中学生の時書いた小説の感想を書いてみた
先日、私が中学生の時に執筆した小説をインターネット上で閲覧した。ブログにアップしていたので、読む人はほとんどいなかったが、読んでみると意外と面白かったので紹介する。全文は生き恥なのでこれからも人知れず電子の海に浮かんでいてもらおうと思う。
登場人物
主人公
挑戦的な性格のギャル女子中学生(JC)
プリクラを撮るのが大好き
お母さんから貰ったラベンダーのサシェを大切にしている
友人F
主人公の友達
ミディアムショートヘアのスヌーピー巻きがかわいいギャルJC
主人公は彼女に憧れとも嫉妬ともつかぬ複雑な思いを抱いている
書評
ヤバいものを読まされた。それだけは分かった。過去自分が描いた小説の内容なんて覚えているだろうか?私は1ミリも覚えていなかったので、まるで他人が書いたものを読むような感覚だった。
まず特徴として挙げられるのはその文体だった。
平成JSの間で大人気だった「一期一会」シリーズを彷彿とさせる高揚した文体。
このテンションで、冒頭から主人公JCがいかに素晴らしい日々を送っているかという説明で物語は始まる。
あらすじ
サシェのいい匂いに包まれ、明日の学校が楽しみでワクワクしながら幸せな眠りにつく主人公。もちろん友達とプリクラを撮る描写もある。
しかし・・・あれ・・・?プリクラ機内部でのやり取りは思いの外生々しいものだった。主人公の友人と映るのだが、写りに拘るあまり不穏な空気になってしまっている。出てきたプリクラを見て、主人公は内心で友人Fに対して毒づく。友人Fだけ写りが良かったのが気に食わない様子だ。
その夜、主人公はいつも通りサシェを枕元に置いてベッドに横たわるが、あることに気づく。サシェの匂いが少し薄くなってしまったのだ。
実は、このサシェの匂いは主人公の人生の幸福を象徴していて、物語の主題は中学生の多感な時期にサシェの匂いが薄れるように主人公が日常の幸せを少しづつ失っていくというものだった。
いつも味方でズッ友な友人、幸せな家庭、一方的に憧れていた先輩、一緒に馬鹿騒ぎしたクラスメイト、日常の些細な幸せ・・・
繊細な描写で主人公が周囲から決定的にずれていく様子が書かれる。奇数グループで1人になる孤独を感じる主人公、主人公の陰口を言っているクラスメイトとそれを嗜める友人F、噂を信じて主人公を見限る先輩、幸せだと思っていた家庭内の不和・・・。
もはや冒頭に「辛い時も悲しい時もアタシたちゎ味方だょ。ずーーっと友達!」みたいなシーンがあったのが信じられない程だ。
そして、最終話では主人公は幸せが遠のいていることを悟る。もうこの頃には高揚した文体は見る影もなく、主人公の極めて理性的な主観で物語が進行する。
ついにサシェから匂いは完全に無くなり、母親に暴言を浴びせられてもなお主人公は冷静だった。そんな母親を嘲るように、匂いのなくなったサシェを捨てた主人公の独白が続く。
「あの匂いは無くなってしまった。しかし、いつかはまたあの匂いは戻ってくる、そんな気がしていた。私は手元の文庫本を開くと、もう誰も話しかけて来なくなった昼休みに読書を始めた」という終わり方をする。
感想
怖い・・・。一期一会だと思ったらこんな展開になるなんて、予想できなかった。闇が深すぎる。もはや文体まで変わっているし・・・。
冒頭で「ズッ友だょ」と言っていた主人公は偽りの姿だったの・・・?色々失って取り戻そうとするんじゃなくて諦観する様が虚無を感じさせる。
幸せも匂いも目に見えないけど確かに存在していて、いくら足掻いても捕まえておくなんてできないものね・・・。主人公はこの後再び幸せな匂いに包まれるのだろうか。
どちらにしろ強く生きてくれ。
中学生の発想って面白いな。(過去の自分に対して)
黒歴史読書感想文、面白いのでみんなもやってみてね!