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【EU】欧州がガソリン車禁止を撤回、EVシフトの終焉?

欧州のEV(電気自動車)ブームが減速し、ガソリン車禁止の方針が撤回されつつある、というニュースが話題となっています。かつては「2035年以降はEV以外の新車販売を禁止する」とまで強硬な姿勢を示していたEUも、現実の壁に直面し、エンジン車とEVの共存を余儀なくされています。(日本でもボチボチですがステラが公道を走ってる姿を見かけるようになりましたよね。)

なぜ、このような変化が起きたのでしょうか。EVブームの勢いに陰りが見え始めた背景には、いくつかの要因があります。


✅EV普及に急ブレーキ

一つの要因は、EVの普及に急ブレーキがかかっていることです。EUは当初、環境対策としてEVを強力に推進しましたが、その政策は一部の自動車メーカーに無理を強いる形となりました。実際、トヨタやフォルクスワーゲンといった大手自動車メーカーの経営陣の中にも、「急速なEVシフトはリスクが高い」と考える者が少なからずいました。

Image) EV Battery 

その懸念は現実のものとなりました。EVの製造コストが高く、特にバッテリーのコストが問題視されていることや、充電インフラの不備が原因で、消費者はEVよりも従来のエンジン車を選ぶ傾向が続いています。特に、欧州の消費者は「高くて性能が劣る」EVを選ばず、エンジン車を支持する声が強くなってきました。

✅トヨタの戦略的強さ

このような状況下で、トヨタの強さが際立っています。トヨタは、電動化の未来を見据えながらも、ハイブリッド車(HV)や水素燃料電池車(FCV)を積極的に推進し、EV一本化には慎重な姿勢を保ってきました。トヨタのCEOである豊田章男氏は、EVのみに頼ることのリスクを早くから指摘し、多様なパワートレインを組み合わせた「マルチパス」戦略を打ち出していました。

その結果、トヨタは2030年代に完全EV化を宣言したフォルクスワーゲンを含む欧州メーカーと比較して、安定的な成長を維持しています。2023年には、トヨタは世界の自動車販売台数でフォルクスワーゲンに200万台の差をつけました。これにより、トヨタは世界トップの自動車メーカーとしての地位を確固たるものにしています。

さらに、トヨタはハイブリッド車の技術で圧倒的な強みを持っています。エンジン車と電動車の中間に位置するハイブリッド車は、燃費性能が高く、環境負荷を軽減するだけでなく、消費者にとっても購入しやすい選択肢となっています。これが、EVだけに依存しないトヨタの強さの理由の一つです。

✅EVシフトの限界と軌道修正

EVシフトがうまくいかない要因の一つに、EVの製造に不可欠なバッテリー生産における中国依存が挙げられます。中国がリチウムイオンバッテリーの製造で圧倒的なシェアを握っているため、多くの自動車メーカーは中国のサプライチェーンに依存せざるを得ない状況にあります。この依存が、EVシフトのペースを鈍らせる大きな要因となっています。

BMWのCEOやメルセデス・ベンツの経営陣も早くからそのリスクを認識しており、EV一本化への危険性を指摘していました。結果として、これらの企業は2030年代までに完全EV化する計画を撤回し、エンジン車を継続的に販売する方針に転換しました。

一方で、ホンダのようにEVシフトを強行する企業もあります。ホンダは2040年までに全ての車種をEVにすると宣言していますが、これが吉と出るか凶と出るかは、今後の市場動向次第と言えるでしょう。

✅まとめ

欧州がガソリン車禁止を撤回しつつある今、EV一辺倒の戦略は見直されつつあります。トヨタのように、多様な技術を駆使して市場に対応する柔軟性が、今後の自動車業界での生き残りを左右するでしょう。

EVが普及しきらない原因は、価格の高さやインフラの未整備、そして消費者の選好の問題です。この現実を直視し、どのように次の10年を乗り切るかが、自動車メーカーにとっての大きな課題となります。


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