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[PFL]ウェルター級優勝者、シャミル・ムサエフの可能性
PFLウェルター級決勝戦でマゴメド・ウマラトフと対戦したシャミル・ムサエフは、この無敗同士の戦いでTKO勝利を収め、優勝を勝ち取ることに成功した。
ムラッド・ラマザノフとの無敗対決もKOで制しているムサエフはこれで戦績を20-0-1 としている。
ムサエフは鉄壁のテイクダウンディフェンスでロシアの無敗ファイターが持つ強みを打ち消し、散打世界王者らしい強力なストライキングでスタンドの攻防をリードしていく。
特にあのハンドスピードは脅威的だ。
打撃を警戒して見合っている状態からでも素早く攻撃をヒットさせることが出来るムサエフは、テイクダウンを奪えなかった相手に厳しい追い打ちを仕掛けていくことが出来る。
そうすることでムサエフは心理的に優位となり、流れを引き寄せていくことが可能になる。
決勝戦のウマラトフも得意の展開を作ることが出来なかったことでリズムを掴めず、逆にムサエフの得意な展開へと引き込まれてしまったことで、自信を持って試合を進めることが出来なくなっていたように見えた。
ただ、ウマラトフが前に出てムサエフをケージに追い込みながら、組みではなく打撃で仕掛けていく展開では上手く攻めることが出来ていたように感じた。
またカーフも少しずつ効き始めていたように見えたので、打撃の脅威を取り除いていくという意味でも、もう少し繰り返し当てて、得意な展開にこだわらず上手くいっているオフェンスで対抗していくことが出来れば、ウマラトフは違う流れを引き寄せることが出来たかも知れない。
それでも勝つ状態にまでもっていくのは難しかっただろうと思う。
ラマザノフやウマラトフが見せた攻防を振り返ると、ムサエフに対して効果的なテイクダウンを決めるためにはストライキングの勝負でリードする必要があるように思うので、牙城を崩すにはスタンドの勝負で対抗できるだけの非常に優れたスキルを持っているファイターが必要になるかも知れない。
その上で鉄壁のディフェンス能力も兼ね備えていることが必須となる。
果たしてそんなファイターがいるだろうか。
恐らくUFCのウェルター級にいる上位ランカーをもってしてもシャミル・ムサエフを退けることは難しいだろう。
現段階でのムサエフはそれくらいの実力を示している。
もしかしたらさらにその上にいるチャンピオンさえも喰らってしまう可能性がある。
これまでもダゲスタン出身のファイターは各団体で猛威を振るっているが、ウェルター級にもこれだけの存在がいるということを考えると、近い将来はUFCの王座もダゲスタンのファイターたちに侵食されていくことになるかも知れない。
PFL2024のウェルター級チャンピオンとなったシャミル・ムサエフは、これから先一体どこまで歩みを進めていくのか。
圧巻のパフォーマンスを見せてきたムサエフがこれからのキャリアをどのように積み重ねていくのか、そこに注目が向けられる。