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[ボクシング] スティーブン・フルトンVS.井上尚弥
WBC・WBOの二つのベルトが掛かったSバンタム級のタイトルマッチの開催が徐々に迫っており、すでに来日しているフルトンは公開練習で短いながらも調子が良い様子を見せている。
バンタム級で無双状態だった井上尚弥は4団体統一という偉業を成し遂げ、無敗のままSバンタム級へと乗り込み、初戦でSバンタム級の無敗王者に挑戦することとなった。
そのSバンタム級の大物王者であるフルトンは“怪物”である井上尚弥の挑戦を日本で受ける。
戦績とその内容を見れば危険極まりないことが明確に分かる井上尚弥を前にして、フルトンはアウェイで防衛してみせるという大きな自信を見ているのだ。
技術に富んだトップクラスのアメリカンボクサーがこれだけの自信を見せているのだから恐らく何らかの裏付けがあるに違いない。
自信を持って勝てると言えるだけのプランを研究の中から生み出し、敵地で全てを奪い取ろうと考えているのだろう。
データや分析に特化したアメリカのスポーツスタイルを考えれば、具体的な勝算を論理的に導き出し、それだけの根拠を獲得している可能性はある。
つまり、フルトンの試合に至るこれまでの振る舞いには確証のある自信が込められている可能性があるということだ。
身体能力が高く体格で優れながら彼らは堅実で慎重であり、勝利に対する丁寧な姿勢を忘れない。
だからこそ今回のスティーブン・フルトン戦は、モンスターである井上尚弥を以てしても一筋縄ではいかないものなるのではないかと考えられる。
負けないボクシング
フルトンは21戦無敗のボクサーだが、KOでの勝利は8とKO率は高くない。
つまり勝ち星のほとんどを判定で挙げていることになる。
そこから強かで勝ちに徹する戦略的な姿勢と、クレバーでボクシングIQが高いことが伺える。
フルトンはその体格とディフェンス技術を活かし、アウトボクシングやクリンチワークで対戦相手の長所を消しながら要所でポイントを奪っていくことで自分の試合にしていくことが出来る。
そういう意味では井上尚弥とは全く違ったスタイルの強さを持っている選手とも言えるだろう。
勝ちにくる相手から負けないように、勝利を奪うことができるだけの上手さを持ったフルトンのようなタイプのファイターから勝利を掴むのは骨が折れるかもしれない。
井上尚弥が強いからこそフルトンは上手さを活かせるようになってくるかもしれない。
間違いなくフルトンは井上を翻弄しようとしてくるだろう。
“怪物”井上尚弥
そんな難攻不落のチャンピオンであるフルトンだが、今回の挑戦者はこれまでに出会ってこともないであろう“怪物”となる。
攻防どちらでも一級品のテクニックを持ち、破壊力のあるパンチで数々のチャンピオンを粉砕してきた。
果たしてフルトンはそんな井上尚弥の攻撃を12R凌ぐことが出来るのだろうか。
もちろんフルトンが井上にパンチを効かせるということもあり得ないわけではないので、少ないながらも可能性は残るかもしれないが、逆の可能性の方が遥かに高くなってくるはずだ。
井上尚弥の速い飛び込みや強力なコンビネーションを捌いてアウトボクシングを続け、クリンチワークで危険を回避する際にボディ打ちも防ぐ。
こういった難易度の高い作業をバンタム級4団体統一王者相手に行うことが出来るのか。
確かにフルトンは体格では優っているのかもしれないが、その点が客観的に見て疑問に思えるところになる。
そういった意味では勝利までのミッションの難易度はフルトンの方が高いのかもしれない。
“倒す”か“支配”するか
今回の二人の戦いは非常にハイレベルになることが予想され、判定決着になる可能性も十分にある。
井上自身今回はこれまでのような戦い方の試合ではなく、勝ちに行く試合をするというような発言もしているので、長いラウンドを跨ぐことも予想される。
しかし、KOを狙う姿勢は常に崩すことはないだろう。
当たれば効かせられる一撃を長いラウンドの中で常に狙っていくとになる。
なので井上尚弥が勝つとしたらKOでの勝利の可能性が高いのではないかと感じている。
逆にフルトンの術中に嵌まってしまったら、判定で下されるという結果を突きつけられることになってしまうかもしれない。
どちらにせよ今回の戦いは両者ともに、これまでに見られなかった一面を見せるような試合になるのではないだろうか。
完全決着を呼ぶKOでの幕引きでも、力の差を見せつける判定での幕引きであっても、この二人の決着は世界に衝撃を与えるものになるに違いない。
また、こういったビッグマッチには魔物が潜んでいたりするので、アクシデントなどで互いにパフォーマンスを発揮し切れないような内容にならないことを願いたい。
今回、井上尚弥が相手にするのは間違いなく過去最大の強敵ではあるが、個人的には井上尚弥の挑戦はこれからもさらに続いていくのではないかと思っている。
井上尚弥のボクシングはフルトンでは止まらず、さらにその先へと進んでいく可能性とパワーをまだまだ秘めているように思えてならないのだ。