[私感・IF] 朝倉海ではなく、堀口恭司がUFCフライ級王座に挑戦したらどうなるのか?
UFC310でフライ級のタイトルに挑戦した朝倉海は王者であるパントージャに果敢に挑んで行ったが、まだその頂きに手を届かせることは出来ず、王者から列に回ることを促される結果となってしまった。
そんな朝倉海という日本のMMAファイターの活躍に注目が集まれば、それに合わせて自然と注目が向けられるMMAファイターがいる。
それがATTに所属する「史上最強のメイドインジャパン」、堀口恭司だ。
現時点でUFCフライ級ランキングの最高位に位置する平良達郎や、ここから活躍が期待される鶴屋怜といった若手の台頭が目立つ中でも、未だに日本最高のMMAファイターの呼び声高い堀口恭司は、現時点でかなり完成度の高いMMAを身に付けている。
そんな堀口恭司が同門であるUFCフライ級王者のアレシャンドレ・パントージャに挑戦したらどうなるのか、それを個人的な予想をもとにしながら考えてみたい。
世界最高のフライ級選手
冒頭でも触れたように堀口恭司の国内評価は最高レベルにあると思われるが、海外ではどうなのか。
アメリカの中でもトップクラスに位置するATTに所属し、RIZINとBellatorの2団体で「バンタム級」王座を獲得した堀口恭司は海外でも国内同様の評価を受けていると感じる。
時代を制し世界最強の名の下に引退したデメトリアス・ジョンソンも以前から堀口恭司のことを高く評価し続けている。
DJ曰く今のフライ級の中で世界最高と言えるファイターは全員ATTにいるらしい。
それもそのはず、ONE Championnshipのフライ級ランキング1位にアドリアーノ・モラエス、RIZINフライ級王者に堀口恭司、そしてUFCフライ級王者にアレシャンドレ・パントージャ、このようにフライ級が存在する著名な団体の王座は現在ATTが牛耳っている状況となっている。
なので当然DJもその3人の名を挙げて語ることになっていた。
そんな面子が日々同じジムで汗を流しているのだから、ATTに敷かれている環境は強力極まりないと言える。
そのATTの中でUFCの王座をかけてぶつかり合うようなことになればどうなるのか、それは当人たちも意識していないわけではないだろう。
世界トップクラスのMMAのぶつかり合い
堀口恭司もパントージャも共に高い総合力を備えているので、勝負するとなったらかなりハイレベルなMMAが展開されることになる。
その中でもストライキングが重要なキーポイントになってくるのではないかと感じている。
グラップリングの能力や引き出しという部分ではパントージャの方が堀口恭司よりも上だと感じるが、対応能力は堀口恭司も非常に高いレベルを備えているので、何の崩しもない状態でグラップリング勝負を展開しても大きな差は生まれないのではないかと思う。
ストライキングでリードを掴む可能性
なので主導権を握るためにはストライキングの勝負でリードし、上手を取っていく必要がある。
そういうことであれば堀口恭司が有利になるのではないかと思ったりもするが、伝統空手のスタイルはパントージャのタックルと非常に相性が悪いと思うので、速さとパワーを併せ持った堀口恭司の打撃をフルで活かしていくのは難しくなるかもしれない。
ただ堀口恭司が飛び込みを見せながらタックルやカーフなど攻撃の選択肢を広く取って、パントージャを翻弄しながらジャブやストレートを混ぜていけば、的確にヒットさせる可能性は十分にある。
堀口恭司の攻撃は、まともにヒットすればダウン必至の一撃となることが予想されるので、デイブソン・フィゲイレード戦の時のようにパントージャを追い詰めていくことが出来るかもしれない。
タフネスとフィニッシュの可能性
しかし、パントージャは非常に優れた耐久力を持っているので、フライの階級でフィニッシュまで持ち込んでいくのは難しいのではないかと思う。
耐久面で言うと、堀口恭司はパントージャとは対照的に不安を抱えているところがあるため、パントージャのタックルに反応して下がりながら打撃をもらったり、飛び込んだタイミングでカウンターをもらってしまったりすれば、一気に勝負が決まってしまう恐れがある。
なので、フィニッシュすることが出来るという部分では堀口恭司よりもパントージャの方が高い可能性を持っているのではないかと思う。
ダメージの入り方に違いが生まれるKO経験の有無
また、拮抗したファイター同士の一戦ではKO経験の有無が大きな違いを生み出す要素となってくることもあるので、そういう意味では堀口恭司の方がやや不利な立場にあるのかもしれない。
ストライキングの土台を崩すカーフキックの重要性
この2人が対戦することになれば、お互いにカーフに対する警戒心は高くなると思うが、カーフキックは相手を誘き出す手段としても役に立つので、ストライキングに注目が向けられる戦いでは均衡を崩す攻撃として重要視されることになるだろう。
堀口恭司もパントージャもかなり積極的なファイターなので、見合う状況を打開するために攻撃を仕掛けていくことが予想されるが、先に堀口恭司が強烈なカーフでパントージャを焦らせて前に出ざるおえない状況を作り出すことが出来れば、打撃を刺しやすい流れに持っていくことが出来るので、ダメージでパントージャを削っていくことが可能となるかもしれない。
しかしそこで簡単に引き下がるパントージャではないので、恐らくタフファイトに引き摺り込まれ、お互いに削り合いながらラウンドを重ねていくような流れになると予想。
その中で山場を作られることなく拮抗した状態を保ち、パントージャの勢いを跳ね返しながら判定にまでもつれることになれば、攻撃力で勝る堀口恭司が接戦を制する可能性が高いのではないかと感じる。
そのパワーと破壊力こそが堀口恭司が持つ最大の切り札であり、可能性の詰まった要素になっていると思う。
パントージャが防衛戦で見せたブランドン・モレノとの激闘も、モレノの攻撃にもう少しパワーがあって与えるダメージ量を上乗せすることが出来ていたら結果は違かったのではないかと思うので、モレノ以上の攻撃力を有していると思われる堀口恭司であれば、モレノが掴むことの出来なかった結果を手にすることが出来るのではないかと思う。
堀口恭司にはそれを可能にするだけの能力が備わっているので、かなりの期待を向けることが出来るのだが、非常に難易度の高い作業を完遂しなければならないことには変わりないため、厳しい挑戦になるだろうと思う。
まとめ
🇧🇷アレシャンドレ・パントージャ 🇯🇵堀口恭司
△ストライキング △ストライキング
○グラップリング グラップリング
パワー ○パワー
スピード ○スピード
△スタミナ △スタミナ
○耐久力(タフネス) ×耐久力(タフネス)
○フィニッシュの可能性 フィニッシュの可能性
△判定勝利 △判定勝利
(※○=プラス評価 ×=マイナス評価 △=同等評価)
耐久面の不安から被フィニッシュの可能性を抱えているので、堀口恭司の方が負けに繋がる不安要素は大きいのではないかと思う。
しかしパワーとスピードではパントージャよりも比較的優れていると感じるので、与えるダメージで有利を取っていける可能性がある。
ただその項目でパントージャが大きく劣っているわけではないので、チャンスを作り出せるという点でも僅かな差しかないと思われる。
なので判定にまでもつれたらどっちに転ぶか分からない。
気をつけたいのは、グラップリングの展開でディフェンスを徹底するがあまりに堀口恭司が受けに回ってパントージャのコントロールタイムが伸びてしまうということ。
ラフモノフVS.ギャリーのようにスタンドの攻防に僅かな差しかなかったとしても、コントロールタイムで違いを付けられて小さな差を大きくされてしまうことがある。
その状況をパントージャに作られてしまうとポイントを稼がれて追い込まれることになってしまうかもしれない。
パントージャはそういった部分でもリードを作り出せる可能性を持っていると言えるので、フィニッシュやポイントコントロールの可能性を考えると、勝利を掴む要素をより広く持っているのはパントージャの方になるのではないかと感じる。
ただ堀口恭司の攻撃が火を吹くことになれば、「僅かな差」や「均衡」といったものは吹き飛ばされることになると思うので、圧倒する展開が生まれるとしたらそれを作り出すのは堀口恭司の方になるのではないかと思う。
そして、もし本当にアレシャンドレ・パントージャVS.堀口恭司が実現することになったとしたら、個人としてその時は間違いなく堀口恭司の勝利を支持する。
夢のカードではあるが、タイトル戦後にパントージャ自身がその機運を高めるような発言をしているので、この2人がトップを走り続けていれば何処かで実現することになるかもしれない。
全てはデイナ・ホワイトがその門を開くかどうかに懸かっている。