フルトンVS.フィゲロア、フェザー級で再び。
過去にスーパーバンタム級で2団体王者として輝いた実績を持つスティーブン・フルトンは、井上尚弥とのタイトルマッチに敗れ王座を失った後に階級を上げ、フェザー級に転向している。
スーパーバンタム級で井上に敗れるまでは「無敗の王者」としてテクニカルなボクシングを披露してきたフルトンだが、果たしてその実力はフェザー級でも通用するのか。
その疑問に応えることとなったフルトンのフェザー級初戦は、これからの活躍を占う上でもとても重要な意味を持つ一戦となっていた。
そしてこの一戦はWBAアメリカ大陸フェザー級王者決定戦にもなっており、一応一つのタイトルを掛けた戦いとなっていた。
階級の壁
フルトンがフェザー級でぶつかった最初の相手はカルロス・カストロ。
ここで良い内容を見せて弾みをつけたいフルトンだったが、この試合で彼はカストロに差を付けることが出来なかった。
前に出るカストロを止めることが出来ず、プレッシャーを受け続けたフルトンは主導権を渡さないように攻撃を返し続けてはいたが、その結果ディフェンスの対処が遅れ5Rにダウンを喫することになる。
井上尚弥に負けたとはいえ、あのフルトンが世界タイトルの掛かっていない試合であっさりとダウンを喫した姿を見た時に、改めて階級を上げることの厳しさを感じた。
しかしフルトンは元2団体統一王者らしく意地とプライドを見せて、後半の頑張りで何とかポイントを取り戻し、2-1の判定で辛くも勝利を収めることに成功。
ただ試合内容は今後フェザー級で十分に戦っていけると感じられるようなものではなく、むしろ厳しさを感じさせるものだった。
スーパーバンタム級で通用していたフルトンの技術が体格の大きいフェザー級では通用し辛くなっており、パワーではなくテクニックを武器としてきたフルトンにとってこの「階級の壁」の存在は、以前よりも高いハードルを常に超えていく難しさを要求するようなものとなっている。
井上尚弥と戦い「TKOで敗れる」という大きな衝撃を経験した後の復帰戦が、フェザー級に転向して初めての試合となったので、一番良い状態の時と比べると色々と調子が整っていなかった可能性はあるけれど、フルトンにとってフェザー級が難しい階級となってくるのは間違いないのではないかと思う。
フルトンVS.フィゲロア2
そんなフルトンだが戦績自体は22-1と申し分なく、スーパーバンタム級の元2団体統一王者だったことに加えて、試合内容は振るわなかったものの一つのタイトルを獲得し、フィゲロアが正規王者に格上げされたこともあって、フェザー級2戦目でタイトルマッチが組まれる運びとなった。
相手はWBC世界フェザー級王者のブランドン・フィゲロア。
これはスーパーバンタム級時代に一度組まれたことのあるカードであり、その時は僅差で王者・フルトンが判定勝利を収め、王座の防衛に成功している。
その時の雪辱を果たす機会を得たフィゲロアは、今度は挑戦者ではなく王者としてフルトンを待ち構えることになった。
全く逆の立場となった両者が行う再戦は、話題性も十分なタイトルマッチとなるだろう。
前回はフルトンが勝利を収めフィゲロアのキャリアに初めて黒星を付けたが、今度はフェザー級での勝負になるので、階級に適正のあるフィゲロアの方が強さを発揮することになるのではないだろうか。
適正具合という点でも前回とは真逆の状況になっていると感じる。
実際にフィゲロアはフルトンが苦戦したカストロにもTKO勝利を収めている。
果たしてフェザー級で行われる因縁の戦いはどういった結果をもたらすことになるのか。
フェザー級は井上尚弥が越えていく最後のハードルにもなるので、同じくスーパーバンタム級から転向し、フェザー級で「階級の壁」に触れたフルトンがどういった試合を見せるのかということは、日本のボクシングファンにとっても非常に興味深いデータになるのではないかと思う。