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夜霧を纏いて舞う姫【詩】

時の手で

抉り抜かれた魂に

鏤められた灰は

時の手で

囁くように集められて

甦った襤褸は

時の手で

引き裂かれて

澱み流れる

穢れた血は

時の手で

むすばれて

あなたの口にそそがれる


過去の坩堝となったあなたを

貫き

駆り立てる

廻る鮮血を吸った

時の手が握る筆から

雫が

ふと

滴り

静寂の跫音あしおとを奏でながら

黄昏を越えて

天へと堕ちて

滲み

融けて

乾き

夜霧が立ち籠める


やがて

闇に咲く、砂漠の舞姫、永遠は

海を凪ぐ子守唄で

宇宙を包み込み

その腕のなかで

星々は

瞬きをやめて

夢に沈む


死に突きつける剣から迸る太陽の光が

いつか世界に届くまで

※再投稿しました。
※2023年文芸思潮さんから奨励賞を頂いた詩のひとつです。



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曲田尚生
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