AIが適当に考えたプロット。 から適当に執筆してもらった小説❔③
【第5話:三角関係と衝突する想い】
廃工場への突入作戦を前にして、いったん葵たちは準備期間を設けることにした。とはいえ、時間がないのも事実。暴走する衣服たちの被害はどんどん拡大している。街中からは悲鳴や混乱の声が上がり続けていた。
「くそ、ここまで追い詰められてるのに、どうにかならないのか……」
葵は店の奥で古い部品をかき集めては、壊れた洗浄装置の修理を試みている。しかし、完全復旧は難しいらしく、思うようにいかない。
一方で、楓も最新端末を自分の店から持ち出してテストしているが、大規模に使うには電源やソフトの安定性など、問題が山積みだ。
「多少リスクはあるけど、持ち歩けるミニ装置として組み直してみるわ。制御は難しいけど、ないよりはマシでしょ」
彼女の表情は真剣そのもの。だが、それを間近で見つめる玲奈は、歯がゆい思いを隠せない。
――葵のために頑張っている。自分も取材という形で支えたいのに、クリーニングの技術力にはどうしても口を出せない。
「私にできるのは、せいぜい事件の真相を追うことと、世間に正しい情報を伝えること……。でも、葵が危険な場所へ行くなら、私だって同行したい」
玲奈はそう決意している。だが、楓もまた同じように「葵を助けたい」気持ちがある。二人の思いは似ているが、互いに牽制し合う場面が多い。
その夜。店の修理も一段落し、葵は一人で倉庫から必要な物を運び出していた。そこへ、両サイドからひょっこりと顔を出す玲奈と楓。まるで示し合わせたようにタイミングが被ってしまった。
「わっ……びっくりした」
「ご、ごめん。様子を見に来ただけ」
「私も……外回りの修理が終わったから、中の方を手伝おうと思って」
少し沈黙。その間に、葵が運んでいた箱を史郎が器用に持ち上げようとする。
「オレが手伝うから、おまえらは続きやれよ。何だか空気が重いんでな」
史郎の軽妙な言葉にも、玲奈と楓は反応できず、お互い少し目線を外したまま。しばらくして、楓が切り出した。
「……葵って、昔からそうだけど、危なっかしいところあるよね。いつも自分のことより、目の前の誰かを助けることを最優先にして……」
玲奈は小さく頷く。
「そうだね。小さい頃から、何かあっても無理しちゃうタイプ。父母を事故で亡くしてからは、なおさら……誰かを守らなきゃいけないって気持ちが強いのかも」
互いに同じ男を思い合いながら話している、という複雑な状況。だが、意外なほど素直な空気がそこにあった。
楓は少し俯き加減で呟く。
「今も、ホワイトを止めるとか、街の人たちを守るとか言って……本当は自分が一番傷つくかもしれないのに」
「だからこそ、私たちが支えてあげなきゃ。……って言いたいところだけど、楓はそれをどう思うの? 葵のこと……好きなんでしょ?」
玲奈があえて直球で聞くと、楓は思わず赤面しながら「はぁ!? な、何言ってんのよ」と声を上げる。
「そ、そんなわけ……ない、って言いたいけど、ま、まあ……嫌いではないわ。――ちょっと意識してるのは認める」
その言葉に、玲奈は心臓がドキリとする。一方、自分も葵に想いを寄せている。それを正直に楓に言うかどうか――迷いながら、少しだけ胸の内を明かすことにした。
「私もね、昔から葵を見てきたから……やっぱり特別な存在なんだよね。でも、うまく気持ちを伝えるのが苦手で……。気づいてるかどうか分からないけど、葵自身も鈍感だし」
楓はその言葉に反応して、少し意外そうな顔をした。
「玲奈って、もっとはきはき言うタイプかと思ってたのに、意外と奥手なのね」
「うるさい……でも、あんたもじゃない? 葵の前だと、妙に素直になれないくせに」
「そ、それは……」
――バチバチ。空気はまた再び火花を散らしそうになるが、さっきまでの険悪なムードとは少し違う。お互いの気持ちを少しだけ知ったからなのかもしれない。
そこへ、作業を終えた葵がやって来る。
「あれ? 二人ともこんなところで何してるんだ? もしかしてケンカ……」
「な、なんでもないよ!」
「別にケンカじゃないし!」
玲奈と楓が同時に言い切る。葵はポカンとして「変だなあ……?」と首を傾げるばかり。
そんな様子を見ていた史郎は、「おまえは本当に鈍感だな」と呆れ気味に呟く。
「ま、そういうとこが人を惹きつけるのかもな」と、布のすそでクイッと笑みを表現した。
かくして、三角関係を匂わせつつも、一行は準備を進める。警官の羽田は武器こそ拳銃と警棒だけだが、何かあったときに警察のバックアップを呼べる。楓のミニ洗浄装置と、筒井クリーニング店でかき集めた道具。玲奈の取材で得た情報ネットワーク。史郎の探偵的推理。それらを総動員して、廃工場へ乗り込む日が近づいていた。
――だがその影で、ホワイトの動きも着実に進んでいる。彼は、父への歪んだ思いを胸に秘め、人間社会を崩壊させるべくさらに多くの衣服たちを仲間に引き入れていた。
【第6話:廃工場への潜入と謎の装置】
翌日早朝。
「ここが……噂の廃工場か」
葵たちは街外れにある広大な敷地に足を踏み入れた。古い鉄骨造りの建物が何棟も並んでいるが、屋根は所々崩れ、窓ガラスはほとんど割れている。足元には錆びた鉄板やゴミが散乱しており、一見すると人の気配はない。
羽田が地図を見ながら囁く。
「通報があったのは、この奥の棟らしい。白いシャツを着た謎の人物や、持ち主がいないはずの衣服たちが出入りしてるのを見た人がいる」
それを聞いた楓は、小型化した洗浄装置を背負い直しながら周囲を警戒する。
「もし衣服がたくさん集まってたら、こっちが数人で入っていって大丈夫なのかな。前に店で襲われたときみたいに、どっと攻められたら……」
「そこは俺が何とかするよ。最悪の場合は警察に応援を呼ぶ。いや、本当は上の許可を取ってから動きたいところなんだけど……」
羽田は苦い顔をする。まだ正式に組織として動ける段階ではなく、こうして個人的に駆けつけてくれているのだ。
――廃工場の入口に近づく。中は暗く、埃まみれ。だが、どこか奥からは機械の駆動音のようなものが聞こえてくる。
「人間がいるのかな……?」
葵が耳を澄ますと、布が擦れるような音もする。史郎がくぐもった声で注意を促した。
「気を付けろ、いるぞ……」
薄暗い通路をそろりと進むと、そこに浮かび上がったのは数着の衣服たち。それぞれが自立して動き、何やら通路の警備をしているようだ。
「いきなり襲いかかってくるつもりはなさそうね」
楓が小声で言うが、相手もこちらの存在には気づいているらしく、警戒態勢を崩さない。
「……人間が来たな。ホワイト様がご用意された新装置の前に、これ以上進ませるわけにはいかない」
「何だ、新装置って……?」
葵が思わず聞き返す。返答はない。代わりに衣服たちがじわりと距離を詰め始めた。
「あまり派手な戦闘はしたくないんだけど……」と羽田が呟くや否や、先頭に立っていたスーツがボソボソと言葉を発する。
「我らは、人間に汚され、扱い捨てにされてきた。それを救い、真の自由を与えてくれるのがホワイト様。貴様ら人間は引き返せ」
「ホワイトはそんなことを……。それ、勘違いじゃないのか? 服と人間は協力して生きていくんじゃ――」
「黙れ! 騙そうとしても無駄だ。ここから先には行かせない!」
スーツが体を膨らませるようにして威嚇し、他の衣服たちも同調する。すぐにでも襲いかかってきそうな雰囲気。
楓が慌てて背負っている洗浄装置のスイッチに手をかける。
「いきなり最大出力は無理だけど、抑制スプレーくらいなら使えるはず!」
「よし、一斉に……!」
葵が言いかけた瞬間、上階からガタンと大きな音がした。梁の上を見上げると、そこには人影……ではなく、やはり衣服のようなものがうごめいている。
「上からも来るぞ!」と史郎が警告する。
混乱の中、楓が操作する洗浄装置からシュッとスプレーが噴射される。辛うじてスーツたちの動きは鈍くなるが、上から降ってくるジャケットやズボンが葵たちを狙ってくる。
「やばっ……!」
玲奈が悲鳴を上げるが、葵は素早く飛び出して彼女を庇う。その間に羽田は警棒を振り回し、突っ込んできたジャケットを弾き飛ばした。
「くそ、意外と数が多いじゃないか!」
それでも、店での襲撃のときに比べれば、スペースが広い分まだ動きやすい。史郎の袖が鞭のようにジャケットを捕まえると、楓の洗浄スプレーがシュッと噴射され、ジャケットは弱々しく縮こまった。
「今のうちに行くぞ!」
羽田の掛け声で、葵たちはさらに奥へ突き進む。衣服たちは辛うじて追いかけてくるが、洗浄スプレーを浴びた影響で動きが鈍い。どうにか巻くことができそうだ。
やがて、どこから聞こえていたのか分からない機械音が次第に大きくなる。建物の奥に広がる空間に足を踏み入れると――そこには巨大な装置が据え付けられていた。
「これが……“人間の精神を賭けた新装置”ってやつ……?」
錆びついた床の上に、異様に光る金属フレームが組まれており、その中央には円筒形のガラス容器のようなものが立っている。青白い液体が充満していて、かすかに泡が立っている様子が見えた。
「何だか嫌な予感がする……」
すると――バサリ、と白いシャツを翻しながら、ホールの奥から姿を現す男がいる。いや、男……というよりは“白いシャツ”が人型を作り出しているようにも見える。その胸には、微かな光が宿っていた。
「ホワイト……!」
羽田と楓が身構え、史郎も襟を揺らして警戒体制を取る。玲奈はスマホを握りしめ、その様子を見守る。
ホワイトと呼ばれるその存在は、思ったよりも落ち着いた声音で話し始めた。
「ようこそ、我が研究施設へ……と言いたいところだが、ここはただの廃工場だ。かつての創造主が残したゴミのような場所を、少し改装させてもらったに過ぎない」
白いシャツからにじみ出るのは、静かな敵意と嘲笑。葵は一歩踏み出し、父の研究ノートを掴んだまま叫ぶ。
「お前がホワイト……父さんが作った“試作体”なんだな? なぜ、こんな反乱を起こすんだ! 父さんはお前と共存したかったはずなのに……!」
ホワイトの肩らしき部分が小さく揺れる。まるで嘲笑するかのように。
「共存? 笑わせる。あの男は、私を“実験道具”として扱っただけだ。実験がうまく行かなくなれば、私は捨てられた。……それが奴の本質だ」
「そんなはずはない! 研究ノートには、お前を大切に思っていたって……」
葵の言葉に、ホワイトは鋭く言い返す。
「ノートに何が書かれていようと、事実は変わらん。私は“置き去り”にされたのだ! 創造主に見捨てられた痛みを、人間にわかるものか!」
その瞬間、ホワイトの周囲に白いオーラのようなものが立ち込める。まるで怨念が形を取っているかのよう。声は次第に怒りを帯び、装置の中の液体が泡立ちを増していく。
「これが、私が開発している“支配の装置”だ。人間の精神と服の精神を融合させ、衣服が完全に主導権を握る世界を作り出す。そうすれば、人間など服の下僕に成り下がるのだ……」
「そ、そんな……!」
唖然とする葵たち。確かに、ホワイトは父の研究で“衣服に人格を与える”技術を得た。その技術を逆手に取り、人間から精神を奪い、支配しようとしているのか。
「お前……こんなことを続ければ、服も人間も不幸になるだけだろ!」
史郎が吠えるように言うと、ホワイトは冷たい笑みを浮かべる。
「黙れ、名探偵のコート風情が……。お前も創造主に死なれた口か? 同情などいらん。私は傷ついた服たちを救い、新しい世界を築く。その世界では、もう人間の都合に左右されない……!」
場の空気が張り詰める。いつ戦闘が始まってもおかしくない状況だ。葵が震える声で言う。
「父さんは、そんなこと望んでいなかった。お前を作ったことを後悔しながらも、でもいつか一緒に歩んでいけるって信じて……」
「笑止……!」
ホワイトの体から衝撃波のようなエネルギーが走る。建物全体がガタガタと震え、上階にいた衣服たちが一斉に飛び降りてきた。周囲を囲む形で、葵たちは逃げ場を失う。
「……やばい!」
羽田が拳銃に手をかけるが、相手は服の大群。一発撃ってどうにかなるものではない。楓の洗浄装置も、さきほど使った分で薬剤が残り少なくなっている。
「ぎりぎりの攻防になりそうね……」と楓が青ざめた表情を見せる。
「みんな、落ち着いて! ここで諦めるわけにはいかないわよ!」
玲奈は震える足をぐっと踏みしめる。撮影しながらも、葵たちの支えになりたいと強く願っていた。
ホワイトが冷たく命令する。
「かかれ……! 人間たちを捕らえろ。装置の試験体に使ってやる……」
一気に押し寄せる衣服たちの群れ。廃工場の闇の中で、最後の逃げ場を失いつつある葵たち。果たして――。