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横綱相撲を展開するアレックス・ペレイラ

ラウントリーJrを倒して王座防衛に成功したペレイラは今回も打撃で挑戦者を圧倒し、改めて自身のKO能力の高さを知らしめた。

序盤のラウンドこそ緊張感のある戦いを見せ、良い場面も作り出していたラウントリーJrではあったが、チャンスで攻撃を躊躇してしまう勿体無いシーンも目立ち、結果的にペレイラに削り切られる状態に着地してしまうこととなった。

一方で終始攻めに出ていたペレイラはこれまでと同じようにキックボクシングの技術を活かした脅威的なストライキング能力で挑戦者を苦しめ続けたが、ミドルキックや背後からの打撃をもらって効かされる場面もあった。

そこからも耐久力という面に不安があるところがあり、そこに勝機があるとも言えるのではないかと思う。

しかし、「攻撃は最大の防御」の権化のようなペレイラは高い攻撃力と同時に防御力も手にしていると言える。

トップファイター達のほとんどがそこを超える前に打撃を被弾し、仕留められてしまっているので、真っ向からのスタンド勝負で攻略するのは非常に難しいのではないかと思う。

可能性があるとすればアデサニヤが見せたケージ際でのカウンターによる一発のように、仕留めきたペレイラの隙を突いていく戦法になるのではないかと思うが、これはかなりリスキーなギャンブルのようなものなので、ペレイラを攻略するための有効な攻撃方法とは言えないだろう。

そもそも立ち技の世界でトップファイターとして活躍していたペレイラにとってスタンドによる勝負は自身の土俵であり、一番強く戦えるところでもある。

MMAの舞台でもそこでは格の違いを見せられるだけの実力があるため、ペレイラはここまでスタンド勝負で圧倒的な強さを見せ、横綱相撲を展開することに成功している。

土俵外での勝負


©︎Getty Images / UFC l Chris Unger

つまりペレイラは、MMAの世界の中でもキックボクシングの勝負へと持ち込ませるだけの武器を持っており、圧倒的優位な状況を対戦相手に押し付けながら勝負をすることが出来るという大きなアドバンテージを有しているので、常に強い状態で上手を取りながら相手に弱い状態を強いることが出来る状態にあるのではないかと思う。

なので総合的な攻撃手段を用いてペレイラを土俵外へと引き摺り出すことが出来なければ、王者優位を覆すことが出来ないのではないかと感じる。

それにはテイクダウンを奪えるだけのグラップリングテクニックや打撃を餌に組み展開へと入っていける戦い方に長けているということが重要な要素となってくるだろう。

ただペレイラはプレッシャーを掛けながら距離を詰めて強打を当ててくるので、飛び込んだり姿勢が崩れるような打撃の打ち方をあまりせず、カウンターのタックルを切ることが出来る状態を保ちながら攻撃を仕掛けているところがある。

その上で組みで崩していくとなると四つ組みから寝かせていく技術にも優れている必要があるかも知れない。

ただ、ライトヘビー級のサイズになると体力も大きく消耗してしまうため、組みの展開で勝負を仕掛けていくとなるとかなりのリスクも伴うことになる。

けれどそれはペレイラの体力を削ることにも繋がるため、そこから有利性を手繰り寄せていくことが出来るようにもなるかも知れない。

WHO'S NEXT?


©︎Getty Images / UFC l Jeff Bottari

重量級でそういったグラップリング力を武器に勝負できるファイターというとジャイルトン・アウメイダが思い浮かぶが、ライトヘビー級のランカーにそれだけの脅威を持ったファイターがいるかというと、どうだろうと感じてしまう。

クリロフはサブミッションで極める上手さはあるが、ペレイラの圧を掻い潜れる力強さという点に不安がある。

逆に破壊力と力強さというところで可能性を感じるのは、現在無敗のムルザカノフとランキング2位のアンカラエフなるのではないかと思う。

クリロフとムルザカノフは11月にぶつかる予定となっているので、その結果にも注目したい。

現状のライトヘビー級ランカーの中でペレイラ攻略を感じさせる挑戦者は出てくるのか。

トップ3の中でまだ可能性を残しているのはマゴメド・アンカラエフになるが、カーフ効かされたブラホビッチ戦のことを考えるとやや厳しく感じてしまうところがある。

これまでペレイラはダメージもラウンド数も抑えることが出来ている上に、防衛戦を意欲的に行う姿勢を持つため、来年も可能性のある挑戦者たちと次々タイトルマッチをこなしていく可能性がある。

なので考えられる挑戦者候補との戦いは近いうちに見られると考えられるので、楽しみにして待ちたい。

キックボクシングからMMAに転向したアレックス・ペレイラがUFCの重量級を非常に熱くしている。


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