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黄昏【詩】
神の名のオルゴールの
記憶よりこぼれ落ちてゆくものを指差してみる
時の胡桃はほつれゆき
ほどけていく襤褸の天空より垣間見えた
腐った日輪の翳は薄れゆく
地を染める数滴の穢れた濁り雫
平日の麗らかな豪雨の午後を歩きやがて立ち竦む者たちだけを世界に取り残して
忘却の墓にすら棄てられず
無の揺籠のなかで冷たい時を
不動の罪を抱えて逆流していく
ああ
詩の死の潮に駆られ
我が一刀の指で
過ぎ去った時代の星座を紡ぐ
海は噴き上げ空を描き、大地に命を泡立てる
そして
新たな希望を植える残酷な手を
人間と神を粘土で再び作り上げるこの手を
そうだ
苦痛に乗る自由なこの妄想の翼を!!
ああ、どうか
どうか、汚れ、折れてしまったこの手を
そっと、やさしく
いつかの君に握ってほしい
愛の炎で導く碧き君に
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