[パリ五輪]日本柔道界の傑物、阿部一二三!
パリ五輪が開催されてから数日経ち、幾つものドラマや感動が生み出されている一方で、誤審と思われる不可解な判定や予期していなかった波乱が連日起きている。
そこには4年に1度という長い間隔をもって開催される五輪の希少性があり、それがもたらす意味合いの重さによって、五輪の魔物が産み落とされ、それぞれの結果や判断を非常に大きなものにしているからこそ、普通が異常となり、掴んだ結果はより偉大なものへと昇華され、相応の価値と意味を持つことになるのだろうと感じる。
そんなスポーツの祭典であるオリピックには、日本の地から各種目の代表が選抜され、開催地であるパリへと送り込まれており、文字通り日本代表という選ばれた特別な存在となっている。
スポーツにおいて日本を代表する選手としてすぐにイメージされる存在は、例えばメジャーリーガーの「大谷翔平」やボクシング界で伝説を刻み続ける「井上尚弥」になるのではないだろうか。
彼らは知名度・実績共に世界トップレベルであり、国民的とも言えるほどに大きな影響を残している。
それは改めて言うまでもないほどに明らかなことであろうと思う。
そんな偉大な活躍を見せる両選手に比肩する傑物が柔道界にも存在している。
それこそが66kg級のキング、「阿部一二三」である。
阿部一二三の脅威的なこれまでの実績
その実績は一目瞭然で、世界選手権やオリピックにおいて輝かしい成績を残しており、そのほとんどを「金」で終えている。
そして今大会のパリ五輪で東京五輪に続く2つ目の金メダルを獲得した阿部は、偉業となる五輪2連覇を達成したことになる。
東京五輪とパリ五輪の計8年という長い時間の中で変わらずにトップをキープし、対策や研究を重ねる海外選手たちをさらに凌駕する成長を見せ続けると言うのは、並大抵のことではない。
また、阿部一二三は2024のグランドスラムでも金メダルを獲得しており、その地位を不動のものとしていることから、世界の中でも如何に突出した存在であるのかということが分かる。
鍛え抜かれたフィジカルと戦い抜くためのスタミナ、そして負傷しても尚勝ち切って見せる勝負強さとタフネス、そういった阿部一二三の強みとなる様々なステータスは海外の選手をもってしても攻略出来ないほど強靭であり、特異な日本人選手であることがよく表れているのではないかと思う。
タイトルを獲っても尚、進化を続ける強さ
これまでの実績からも分かる通り、阿部一二三は五輪や世界選手権などで優勝を続けて決めており、そのポジションを維持している。
そこには「満足しない」という貪欲さを保つだけの非常に高いモチベーションと、自身を追い込みプレッシャーと戦い続けるという過酷な日々の繰り返しを歩み続けていく覚悟が必要となるはずだ。
その上に変わらぬ努力と、研究と対策による変化を積み重ねながら、最高を常に更新し続けている。
これ以上ない成績を収めた者がさらにその上へと進み、そのポジションを維持し続けることは非常に困難である。
世界の頂きへと登り、また降りては1から積み上げその頂きを再び目指す、その繰り返しを気持ちを切らすことなく続け、且つ前回以上の志を築きながら臨んで行かなければ、これだけの実績を積み重ねていくことは出来ない。
そんな過酷な積み重ねを続けながらハイクオリティを更新し続けることが出来るという、「状態を保ち続ける」能力の高さ、そこにも阿部一二三の並外れた強さが反映されているのだ。
つまり阿部一二三は「継続力」という技術とはまた別の側面でも世界トップクラスのクオリティを持っているということになる。
ただ、恐らくそれも彼の脅威的な強さを支える要素の1つに過ぎないのだろう。
何故ならトップを走る選手は、No.1を獲得するために全てをかけ、「普通」を「過酷」で消費しながら、1つの目的のためにあらゆる犠牲を払うという、想像を絶する時間を過ごしてきているはずだからだ。
それを続けながら結果を出し続ける阿部一二三はやはり「傑物」であると言えるだろう。
今後も、この日本が誇る66kg級世界No.1(世界ランキングではなく大会結果に基づく)の柔道家が魅せる強さと進化を目にしていきたい。