小学校とグリット
今回も竹橋洋毅さんがまとめててくださっている「グリット」についてもう少し掘り進めます。
※グリットなんやねんという方は第5話をご覧ください。
※ちょっとおさらい。グリットには「興味を貫く側面」と「粘り強い努力を続ける側面」の二つの面から見とれるので,グリットのうち,どちらの面が大きく作用しているかを見落とすと,無駄なアプローチになってしまう恐れがあります。
☆グリットがいろいろな成功とつながる理由
理由の一つが努力の「量」と「質」です。
「量」
これは単純ですよね。長期目標に向かって頑張る力ですから,グリットが低いよりは高いほうが当然,積み重ねたものの量が違ってくるのは当然です。
「質」
こちらは結構大事です。ただ愚直に努力をするだけでは,うまくいかないのが世の常です。努力の仕方が結構大事なわけです。
本書では『入念な修練』と紹介されています。
入念な修練には,ただただ,黙々と単語を暗記するというような努力は含まれません。何度もフィードバックをもらいながら,自己の改善部分と向き合っていくような良質な努力(練習方法)をさします。
私は「質」がとても重要であり,下記に大きくつながってくるものだと考えています。
グリットは「主体的に学習に取り組む態度」と相性◎
評価基準に「主体的に学習に取り組む態度」が取り入れられてからしばらく経ちましたが,ここの感覚は今でも多くの教員間が共通認識が進まない部分であるのではないでしょうか?
詳しくは述べませんが,
・粘り強く取り組もうとする側面
・自己の学習を調整しようとする側面
の二つの側面があります。字面を見るだけでも,グリットとの共通項が多そうですよね。
※前記しているように,非認知能力は測定が難しいのに,すべての教員に評価もしなさいなんて,恐ろしいですよね。やっていることは素敵ですが,こちらが追い付きませんー▽ー頑張らねば…
自己調整学習がポイント!
グリットの高い人は,自分で学びを進めることが上手なんです。
その所以は「自己調整学習」にあります。
「自己調整学習」をざっくりというならば…
自らがモチベーションを保ち,学び進めていくことですかね。
しかも,ただ愚直に学習しても効果的ではないので,
①記憶の工夫
②振り返りの工夫
③時間と学習環境の管理の工夫
④やる気を高める工夫
の四つを意識的に取り組んでいく必要があります。
これがグリットの『入念な修練』と大きくかかわりがあるのですね。
特にグリットの「粘り強く取り組む側面」とかかわってきます。
「興味を貫く側面」にアプローチしちゃダメなんですね。
グリットを伸ばすための研究
前回の記事にもあるように,あまりエビデンスが多くはないようですが,教育の可能背は十分にあるはずですので,どんなアプローチがあるのか知っておいて損はないです!
「結果に基づくアプローチ」
粘り強く続ける力を高めるために,高い動機付けが有効です。
目標達成によって得られる結果が自分にとって価値あるものであるほど高い動機付けは保たれます。
これは結果自体の「魅力」と「コストの低さ」(これなら達成できそうだ!みたいな)によって高められるようです。
ではどのようにアプローチするのか。
ざっくりいうならば
「『入念な修練』の大切さを教えていく」ということです。
※詳しくは書籍を買ってください。
この効果は長続きせず,先生がリマインドしていかなくてはならないようです。
「自分らしさに基づくアプローチ」
達成することの困難性があったとしても,「自分らしさを大切に頑張れた!」という感覚はグリットを高めます。
人はアイデンティティにあった振る舞いをすることを好む傾向があるため,自分と見つめあう時間は大変有効です。
さらに,勉強でも趣味でも,頑張るのが自分らしいという気持ちを育んでいくことも重要です。
「学級の目標構造に焦点を当てたアプローチ」
よく言われている「失敗は失敗でなく,成長のチャンス」ととらえるような学級風土がこれをさします。
集団において成果と学びがどのように重視されているかを目標構造と言います。
成果にばかり目がいけば,
「なんて自分は無能なんだ。」
「こんなものは自分には無理だ。」
とグリットを育むことはできず,学びに目が向いていけば,
「失敗しても,目標へ向かってどうしていこうか。」
「努力が不足していたのか。はたまた方法の問題か。」
と,粘り強さを育んでいけるのですね。
終わりに
ふと思ったのが,グリットの高い人で思い浮かんだのが大谷翔平選手です。曼荼羅チャートでも有名ですが,長期目標に向かってめちゃくちゃ頑張れる方なのだと改めて思いました。
偉業もそうですが,まずもってニュースで見る限り人間性にほれぼれしてしまいます。
満票MVPもすごいですが,それ以上にご自身の思い描く目標へ向かってこれからも頑張ってください!
※何様やねんという話ですが…
次回はもう少し具体的に,小学校でどう向かい合っていくかということについて触れていきたいと思います。