[RIZIN]超新星は時代の顔となるのか?[考察]
怪物くんを倒してRIZIN2連勝を飾った秋元強真はプロ無敗を継続し、7-0のレコードを記録している。
アマでの戦績を含めると11-0となり、その内フィニッシュ勝利は9つ。
進学を蹴ってプロの道に進んだ秋元だが、それだけの気持ちを結果で示していると言えるのではないだろうか。
とはいえプロ戦績は7戦とまだまだこれからの選手であることは確かなのだが、ポテンシャルの高さが今後に期待を持たせているのもまた確かだ。
そんな秋元はバンタム級とフェザー級でタイトルを獲得することを目指しているようだが、それはRIZINの「看板選手」となり「日本MMAの顔」になるということとほとんど同じ意味だと思われる。
果たして若き日本のMMAファイターは時代を象徴するネクストスターとなることが出来るのか。
可能性を感じさせるポテンシャル
戦績の浅さやこれからの伸び代などを考えると、これからどの方向にも変化していく可能性があるため一概には言えないが、ポテンシャルの高さを見るとネクストスターとして活躍を見せる可能性は高いのではないかと思う。
そんな秋元強真の潜在能力を支える要素について、いくつか考えられるものがある。
①環境
現在JTTに所属している秋元は目標となる朝倉兄弟や海外のノウハウを持った優秀なコーチたちと共に練習を積むことが出来る環境に身を置いている。
これによって最前線で活用できる技術の落とし込みや、マインド面を発達させることが出来るので、JTTの名の通りトップレベルに通用するだけの経験値を得ることが出来る状態にある。
それによって得られる「自信」は、「若さが生み出す勢い」と混ざり合うことで爆発的なパワーを生み出すことになる。
並のファイターではその爆発的な勢いを跳ね返すことは出来ないだろう。
それが現在の快進撃を支える一つの要素となっているのではないかと思う。
②経験値
プロで7戦を経験している秋元は現在18歳と非常に若い。
これはMMAだけではなく人生という観点から見ても色々な部分で経験値が浅い状態であると言えるだろう。
それはつまりまだまだ知らないことが沢山あるということ。
ただ、この「知らない」という状態が「怖いもの知らず」な状態を作り出すことに繋がっていると思うので、浅い経験値はマイナスに働くことばかりではないだろうと思う。
要は「シンプルな状態」でいられるファイターは強いということで、若い秋元はその状態でいることが出来る状況にあるのではないかということである。
③バックボーン
現時点でも若い秋元がMMAを始めたのはさらに早く、中学を卒業する時点ですでにプロの総合格闘家を目指してMMAを始めていたようなので、何かに偏ることなくMMAをバックボーンとして戦うことが出来るファイターとして成長を遂げてきている。
これによって初めから満遍なく出来る状態を作り出すトレーニングを積み重ねることが出来る上に、後からピンポイントに強みを伸ばしていくことも可能となる。
しかもその練習を吸収力に優れた若い時代から行なっているので、馴染み方もかなり良いはずだ。
それを経験することが出来ている秋元のMMAファイターとしての強度は今後、どんどん高まっていくことになると思われる。
実際に18歳とは思えない総合力の高さを現時点ですでに披露している。
それに対する懸念材料
その一方で懸念される材料も当然ある。
①RIZINのマッチメイク
RIZINはランキングの制度を取り入れていないため、側から見たら飛び級と感じられるようなカードが平気で組まれるところがある。
これにはメリット・デメリットがあるので、一概に悪いとは言えないけれど、秋元のような成長過程によって今後が左右されるファイターにとっては、潰される可能性もある危険な要素となっているのではないかと思う。
もちろん当人は全部「かかってこいよ」という気概でいると思うのだが、実際に敗北によって勢いを失い、「強み」を活かすことが出来なくなってしまったファイターたちも沢山いるため、ステップアップの順序は大成する上で重要なものになることは間違いない。
だからこそ他団体でもプロスペクトは「育てられる」ことになるのだ。
②経験値
これはポジティブな要素として挙げていたものでもあるが、同時に懸念される要素にもなり得ると感じている。
より高いレベルと競い合う中で「敗戦」や「技術が通用しない」といった経験をすると、「上手くいかない」状況に対する解像度も上がっていくので、苦手意識や迷いが生じやすくなる。
それは経験を得ることによって芽生えやすくなると思うので、積み重ねた経験値がマイナスの変化を生み出す可能性も十分に考えられる。
成長過程にある秋元がその経験をどこで得てどう乗り越えていくかによって、その後の展望が大きく変わってくることになると思われる。
快進撃を続けていたファイターが一度の負けで連敗コースへと落ちていくといったこともよくあるので、レベルアップする過程で増えていく情報をどう処理していくのかというところが重要になってくるのではないかと思う。
あと成長過程にある秋元はシンプルにまだ経験値が足りない部分があると思うので、未成熟な部分を突くことができるファイターとぶつかると脆さを露呈することになるかもしれない。
③海外勢との戦い
これまでの試合はほとんどが日本人ファイターとの戦いで、海外選手として数えられる対戦相手はヤマニハぐらいとなっている。
この戦績でヤマニハや金太郎を倒しているという時点でもう十分にすごいのだが、強豪と目されるレベルの海外選手とぶつかっていないこともまた事実である。
JTTで積み重ねている経験によって海外選手にも臆さないメンタリティが築き上げられているかもしれないが、実際に試合をして経験しないと分からないことも多いだろう。
そういった強豪とぶつかった時にどれくらい出来るのか、またはどれくらいの可能性を見せることが出来るのか。
その結果によって今後、RIZINの顔として台頭していくことが出来るのかどうかが変わってくることになるだろう。
なので、ここからさらに上のランクへと食い込んでいく過程で「試される」ような戦いに臨んだ時、そこをどのように乗り越えていくのか、それが非常に重要になってくると感じている。
最後に
現在、快進撃を続けている秋元強真がそういった懸念材料を処理しながらステップアップを踏んでいくことが出来れば、数年後にはUFCへ挑戦するファイターへと成長していてもおかしくない。
もしかすると朝倉海以上にJTTの名を世界に広める大物ファイターとして、世界の強豪と肩を並べる活躍をしているかもしれない。
そのためには超えていかなくてはならない壁がいくつも聳え立っており、それを超えていくごとに一つまた一つと証明が為されていくことになる。
“モンスター”と称された井上尚弥がその名に相応しい存在であることを証明したように、秋元強真も勝利を積み上げ証明を続けることが出来れば、次第に「スター」の呼び声は高まることになってくるだろう。