ある老人保健施設のおせち料理
私は哲学のブログと介護施設のブログをしており、介護施設ブログのほうはサボリ気味です(~_~;)s、中々2つのブログを両立させるのは難しいです💦
とまあ、そんな嘆きは置いときまして、私の施設では調理員が元旦と1月2日と2日間続けて高齢者の客様におせちを作らせて頂きます。私は現在相談員ですが、もと調理員で、しかも調理員が人手不足なので、おせちや敬老会、クリスマス等のイベント食は手伝うことがよくあります。
そこで、今回は高齢者施設のおせちについてご紹介します。
ただ、施設施設によってどんなおせちかは様々です。また、既製品オンリーのところもありますし、元旦と1月2日と2日間続けておせちを提供する施設はあんまりないと思います。毎年、おせちの提供が「元旦だけだったらいいなぁ~」と思いながら10年以上働いています(^_^;)
私の施設のおせちは、出来合いと手作りと半々くらいです。ただし、出来合いでも調理しなおします。例えば、叩きごぼうは出来合いですが、再度圧力鍋にかけて柔らかくして、味をも調整します。金柑の甘煮も出来合いですが、再度茹でて調整します。私が調理員時代だった6年前までは、8割は手作りで、叩きごぼうや金柑の甘煮なんかも手作りでした。
高齢者施設は、お客様の状態によって料理の形状や栄養価が変わります。料理の形状は、「普通:形がそのまま」・「一口大:大きいものを少し切る」・「キザミ:細かく切る」・「ソフト:ミキサーで潰して固めなおし、口の中で溶けるようにする」と、うちではこの4形態です。
主食(ご飯)も、「普通:普通に炊く米」・「軟飯:水分をやや多くして軟らかく炊く米」・「お粥」・「お粥のソフト:お粥をミキサーにかけて粉を入れて少し固めたもの」なんかも配慮します。
これよりも形態が細かい施設もあります。また、「糖尿病食:糖の制限がある食事」・「潰瘍食:消化の悪い食物繊維が多いものを提供しない」・「心臓食:塩分を一日6g未満に抑える」・「腎臓食:カリウム制限がある食事」・・・ETC、とあります。またアレルギーや好き嫌い等も考慮しないといけません。
なので・・・面倒くさいです。マジで(;一_一)
で、そんなこんなで調理員のリーダー2人(正規職員の調理員は3人しかいませんが(^_^;))は、夜中2時くらいから頑張って作業してました。ちなみに私は2時30分~3時くらいに参戦しました。朝ごはんや現場に必要な飲み物などの用意なんかの普段の業務をしながら特別な食事を作るのは容易ではないです。
管理栄養士もおせちの献立の苦労はもちろん、その夜や次の日の献立にも苦労したり、発注にも苦労したり、当日は調理の手伝いもして苦労します。もし介護施設なんかで働いている介護職員や看護職員、PT・OT・STのリハビリ職員、相談員や事務員の方々は、イベント食の時に管理栄養士や調理員なんかの厨房職員に「今日はお疲れ様!」「美味しそうなご飯で、お客様も喜んでたよ!」みたいな労いの言葉をかけてあげて下さい<m(__)m>
私の施設の元旦のおせちはこんな感じです。
ちなみに2日目のおせちはこんな感じです。
私もミールラウンド(食事の様子を見て回る事)をして、お客様に喜んでいただけていたので安心でした(^^)
ちなみに知ってる人も多いと思いますが、おせちの食材は、それぞれ縁起物で意味があります。
海老・・・海老のように腰が丸くなるまで長生きするようにという長寿。
数の子・・・子供がたくさん生まれるようにという子孫繁栄。
紅白かまぼこ・・・日の出の象徴であり、神聖な意味。
黒豆・・・豆は健康や丈夫という意味を表す。まめに生きる・まめに働けることができるように。
伊達巻き・・・重要な書物の巻物を表していて、知識が豊富になるように。
栗きんとん・・・黄金色の宝物を表し、今年の抱負を願う。
蓮根・・・穴が開いていることから、先々のことが見通しできるように。
里芋・・・里芋は子芋がたくさんできることから、子孫繁栄。
叩きごぼう・・・ごぼうは土の中に細く長く根を張ることから、代々長く続くように。そして、たたいて割ることで開運が開かれるように。
鯛・・・めで鯛(たい)・・・これはほとんどの人が知ってますね(*^_^*)
おせち料理自体は歴史は平安時代までさかのぼりますが、今のようなおせちの文化は昭和45年の大東亜戦争後なんて言われたりしています。おせちは神の御供え物的な意味もあることに加え、保存食を多く作っていることから、「正月の三が日にお母さんを家事から解放してゆっくりできるようにする。」みたいな話もあります。
私の娘がおせちについて「何で正月はおせちを食べるの?」と聞いてきたので、ちょっとした歴史と「お母さんを休ませるため」とも言われていることを説明したら・・・