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激闘!ウェルター級の無敗対決。
UFC310のコ・メインはウェルター級の無敗ファイター同士の一戦となった。
この戦いはウェルター級ランキング3位と7位によるものだったが、これからのウェルター級を担う才能を持ち合わせた2人のぶつかり合いだと考えると、今のウェルター級の中でも特別に注目できる組み合わせになっていたと言えるだろう。
正直、試合前のイメージではラフモノフが違いを見せる内容になるかと思っていた。
しかし、「タフな強さ」を見せることになったのはラフモノフではなくギャリーの方だった。
ただ、ストライキングやグラップリングの展開で少しずつリード見せていたのはラフモノフの方だったので、ポイントはラフモノフに付く流れとなったが、劣勢の状態からでも勝ちを諦めず最後まで力強い姿勢を見せていたのはギャリーの方だったと感じる。
ギャリーの関節蹴りやカーフが効いたのか、それとも打ち合わない作戦が敷かれていたのかどうかは分からないが、ラフノモフは試合全体を通して手数が少なく、いつもと比べるとやや積極性に欠けているように感じた。
元同門であるギャリーのことを知っているからこそ、というところもあったのかも知れないが、この試合のラフモノフはとても慎重に見えた。
四つ組みの強さ
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そんなラフモノフに対してギャリーは蹴りを中心に細かい攻撃を出していくが、ギャリーもラフモノフの攻撃を警戒しているため慎重になっており、そこまで強い攻撃は出せていなかった。
その展開を先に動かしたのはラフモノフ。
組み付いて得意の展開を作りにいったラフモノフはギャリーからテイクダウンを奪おうとするが、ギャリーは粘りを見せてテイクダウンは許さなかった。
しかし、四つで組まれてしまうとギャリーはラフモノフのクリンチコントロールから中々抜け出す事ができず、打撃で僅かにリードされていたギャリーはそこでコントロールされてしまったことでラウンドを失う羽目になる。
ギャリーも振り解こうとアクションを起こしていたが、ラフモノフはギャリーを逃さず、しつこくケージに押さえ付け続けた。
この試合の中でラフモノフが圧倒したと言える場面はこの展開になるのではないかと思う。
それくらい巧みにギャリーをコントロールし、自由を奪っていた。
しかし株を落とさなかったイアン・マシャド・ギャリー
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クリーンヒットとクリンチコントロール、そしてバックテイクからの細かい打撃など、要所でリードを確保したラフモノフがポイントでリードした状態で試合は進み続けていた。
しかし、ラフモノフの前足にダメージを蓄積させたギャリーは3R目で勢いを掴むと、ラフモノフのリズムを乱してスタンドでやや有利と思われる展開を作り出すことに成功する。
ギャリーにとってこの4R目は勝負をイーブンに戻せるかどうかの重要な局面となるが、ラフモノフにとっても勝率を大幅に上昇させる重要なラウンドとなるので何としても押さえたい回になっていたと思われる。
このお互いに何としても取りたいラウンドでリードを手にしたのはラフモノフの方だった。
ラフモノフはこのラウンドでもギャリーをケージに押さえ付けてコントロールしていく。
必死のギャリーは何とかそこからエスケープし、スタンドに戻すことに成功するが、不用意に放ったバックハンドブローをラフモノフに躱されると、そこからタックルに入られてクリーンテイクダウンを奪われるという痛恨のミスを犯してしまう。
ここで大きく勝敗の流れが分かれたように見えたが、劣勢のギャリーは最終ラウンドで頑張りを見せる。
最終ラウンドに見せた反撃
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4R目でギャリーはニンジャチョークや腕十字、そしてギロチンチョークといった攻撃をラフモノフに仕掛けており、汗などで滑ってしまったこともあって極まりはしなかったが、一瞬ヒヤリとする入り方をしている場面もあった。
この受けに回らず勝利を諦めない姿勢は最終ラウンドのビッグチャンスへと繋がっていくことになる。
5R目、ラフモノフはスタミナや足に不安があるのか安全策へと走るように安易なテイクダウンを仕掛けていった。
ここでギャリーはカウンターを仕掛けつつタックルを切っていこうとするが、しつこく粘るラフモノフは形が崩れてもギャリーの足を離さない。
その状況を逆に利用していったギャリーはスクランブルから隙を突いてラフモノフのバックを奪うことに成功する。
そして足をフックして四の字を組むと一気にチョークを仕掛ける体勢に入っていった。
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まさかの大逆転が起こるのか、そう思わせるところまで持っていったギャリーだったが、高さが合っていなかったことに加えて背中も僅かにずれてしまっていた為、良いところまでいったものの、ラフモノフにチョークが極まることはなかった。
しかし常に劣勢だったはずのギャリーがラフモノフよりも力強い展開を見せ、あわやと思わせるような展開にまで持っていくことが出来たというところに、ここまで無敗であった理由が詰まっているように感じた。
これは、「強い」というインパクトを残すには十分な要素として働いたのではないかと思う。
16戦目にして初めて敗戦を喫することになったギャリーだが、間違いなく今後タイトルに絡む位置まで浮上してくることになると感じている。
止まらないラフモノフは王者の前に立ち続ける
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本来この試合はUFC310のメインベントとして取り扱われ、ウェルター級のタイトルマッチとなるはずだった。
しかし、チャンピオンであるベラル・ムハマッドの感染症による欠場によってラフモノフは王座挑戦をお預けされる形となってしまった。
そこで改めて組まれたのが今回の無敗対決だったが、これも制したラフモノフは再び王座の前に立ち、チャンピオンベルトに手を伸ばし続けている。
チャンピオンはこの脅威と向き合い防衛を行なっていく必要があるが、果たしてムハマッドは19-0の怪物からベルトを守ることが出来るのか。
アジア人初のUFC王者誕生に期待が掛かるラフモノフの挑戦は多くの注目を浴びることになるだろう。