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身体の仕組みを理解して指導してますか?『フォームは人それぞれ』その①


■”はじめに”

日本人は、『型』というものに深い敬意を払っている。
茶道や剣道、書道などの芸道において、「型」は基本であり、その型を忠実に守り、体に染み込ませることが上達の鍵だとされている。
これがスポーツにも影響しており、
「理想のフォーム」や「美しいフォーム」がしばしば強調されます。
インスタなどのコメント欄にも
「良いフォームですね」「もっと、フォームを改善したほうが良いです。」などそういったものがたくさん見られる。

そこで、思う。
良いフォームってなんだ??
と、今回はそんなフォームについてのお話
”その①”です。

大谷翔平選手、千賀滉大選手、佐々木朗希選手
藤浪晋太郎選手、ロベルト・スアレス選手、
アロルディス・チャップリン選手、ジェイコブ・デグロム選手

この選手たちに共通することは何か?
色々あると思うのですが、その一つとして

160キロを超える球速を記録した。

も、あげられるのではないでしょうか。

ここで、今回の問いです。

160キロを記録したのですが、みんな同じ投げ方でしょうか?

違いますよね?
なのに、なぜかフォームを矯正、統一したがる指導者って多いですよね。

■フォームとは

スポーツにおける「フォーム」は、特定の動作を行う際の体の姿勢や動きです。
正しいフォームは、パフォーマンスを向上させ、怪我のリスクを減らすために重要です。
各スポーツには理想的なフォームがあり、技術的な正確さを持つことで力を効率よく伝え、無駄なく動くことができます。

AIより

と、AIも教えてくれています。
そして、ほかの分野(web)のフォームについても質問してみました。

「フォーム」は、ユーザーが情報を入力して送信するためのインターフェースです。
入力フィールド(テキストボックスなど)を使ってデータを集め、送信ボタンで情報をサーバーに送ります。
バリデーション機能で入力の正確さも確認します。ウェブサイトでのユーザー登録や問い合わせに広く使われています。

AIより

この二つを比べて、あることに気づきませんか?

「フォーム」という言葉は、どちらの文脈でも
「適切な手順や動作を通じて目標を達成する」ための重要な要素として使われているのが読み取れます。

  • 正確さ: ウェブフォームでは正確に情報を入力し、送信することが重要。
    一方、スポーツでは正しい姿勢や動作が求められる。

  • 効率性: フォーム(入力インターフェース)は効率よくデータを集めるためにデザインされており、スポーツのフォームも効率よく力を伝え、無駄な動きを減らす。

  • 結果への影響: 両方とも正しいフォームを使うことで良い結果を得ることができる。
    ウェブフォームではスムーズなデータ送信、スポーツではパフォーマンスの向上と怪我の防止にもつながる。

このように、「フォーム」は異なる分野でも、正確かつ効率的に目的を達成するための手段としていますが、ここで重要なポイントがあります。
それは、”人間の身体や能力は一人ひとり異なる”ということです。


■なぜ、フォームに違いが出るのか?

「フォーム」という概念が、異なる分野においても目標達成のために重要であることを理解した上で、次に考えたいのは、
なぜ、スポーツにおけるフォームは一人ひとり違うのかということです。

人それぞれの身体的特徴や運動能力は大きく異なります。
”骨格、筋肉の付き方、柔軟性、手足の長さ、さらには体のバランス感覚などが全く同じという人はいません”

したがって、たとえ同じ160キロの球速を投げる投手たちであっても、全員が同じフォームで投げるわけではないのです。

大谷翔平選手と私が大好きなジェイコブ・デグロム選手に注目したいと思います。

彼らは共に圧倒的な球速を持つ一方で、腕の振りの高さなど投球フォームに大きな違いがあります。

大谷翔平選手のフォームは、肩から腕を高く振り下ろすオーバースローで、体全体を使って角度とパワーを生み出すのが特徴です。

対して、ジェイコブ・デグロム選手は、スリークォーターからややサイド気味の腕の振りで、やや低い位置から投球をするのが特徴です。

※あくまで私の見た感じの意見です。

この2人のフォームに違いがありますが、どちらも
彼ら自身に最適化されたフォームであり、
体格や身体能力に合った方法で力を伝えているのではないか?と考えられます。

ウェブフォームと同様に、スポーツのフォームも「正確さ」「効率性」が求められますが、
ウェブフォームが一つの設計で多数のユーザーに対応できるのに対し、スポーツのフォームは
”その選手に最も合った形”でなければならないのです。

ここに、画一的な指導、これさえやれば上達すると言う指導、が必ずしもすべての選手に効果的ではない理由があります。


■フォーム矯正の問題点:なぜ同じ動きを強制しようとするのか?

1. 成功した選手の「型」を模倣したいという心理

一つの理由として、過去に成功を収めた選手の「型」やフォームが理想的なものと考えられることがあります。

例えば、ある投手が素晴らしい成績を残すと、そのフォームが「成功のモデル」として指導者の間で共有されることが多いです。

これにより、そのフォームを模倣することが、他の選手にとっても成功の近道だと考えられるようになります。

しかし、フォームがその選手に合っているだけであって、全ての選手に合うわけではないという点が見落とされます。

2. 指導者の「理想のフォーム」信仰

指導者自身が「理想のフォーム」という概念を信じている場合もあります。これは、過去の経験や自身が受けた教育に基づくもので、
「技術的に正しいフォームが一つ存在する」という考え方に基づいています。

特に、基礎を重視する日本のスポーツ文化では、このような考え方が根強いことが多いです。

この結果、指導者は選手一人ひとりの個性を尊重するよりも、あらかじめ決められた「正しいフォーム」を押し付けがちです。

そう、これが私の言う「感覚の押し付け、クセの伝授」です。

3. 短期間で結果を出すための効率化

チームや選手が短期間で成果を出さなければならない場合、
指導者は効率的なアプローチを求めます。

だから全員に同じフォームを強制すれば、技術指導が統一され、短期間で結果を出しやすいという考えが働くことがあります。

個々に異なる指導を行うよりも、効率的に指導できると考えるためです。
しかし、長期的なパフォーマンスや怪我のリスクを無視してしまう危険性があります。

4. 伝統的なトレーニング手法の影響

特に日本のスポーツ指導では、伝統的なトレーニング手法が強く影響を与えています。

長年培われてきた「正しい動作」を継承することが美徳とされ、選手はその枠の中で育成されることが一般的です。

これにより、個々の身体能力に基づいた柔軟なアプローチが軽視され、
「この方法が正しい」という考え方が強調されがちです。

これが、「型」に対する強いこだわりへとつながります。

5. 怪我予防やパフォーマンス向上の誤解

指導者の多くは、「正しいフォーム」が怪我のリスクを減らし、パフォーマンスを向上させると信じています。
これは一部正しいですが、その「正しいフォーム」が全選手に適用されるべきではないということを見逃していることが多いです。

各選手の体の構造や筋肉のバランス、柔軟性などが異なるため、全員が同じフォームを取ると、逆に怪我のリスクが高まる可能性があります。


■フォームの多様性と個性を尊重する重要性

160キロを超える球速を投げる投手たちのフォームの多様性は、野球における「フォーム」という概念が一人ひとり異なることを物語っています。

画一的な指導や「キレイなフォーム」を求めることよりも、選手それぞれの個性に合った最適なフォームを見つけ、磨いていくことが、長期的なパフォーマンス向上につながるのです。

今後、野球界においても、フォームの多様性が認められ、それぞれの投手が自分に最も適した方法で力を発揮する時代が来ることを期待したいと思います。


■まとめ:フォームの関係性を理解する重要性

スポーツにおける「フォーム」と「型」は、単なる技術や動作の問題ではなく、選手の身体的特徴や精神的な成長、さらにはその競技に対する理解と密接な関係性を持っています。
特に日本では、「型」を重んじる文化が根強く、フォームに対しても一定の美的基準や理想が存在しています。
しかし、これがすべての選手にとって最適なアプローチであるわけではありません。

大谷翔平選手とジェイコブ・デグロム選手の例から学べるのは、
型そのものが成功を保証するのではなく、選手一人ひとりが自分に最適なフォームを見つけ、
型と自分の身体との関係性を理解することが、パフォーマンス向上のカギであるということです。
大谷とデグロムの投球スタイルは、まさにそれぞれの身体の特性に応じた最適化の結果ではないでしょうか?

また、これは野球だけに限らず、他のスポーツでも同様です。

型を重視する伝統がある一方で、現代スポーツでは型に対する柔軟なアプローチと選手個々の特性に合わせた指導が必要です。

選手が型を学びながらも、自らの身体や感覚に合ったスタイルを見つけ、それを成長させることこそが、長期的な成功につながります。

日本のスポーツ文化において、型を学ぶことは重要であると同時に、
型に固執せずに選手自身が最も効率的に力を発揮できるフォームを探求する自由が必要です。

これがスポーツ指導の新しいステップであり、未来の選手たちに求められるアプローチではないでしょうか。


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