自ら命を絶った息子――命って、生きるってなんだろう?
死なないで……家族はあなたを愛しています。
《自死遺族》
あれから何年も月日は過ぎ、バイトもし、友達もでき、少しずつ普通な生活ができるようになった。
この町は、子供との思い出の場所も無いし、周りは私の過去を知らない。
だから、伸び伸びと生活した。
――でもね、
ひんやりした風の感触や、あの花の香りを感じた時、心が沈む。
あなたが生まれた季節や、あなたの好きな花の香りを、身体が覚えていて、
あの頃の、楽しかった思い出が蘇り、
自然と涙がこぼれ落ちる。
あなたとの思い出の場所を、見るのが辛くて、この町に逃げてきたのに、季節や風や、匂いや音までも私を苦しめる。
私の身体には、最愛の息子の思い出が染み付いてる。
忘れたくても忘れられない。
逃げたくても逃げられない。
苦しみながら、生きていく。
会いたいよ。