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映画「ダゲール街の人々」とパリの下町

海外出張の国際線の機内で「ダゲール街の人々」を見ました。
面白かった。映画のラインナップを見ていてたまたま75分のドキュメンタリー映画とあったので見たのだけれど、これがおもしろかったのです。

香水店の老夫婦

1975年製作のドキュメンタリー映画でフランスの女性映画監督アニエス ヴァルダの作品。彼女が住んでいたパリ14区の下町ダゲール街に住む人々を淡々と描いたもので、大きなトピックスがあるわけでもなく、香水屋、パン屋、肉屋、床屋といった人々の日常が淡々と描かれている作品。

1975年だから50年前ほど前のドキュメンタリーで、なんか昔のNHK 新日本紀行の フランス版かと思ってしまった。町の集会所みたいな会場で胡散臭げでチープなトリックショーをするマジシャンの寸劇をはさみながら、人々の日常がオムニバスに描かれる。

香水屋の老夫婦、特に小柄で小顔のおばあさんの見た目の印象がたぶん映画の大きなインパクトになると思います。このおばあさんはもうろくしてるのかな、なんか用事があるわけでもなく、店内にいてお客が来ても相手するわけでもなく、なんか佇んでたりする。ナレーションによると以前は店でアクセサリーなんかも扱ってて、やり手だったとかいうけど今はもうお店の静かなキャラクターって感じ。
ただ小顔で、スラブ系なのかな? 暗くはないけど、なんともいえない表情があって監督はこのおばあさんと香水屋を取り上げたくてドキュメンタリーを作ったんじゃないかとも思えます。

他にもパン屋さん夫婦とか、アルジェリアからやってきた八百屋?とか、肉屋とか、それぞれの日常をオムニバスに淡々と、けど終わってみたらなんかいい作品見ちゃったっていう映画でした。

家に帰ってから、パリのモンパルナスあたりの下町っていってたなあ。
ダゲール通りって検索したらどのあたりか判るのかなあと検索してみたら、

あーら、 ビックリ。


まったくの偶然だけど、行ったことのある通りでした。
2022年11月にパリに行ったとき、メトロ6号線はけっこう高架を走るので、眺めがよくて面白いなあとしばらく乗って、地下にもぐったあたりで降車したのがダゲール街最寄りのDenfert-Rochereau駅でした。

Denfert-Rochereau駅
RERの駅でもあるからでしょうね
駅舎が立派
駅から少し行くとカタコンプ
けっこうな行列だったので
このときはパスして南へ下ってみたのです

ちなみに、
左奥のライオン像はアメリに登場するもの
そうしたらマルシェなの?
商店街なの?という通りがあってしばらく散歩
これがダゲール通りでした
ブーランジェリーらしい品揃え
このときはバゲットを半分買って
もぐもぐ食べながら散歩
こんな感じのとおりがつづくダゲール通り
左側がブーランジェリーで右がここでも発見!

オー メルベイーユでした
(東京の神楽坂にもお店があります)
トップでも貼ってますが
パリのブーランジェリーでは
こんな特大のメレンゲありますよね。
みんなどうやって食べるのかな

とても食べきれなさそうなので
いつも手を出せずにいます

ダゲール街の人々は50年ほど前の映画で製作した女性監督も数年前に他界したらしい。 街は振り返ると映画のときと大きく変わってないようにも見えるけど、それぞれの店で続いてるところってないんじゃないかな?

それぞれのお店の人へどこから来て、いつからお店をやってる とナレーションが入ってましたが、このあたりは戦前はユダヤ人街でユダヤ人が居た頃を知ってる人、それと関わりなく戦後やってきた人とそれぞれの事情や戦後の複雑な事情があるのだと鑑賞後知りました。ダゲール街の通りを歩いてるときに東京の神楽坂にもあるオーメルベイーユがあったので写真に収めたら(たまたまですが、)所謂ユダヤ人の服装の学生が写ってました。
戦前はユダヤ人街で今もなにがしかの関わりがあるのかな。パリを歩いてると、カナダのトロントほどではないけど、ここはxx人街だったのね ということがあります。色々と背景がある通りなのかなと思いました。

まあ、様々なお店が連なって、建物から大きく張り出した庇が両側にあって、そこを通るとマルシェの雰囲気でパリの下町だ という雰囲気にあふれた たぶん監督が伝えたかったパリの下町がそこにありました。

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