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消極的な姿勢を誘発するカーフキック

堀口恭司が朝倉海との再戦で使用したことから国内で大きな注目を集めることとなったカーフキック。

カーフキックを貰い続けると足に力が入らなくなってしまうため、打撃を打ち込むための踏み込みが出来なくなってしまったり、バランスを保つことが出来なくなるため、大幅にパフォーマンスを低下させられることになってしまう。

なので蓄積ダメージを与える攻撃手段として非常に有効で、ストライキングに長けた相手に対しても効果的な攻撃となる。

度々このカーフキックが勝負を分ける一撃として機能している場面を目にするが、カーフキックは諸刃の剣であり、危険と隣り合わせの攻撃手段でもある。

カーフキックを読まれてカットのタイミングを合わせられてしまうと、攻撃を放った方が自爆することになってしまい、逆に大きなダメージを負ってしまったりする。

最悪の場合は足を折ってしまうこともあるため、大怪我と敗戦がセットでやってくるといった悲惨な事態に陥ってしまうこともある。

しかし主導権を握るための攻撃として有効なことに変わりはなく、今でも効果的な技として繰り返し使われているのが現状。

なので諸刃の剣と言いつつも、多くの場面では流れを生み出す攻撃として活用されており、基本的には優位を築くことに繋がる攻撃になっていると思われる。

カーフキックで掴んだ優位の危険性

そこで注目したいのが、今回の記事のタイトルになる。

このカーフキックを用いた優位の築き方は、しばしば逆転を許す流れを生み出しており、カーフに致命的なダメージを負った方がフィニッシュを決めるといった劇的な展開を生み出す要因にもなっていたりする。

何故そんなことが起きてしまうのか?

考えられるのはカーフキックでリードを得てしまったが故に、守りに入ってしまうことで、攻撃面での効果的な選択を行えなくなってしまい、消極的な試合展開へとシフトしていくことで、自ら勢いを殺していってしまうからなのではないかと思う。

その一方でカーフキックで手痛いダメージを負った方は、腹を決めてガムシャラに攻めに転じていくことが出来るようになるので、結果的にダメージを負う前よりも思い切った攻撃を展開していくことが可能になる。

「優位を得たことで腰が引けてしまった者」と、「劣勢になったことで逆に力強さを得た者」がぶつかり合えば、形成に変化が生まれるのは必然的であり、それが逆襲を許す流れへと繋がっていくことになる。

カーフキックにはこういった「慢心」「消極的な姿勢」を生み出してしまう要素も含まれており、そこに頼ってしまい攻撃の展開に偏りを生んでしまうタイプのファイターにとっては特に「勝利を逃す」攻撃として機能してしまう傾向にあるのではないかと思われる。

有効な攻撃手段でありながら、使用者をも蝕む甘い誘惑が忍ばされた魅惑的な一撃は、今後も数々の試合でキーとなる攻撃手段になってくるのではないかと思う。

こういった効果的で厄介な攻撃は、やがて競技を次のレベルへと引き上げていくことになる。

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