[ONE] 武尊の新たな挑戦!
長い間「K-1」という団体の看板を守り、海外の強豪選手と拳を交わしてきた武尊が次なる戦いの舞台として選んだのはONE Championshipだった。
アジアの大きな団体と契約を交わした武尊は「国内で海外選手を迎え討つ」という防衛者の立場から「海外へ殴り込みにいく」という侵略側の立場へと、そのポジションを変えていく。
そんなONEとの正式契約発表の会見で武尊は「戦いたい相手がいる」という言葉を口にしていた。
その中の一人には当然、“破壊神”ロッタンも含まれているだろう。
現在のONEにはロッタンを含む世界トップクラスのムエタイ選手やキックボクサー達が集まっている。
また、ONEには立ち技でもキックとムエタイの二種類のルールがあり、武尊が参戦する際にどちらのルールで戦うのかというところにも注目が向けられている。
ムエタイルールでやることを否定していないところを見ると、武尊自身はどちらでやっても構わないと思っているのかもしれない。
既にこれまでのキャリアの中でムエタイは馴染みのある競技にもなっているということを考えると、武尊にとってそこは大きな不安要素にはなっていないのかもしれない。
ただムエタイルールはロッタンやハガティの本領であり、分が悪くなることは間違いないだろう。
また団体が異なれば当然ルールも異なり、様々な勝手も違ってくるので、団体に慣れない初めの一戦は戦績的に格下と思われるような選手が相手だったとしても、もしかしたら苦労するかもしれない。
加えてK-1の時のようなホームゲームではなくアウェイでの戦いなるので、それによる影響がどの程度のものになるのかというのも気になるところではある。
ただ、違いという点ではデメリットだけではなくポジティブな部分もあるのではないかと思う。
これまで武尊は様々な重圧を背負いながら「K-1」という舞台で戦い続け、心身にダメージを蓄積させながらその重圧を跳ね除けてきた。
そして「THE MATCH」という最後の大舞台で敗戦を経験することになった訳だが、結果的に武尊はそこで重い荷物をやっと下ろすことが出来るようになった。
加えて同時に体のメンテナンスに注力するだけの時間も作ることが出来るようになった。
そのおかげで武尊はリラックスとリカバリーを行えたので、これまで放置されていた様々な部分を整えることが出来たはずだ。
そういう意味では現在の武尊は以前よりも整った状態にあると言えるだろう。
なのでONEへ挑戦するというハードルの高さや過酷さはもちろんあるだろうが、それと同じくらいに武尊の活躍にも期待を向けることが出来る。
この先、結果や戦績がどうなっていくのかということはもちろん分かるわけがないのだが、K-1のリングを派手に飾った彼のファイトスタイルを考えると、ONEのケージの中でも熱狂を誘うような試合をきっと見せてくれるに違いない。
日本のキックボクシング界の顔とも言える武尊がONEの中でどこまでいけるのか、ロッタンやハガティにムエタイまたはキックボクシングで勝てるのか。
武尊が思う「戦いたい相手」のその向こうにはベルトという結果を見据えていることは間違いないと思うので、必然的に武尊の首を狙うONE上位勢と激しくぶつかることになるだろう。
最終章を迎えるキャリアの中で武尊は新たに大きな挑戦へと臨む。
険しい道のりと高い壁を超えて2団体王者という偉業を成し遂げることは出来るか。
「K-1の強さの証明」や「日本人ファイターの土壌作り」といった新たなものを背負って世界へと羽ばたく武尊のこれからに大きな注目が向けられる。
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