[絵本紹介]パリのおばあさんの物語
今日も秋のシトシト雨の土曜日です。
私の住む、冬の長い寒い地域では、外気を楽しめる、春、夏、秋は、とても貴重な季節です。秋の雨の良いところは、なんと言っても、窓を開けて、雨音を楽しむことができることです。
少しひんやりとした、キリッとした清々しい空気が優しい雨音と一緒に部屋に入ってきます。
そんな土曜日の午後、本棚の上のアロマキャンドルを灯すと、昔手に入れた、小さな絵本が目に止まりました。
「パリのおばあさんの物語」(岸惠子訳・千倉書房)
最近、世の中の流れも変わって、より、個の時代「自分を大事にする」という時代になったように感じます。
そして、「ご自愛ください」なんて、私もお手紙の終わりに良く書いたりしていたけれど、「自分を大事にする」、「自分を愛する」という方法を、実は、私は良くは知らないでいるような気がしていました。
気をつけて、自分だけの時間を作ったり、ゆったりした時間を持ったり、ゆっくりお風呂に入ったり、自然の中を散歩したり。時には、マッサージに行ったり、美味しい食事に行ったり、家族や親しい友人達との会話を楽しんだり、、。
もちろん、そういうことは、心身を癒してくれる、日々の喜びの一つです。
この本のおばあさんにも、そういうことを楽しんだ時代がありましたが、今はもう、こういった事すら制限があるのです。
おばあさんは、言います。
「やりたいこと全部ができないのなら、
できることだけでもやっていくことだわ」
そして、
たくさんの歴史を物語っている顔のシワをみて、
「なんて美しいの」とつぶやきます。
(一部抜粋)
おばあさんの視点は、とても優しい。
年を重ねることは、愛おしい自分自身の人生を重ねていることなのだ。
自分自身やその人生のその時々を夢中で生きて、受け入れていく。
誰の人生にも終わりがやってきます。
私の残された人生の時間の中には、まだ自分自身で多くのことができる、チャレンジできる時間があるようです。と同時に、このおばあさんのような優しい視点を持って、自分や人に優しい言葉をかけてみたい、そんな気持ちになった土曜日でした。
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