#198_「言葉の向こうに」の授業をするときは内容項目理解と同時にここも押さえたい

中学校道徳読み物教材「言葉の向こうに」の授業検討会を行いました。

わたしが考える今回の教材の肝は「中傷を書き込んだ相手を許すこと」ではなく「書き込まれた言葉の向こうに”人”がいることを想像すること」。

悪意をもった書き込みをする人も世の中にはいますし、そこにまで寄り添うと最悪の場合、犯罪に巻き込まれるケースもあります。
日常生活ではその判断が重要ですが、文字言語ではその判断がとても難しい。
音声言語が当たり前のようにもっている微妙なニュアンスが、相手に伝わりにくいからです。(SNSがよい例ですね。)

なぜこのようなことが起こるのか、音声言語と文字言語の違いから考えてみましょう。

言葉は意味を伝える「記号」ですが、音声言語はその中に相手の心を掴むヒントを含んでいます。
例えば「ありがとう」と言われたとき、本当に感謝しているかどうかは声の感じと相手の表情ですぐにわかります。
しかし文字言語ではそれらの情報(伝わるニュアンスや表情など)が欠けているため、相手の感情は受け取った人の想像力に委ねられます。

さらに、チャットなどの「打つ」文字言語は「書く」文字言語と異なり瞬発力を伴い吟味されていない言葉。
にも関わらず、音声言語と違って情報が少ない、消えずに形として残る言葉でもあります。

子どもたちにこれらの違いを考えさせる必要はありませんが、わたしたちが考えておいて損はないでしょう。

この教材は「相互理解・寛容」ですが、内容項目理解を深めると同時に、このような言語認識の違い(認知心理学や心理学の領域)についても理解を深める必要がありそうです。

子どもたちのリアルな日常に関わる内容だからこそ、リアルな問題として考える時間をつくりたいものです。

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