
アデサニヤの不安
アデサニヤのスタミナ問題は5Rマッチにおいては致命的なリスクとなっており、後半も頑張れるファイターや若い選手を相手にするとなると、前半にリードを掴んでいたとしても後半でかなり厳しくなってしまうところがある。
また距離のコントロールや反応にも陰りが見え、プレッシャーを掛けられて打撃勝負に持ち込まれてしまうと、受け身になってしまい苦しくなる展開が増えてきた。
年齢的な影響ももちろんあるとは思うが、以前のアデサニヤであればケージ際に追い詰められたところからエスケープして反撃を行なっていくだけの技術と反応があり、それも大きな武器となっていたが、そこのパフォーマンスも落ちて来ているように感じる。
懸念される点やリスクが増え、勝利するために必要な武器の機能性は低下していく、そういった晩年のファイターによく見られる特徴がアデサニヤにも徐々に見え始めるようになっており、このまま行くと勝率の低下は免れないだろうと思う。
だからこそここで勝利を挙げて勢いと気持ちを取り戻していきたいところ。
晩年に突入するアデサニヤ
そのためにはファイトスタイルや戦術そして試合のプランなど、これまでのスタイルの見直しを行い、今の状態で勝てるスタイルを確立していく必要があるのではないかと思う。
しかし、これまで培って来たものに変更を入れて活用していくのは簡単ではない上に、上手く機能するかどうかも分からないとなると、結果的に自信が持てるスタイルへと落ち着いていくのが自然な流れになると思う。
なので細部に変更を加えていく形で調整していくことになるのではないかと思われる。
果たしてアデサニヤは連勝中のイマボフを退けて新たな「強さ」を見せることは出来るのか、そして待望の勝利を掴んで連敗を脱出することが出来るのか。
ここで違いを生み出せるかどうかでアデサニヤのファイターとしての晩年は変化していくことになるのではないかと思う。
「再び息を吹き返す晩年のファイター路線」に入るのか、それとも「ずるずると落ちていく晩年のファイター路線」に入って行ってしまうのか。
今のアデサニヤは連敗で勢いを失ってはいるけれど、彼の能力を鑑みると、個人的にはまだまだ輝ける可能性を持っていると感じている。