平本蓮VS.朝倉未来2が示すもの
今年の5月に開催される「THE MATCH 2」の中で行われるこの2人の再戦には様々な要素が溶け込んでいる。
短期間で引退から復帰することに
前戦で平本に敗れた朝倉は宣言していた通り「引退」を表明し、一線から退くことになった。
力の落ちた状態から持ち直すことが出来ず、敗戦によって幕を閉じたはずの彼の戦いは、その後に生まれた一つの疑惑によって続きがもたらされることになる。
思いもよらぬ形で巡って来たこの復活のチャンスをものにして、朝倉未来は改めて華を飾ることは出来るのか。
平本蓮の「ドーピング疑惑」
朝倉未来との戦いに勝利し、大勢の観衆の前で世代交代を見せ付けた平本蓮だったが、試合後に「ドーピング疑惑」が浮上し、あの劇的な勝利が偽物だった可能性が示されるようになった。
これについて本人は当然否定しており、そのための会見も開いている。
ー平本蓮がインタビューに応えたFRIDAYデジタルの記事
また検査の結果は陰性で、ドーピングを行ったことは認められなかったが、その検査に引っ掛からないようにドーピングを行おうとしていた疑いが持たれていたことに加えて、確実に白であることを証明するためのアクションを取っていなかったこともあり、その検査の結果だけでは本当の意味での潔白を示すことにはならなかった。
ただ実施した検査の結果が「陰性」だったことには変わりがないので、RIZINの基準の中ではドーピングを立証することは出来なかったという見方となり、それ以上の追求は出来ずモヤモヤが残ってしまうような結果となってしまったが、この再戦によってそのモヤモヤにも決着が付けられる可能性が出て来た。
劣化or復活
YA-MANや平本蓮といった若手との戦いに敗れ、その劣化が明らかになっていた朝倉未来だったが、「引退」を表明し競技者という立場から一旦離れ、気持ちをリセットすることが出来たのではないかと思われる。
また、それに伴いカリスマ的な立場からの解放もあったと思うので、そこから改めて格闘技に取り組み始めた朝倉未来がどんな仕上がりと内容を見せるのか。
一度は引退を口にしたということもあり、ここの勝敗が格闘家としての最後を決定付けるものになると思われる。
再び降り立つRIZINの舞台で朝倉未来が見せる変化の良し悪しに注目が向けられる。
MMAへの適応具合
この2人の再戦が組まれるまでの間に朝倉は引退をして一線を退いていたが、平本は日々トレーニングに励みながらMMAのクオリティを上げるための活動を続けて来ている。
そんな平本のMMAの練度は今現在どのれほどのものになっているのか。
K-1出身の打撃巧者がMMAへの適応レベルを上昇させることになれば、間違いなく脅威的な存在となってくるはずだ。
リマッチで朝倉未来が戦い方を変えてタックルを混ぜてくるようになれば、その辺りの変化も確認することが出来るようになるのではないかと思う。
明らかにされる時代の変化
前回の戦いには「疑惑」というケチがついてしまったところがあるので、今回の再戦によって改めて明確に時代の変化が示されることになる。
この再戦の舞台で平本が朝倉に再び差を見せて、一つの時代が終わったことを明確にするのか、それとも朝倉がかつての輝きを取り戻す形で有望な平本蓮を下し、RIZINにとんでもない盛り上がりを与えることになるのか。
時代の衰退と存続が分岐する大きな転換点となるだろう。
このように様々な要素が入り混じり、そしてそれらが明らかにされるこのリマッチは、RIZINの中でも大きな意味を持った一戦になってくるのではないかと思う。
平本蓮が朝倉未来を圧倒した前戦で、一度は明らかになった答えの正誤を確実なものにするこの戦いの結末に注目が向けられる。
MMAの成熟や打撃の強度などを考えると、恐らく広い範囲で有利となってくるのは平本蓮の方になると思われるが、その一方で再戦に臨む朝倉未来がどんな策を講じてくるのか、その点も非常に興味深いポイントになっているのではないかと思う。
両者ともに失う物が大きいこの一戦は、色々なことをハッキリとさせる結末を迎えることになるはずだ。