見出し画像

6月振り返り

電車で隣に座ってきた女子高生がカバンから日焼け止めを取り出し、自らの生足に日焼け止めを塗り出した。突如、現実世界で起こった耽美な光景に車内は騒然とする。心臓が飛び出そうとはこういうことだ。おい、前に座るおっさん。そんなにジロジロ見るな。ストリップ鑑賞のマナーがなってない客に怒鳴りつける常連かのように心の中でおっさんを叱りつけた。
私が官能小説を専門とした小説家だったらこの素晴らしさをもっと上手く言葉にできたのに。くそっ。
…いやはや女子高生よ。あなたの影響力はあなたが思っているより大きい。それはあなたが思わぬところで作用することもある。くれぐれも些細な行動にも注意を払って。特に公共の場では。
元女子高生より。

ラーメン屋にて、カウンターで焼き豚丼をたべていたところ、後ろに座っていた中国人観光客の口から「タンメン」という一言が聞こえました。
中国人の口から発せられた「タンメン」の響きに私は奥歯の動きをピタッと止め、左手に持っていたスプーンをそっと器に下ろし、気付けば全身はすでに何も動けなくなっていました。
中国人はご存じないかと思いますが、実は、日本人の半数以上は「タンメン」という単語を次長課長の河本の声でしか知り得ないという稀有な民族なのです。本家である中国人の「タンメン」を実際に聞いてみると、今まで次長課長の河本から教えられた発音とは全く違います。本場はもっと発音が滑らかでした。タンメンの麺のごとく、スルッと耳に入ってくる心地良い響き。これか!これが本物のタンメンか!!!
全身から抜けきった力をもう一度取り戻し、焼き豚丼と共にこの感動を噛みしめました。教育というのは恐ろしいものです。子供の頃に信じたものが、大人になって裏切られるというのはよくあることですが、いくつになってもショックと感動は押し寄せてくるものです。「サンタさん」に裏切られた子供の人数は数えきれません。それと同じくして、私は「タンメン」に裏切られたのです。こうして人は大人になっていくのです。


この文を書いているのは6月15日を過ぎたところです。中旬です。四捨五入したら下旬です。
6月は5月よりもスピードが早い。早く過ぎてしまえと願っているからだろうか。
恐ろしいことに今月はまだ一度も映画を見ていない。
恐ろしいことに今月はまだ一度も台本を書いていない。
一体どういうことだろうか。
小林賢太郎の新刊を読んでいて気づいた。
「私は消耗している」と。

来月はコンテンポラリーダンスを習おうと思います。先日、『未来少年コナン』の舞台版を拝見して絶対に習おうと誓いました。
あと、岩盤浴にも行こうと思います。大好きなのに最近行けてません。大学の頃から4年ほど岩盤浴は定期的に通ってますが、石の違いとかは正直よくわかりません。石の違いによってどういう効果の違いがあるかとかもぜんぜんわかりません。とりあえず、暑いです。特殊なパワーを持った小さな石ころたちが集結した途端、人間の体をじんわり温めていきます。しかも体に良いです。一言で言うと最高です。だから絶対に行ってやるんだ。絶対に!

6月は暇さえあれば自己分析してました。
もう本当に自分がわからなくって。

「やりたいことは行動しながら修正しつつ、どんどん本当にやりたいことに近づけていく」

自己分析の本に載っていた言葉。いい言葉すぎる。迷ってるときにこういう言葉がいつも私のそばにやってきて、「いま、どうすか?」と誘ってくるので、私はひょこひょことその言葉に付いていく。すると、ちょっと楽になる。「ふぅ〜」と躊躇いもなく深い息を吐き出せるようになる。日々、助けられてます、言葉に。エブリデイサンクス!
やりたいことってすぐ見つかると思ってました。でも、やってみると違いました。右折左折の繰り返し。気付けばどこで曲がったとか、何回曲がったとかもわからなくなっています。他の人は20代前半に、早い人は高校を卒業してすぐ、自分のやりたいことに真っ直ぐ進んでいるのに、私はいつまで経っても曲がりっぱなしでイルミネーションを楽しみながら御堂筋の大通りを駆け抜けるなんてことは夢のまた夢です。どちらかというと、道頓堀から身を投げてます。阪神が優勝してなくても。あるいは、「わくわく算数」の表紙の迷路の中を彷徨っているのかもしれません。


「わくわく算数」覚えてますか?

あ~人生ゲームみたいにルーレット回したら急に弁護士になれたりしないかな~。


おしゃれなおばあちゃんを見るとテンションが上がります。テンションが上がるだけでなく「お、やってやろうじゃないか!」となります。見ているだけでやる気が上がります。なので、やってやろうかと思います。

6月に見た映画です。
『あんのこと』結局6月には見れなかったな。悔しい。
ナショナル・シアター・ライブデビューしました。最高でした。

・『水深ゼロメートルから』(2024)
・『違国日記』(2023)
・ナショナル・シアター・ライブ2024『ディア・イングランド』(2024)


ある日、「2分で伝わるものを作りなさい」と言われました。
わたしは「2分で伝わらないものを作りたい」と思いました。

7月こそは楽しくなりますように。
みなさんの7月も楽しくなりますように。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?