[UFC287] アデサニヤがペレイラを超えて王座に返り咲く!!
UFC287で行われたメインイベントのミドル級タイトルマッチ。
●(C)アレックス・ペレイラ VS. ○(1)イスラエル・アデサニヤ
キックボクシングからMMAと、異なる競技を通して3度の対戦を行なってきたペレイラとアデサニヤだが、戦績はペレイラの3勝0敗。
ここからも分かるようにペレイラはこれまでアデサニヤをきっちり攻略してきた。
キックではなくMMAならどうか、という見方もあった前回のタイトルマッチでもペレイラはアデサニヤを打ち倒してみせた。
圧倒的な相性の悪さを感じざる負えないほどに打ちのめされたアデサニヤは今回4度目の対戦に臨んだわけだが、並の選手であればここで勝利のビジョンを掴むことは出来ないだろうと思う。
後がないというところに加えて払拭しきれない苦手意識の下で難敵を相手取ることになるのだから戦いはより難しいものになる。
また、ペレイラはクレバーな攻撃を行える上に一撃の威力が非常に高いため、スタンドで掛けられる圧力は非常に強いものになる。
前回はその圧力に負けて自分の距離が作れなかったアデサニヤだったが、今回はなるべく先手で動いて早い段階でケージ際から抜け出していた。
しかし今回も終始脅威を与えていたのはペレイラの方で、アデサニヤがスタンド勝負で勝つのはやはり厳しいように見えたが、組みに強力なオフェンス能力があるわけでもないアデサニヤは打撃勝負で上手を取るしかない。
ケージに追い詰められては抜け出してを繰り返す内に、段々抜け出すことが出来なくなってきたアデサニヤはカーフも効かされ始めて次第に前回やられた展開と同じ状況になってきてしまった。
起死回生の一手
ただ今回の戦いでアデサニヤは前回唯一フィニッシュに近づいた展開を所々で再び作り出そうとしていた。
ケージを背負った状態での打ち合いでカウンターをヒットさせる、この狙いを1Rから見せていたアデサニヤはピンチの中で活路を見出していた。
それは最終手段にも等しい危険な一手ではあるが、普通にやっても勝てる可能性が低い相手にはそれくらいの危険を犯す必要もある。
そして2Rにペレイラがアデサニヤをケージへと追い詰めカーフを効かしてからラッシュをかけ、やはり厳しいかと思われたところで前回みせたようなカウンターをヒットさせたアデサニヤはこの試合で初めてペレイラをぐらつかせた。
前回はそこでブザーが鳴ってしまい追撃を加えることが出来なかったが、今回はまだ残り時間が沢山あった。
ペレイラがぐらつくのを見たアデサニヤは素早く追撃を加えるとペレイラの側頭部に再び打撃をヒットさせ、そのままマットへと沈めてみせた。
一度も勝てなかった相手を打撃でKOしてみせたアデサニヤは失った王座を再び取り戻すことに成功した。
間違いなく劣勢であったアデサニヤはこれでペレイラとの戦績を1勝3敗とした。
戦績上では依然負け越しており1度の勝利ではあるが、3度負けていた相手にしっかりとした結果で勝ったというのは数字以上の価値がある。
アデサニヤはこれで大きな自信を獲得し、また新たに成長したことだろうと思う。
距離をとってアウトボクシングをしながらポイントゲームで対戦相手をドミネートしていくという安全な戦い方に依存し始めていたアデサニヤだが、敗戦によって窮地に追いやれながらも劣勢から勝ちをもぎ取ったことで得意なスタイルを崩されても戦えるという経験値を得た。
トップファイターのメンタリティ
何より今回の勝利で凄かったのはアデサニヤの自分を信じる力である。
3度の敗北を喫し、MMAでも勝てず、絶対王者として保持し続けていたベルトも失った。
やっぱり勝てなかったという結果と共にあらゆるものを失った上で、後がない大一番を迎えるとなると消極的になったり、勝負に出ることが出来ずに飲み込まれて終わってしまうなんてことも全然あり得る中でアデサニヤは最高の結果を引き寄せた。
それは最後の最後まで自分自身を信じきることが出来なければ掴むことが出来ないものだろうと思う。
ファイターとして素晴らしいスピリットを見せたアデサニヤは輝かしいキャリアを築く中で超えることが出来ていなかった壁を今日ついに超えることに成功した。
王座に返り咲くと共に、やられても最後まで諦めずに挑み続ける大切さを体現したアデサニヤは格闘技が持つ勝敗以外の素晴らしさを視聴者へ届けてくれた。
またどこかでペレイラとぶつかることになった場合、アデサニヤは再び大変な勝負をしなくてはいけなくなるとは思うが、次の防衛戦は恐らく別の選手と行うことになると思うので、アデサニヤが次の防衛戦で魅せるパフォーマンスに今から期待したいと思う。
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