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読書記録|花屋さんが言うことには
今回はインスタで小説を紹介されていた中の1冊から選んだ。
『花屋さんが言うことには』 山本幸久
ブラック企業から離れてから、お花屋さんで働く主人公の紀久子。
紀久子の本来目指していた夢をブラック企業で諦めそうになったものの、
会社を辞めてお花屋さんで働く中で本来の夢を思い出しかたちにしていく。
花は咲く場所を選ばない
という言葉がある。
意味として、自分の置かれた状況でできる限りのことを精一杯するという。
夢を実現したくて入社した会社では、
望んでいた夢どころか心身共にぼろぼろとなった紀久子だが、
その後にふとしたきっかけで働く事になった花屋で咲いていくのは紀久子自身だったように思う。
誰しもがどこでも働きやすく、自分の良さを最大限に発揮できるとは言えない。
会社によっては人間関係や組織のルールにより、心身共にぼろぼろになる事は今の時代で多いと感じる。
私も以前、体を壊して退職した経験がある。
やりたい事とできる環境を探すには苦労する。2つが一致すれば良いが、現実は難しい。
だからこそ、開花させる場所を見つけて掴んだ紀久子に対して、花は咲く場所を選ばないという言葉が浮かんだ。
同時に私も好きな事を諦めたくないと思った。
花言葉や言葉遊び、花屋を中心に人それぞれの想いや胸の内が垣間見える9つのストーリー。
9つの花が出てくるが、中でも好きだったのはミモザと桜だ。
・ミモザの花言葉は
優雅、友情、秘密の恋。
・桜のフランスの花言葉は
Nem'oubliez pas.(ヌ・ムウブリエ・パ)
日本語で、私を忘れないで。
それぞれの花言葉も好きだが、
隠された意味に気付かされる頃には伝えたい気持ちが届くことはなくとも、
花束が届いた頃には届かぬ想いも花によってやっと伝えられたことに変わりはない。
その言葉や想いを花束にして送ることで、
直接伝えられないこと、手紙では恥ずかしいことも花束によって伝える瞬間は何度もハッとさせられた。
9つの章それぞれに最後に花言葉の意味が出てくるのだが、意味が繋がった時には何ともいえない愛おしさを感じた。
私も花をプレゼントしたり、プレゼントされたりするのが好き。
ストーリーの中でも男性が花を買いに来る話があるが、日常でも男性が花を買う瞬間を見ると勝手に想像して、素敵だなぁと思う。
私の周りの女性では、部屋に花や植物があって手入れしてる人は品のある素敵な人が多いと感じる。
花がある生活ってそれだけで豊かになれる素敵な存在だなぁ。良いなぁ。
私も一輪挿しの花瓶を久しぶりに飾りたくなってしまった。
今度ゆっくりお花屋さんに行ってみようかと思う。
一輪挿しに似合うお花は何だろう?
探しにいくのも、飾るのも楽しみだ。