全局面で圧倒したピョートル・ヤンが完勝を収める!
強いピョートル・ヤンが帰って来た。
1R目から気迫に満ちていたヤンは王者時代を彷彿とさせるような力強さを見せており、自信の漲りを感じせた。
ヤンはフィゲイレードがこれまで武器としてきた柔術スキルによるコントロールを1R目で挫き、試合早々にフィゲイレードの切り札を潰すことに成功している。
戦前はここでフィゲイレードにペースを掴まれて主導権を握られてしまう可能性を感じていたが、ヤンが受け身になることはなく、むしろフィゲイレードの狙いを悉く挫いていった。
これによって1R目から早くも明暗が別れた感があり、思っていた以上に差のつく展開となった。
ピョートル・ヤンの勝ちに対する姿勢
ヤンは対戦相手に対する準備もしっかりと行ってきたことを感じさせるような内容の試合展開を見せていて、関節蹴りやカーフで攻撃の入りを潰し、テイクダウンもしっかりと切って、倒されてもすぐに立ち上がるといった積極的なディフェンスの徹底振りが凄かった。
これによってフィゲイレードはオフェンスの選択肢を失うことになり、手詰まりの状態となってしまう。
また、立ち上がりからヤンの手数が多かったこともあり、フィゲイレードは打開策が見当たら状態のままヤンの攻撃を受け続ける結果となった。
実際に5Rの全てでピョートル・ヤンの手数の方が上回っており、勝利に対する姿勢の強さを感じさせていた。
そういった気持ちや準備の面でフィゲイレードは劣ってしまったのかもしれない。
負けを経験して這い上がる強さを身に付けた元王者はここで2連勝を記録し、再び勢いを取り戻している。
元UFCバンタム級チャンピオンと元UFCフライ級チャンピオン
UFCでフィゲイレードをここまで圧倒し、ほとんど完封と言ってもいいような試合を見せたのはヤンが初めてかもしれない。
モレノはフィゲイレードにフィニッシュを決めたり戦績で勝ち越していたりはするが、完封するような試合内容ではなかった。
ヤンはフィニッシュすることにはならなかったが、ほとんどの局面でフィゲイレードを圧倒し、効果的な動きを取らせなかった。
元フライ級の王者と元バンタム級の王者との戦いでここまでの差がついたことを考えると、やはりバンタム級の王座はフライよりも遠いところにあると感じさせられる。
ただ、ヤンの攻撃をあれだけもらっても倒されないタフネスや、ヤンを上回る一発の威力を見せたフィゲイレードは、自身が持つスペックの高さを十分に披露していたと思う。
そりゃフライ級だったらめちゃくちゃ強いよなと感じられる要素が劣勢に立ったことで逆に浮き彫りとなっていたように感じた。
そんなフィゲイレードもついにバンタム級の壁にぶつかり、階級を上げてから見せ続けてきた快進撃もここで一旦ストップ。
連勝中のフィゲイレードを退けて再び王座へと挑戦する流れを引き寄せたヤンは、メラブ・ドバリシビリへのリベンジを望んでいる。
バンタム級のラスボスとなるのは・・・
ヤンは再戦でドバリシビリを攻略することは出来るのか、シンプルな戦い方をするドバリシビリは対策を講じやすいかも知れないが、シンプルが故に強いのがドバリシビリなので、勝ち切ることの難しさは変わらずあるだろう。
そしてショーン・オマリーとのリベンジマッチを制することが出来ればヤンは本当の意味で再びトップの座に返り咲くことが出来るようになる。
それを考えるとバンタム級のトップ層での争いはこれからまだまだ激化していきそうだ。
そしてそんな激闘を勝ち残り説得力のある実力を示した猛者を退けて、最終的に王座に君臨することになるのが「ウマル・ヌルマゴメドフ」なのではないかと感じている。
予想と結果
予想:デイブソン・フィゲイレードの5R判定勝利(3-0)
結果:ピョートル・ヤンの5R判定勝利(3-0)
フィゲイレードよりもヤンの完成度の方が高く、戦前に予想していたものとは真逆の結果となった。
安定感のある試合運びを見せたヤンは隙がなく非常に強かった。
しかし、負けたフィゲイレードもまだまだ可能性を感じさせている。
今後この両者は誰と対戦していくことになるのか、そんな様々な期待を感じさせてくれる一戦となっていた。