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歴代レスラーのメインエベント出場回数ランキング

プロレスは、他のスポーツのように記録では語れないジャンルだと言われています。勝敗も実力要素だけで決まるわけではないですからね。
それでもどうにかして、歴代のプロレスラーの価値を定めてランキング化したいという欲望が、自分にはありまして。どんな方法があるかと模索したんですが。
やっぱり「メインエベントに出場すること」、それも東京23区内の1万人以上が収容できる大会場でメインエベントをまかされることは、プロレスラーにとっては最大の価値ではないかと思ったんですね。
なのでこれを徹底的に調べよう。それも1954年2月19日の日本プロレス蔵前国技館での力道山・木村政彦対シャープ兄弟から現在、2024年10月14日の新日本プロレス両国国技館でのザックセイバージュニア対内藤哲也戦までの、全団体の興行記録を調べようと思った次第です。
これには国会図書館に何日も通わないといけませんでしたけどw

かくして調べ上げた、「歴代プロレスラーの、東京ビッグマッチ興行に
おけるメインエベント出場回数」の記録ランキングを、ご覧ください。
(該当するのは蔵前国技館、東京体育館、日大講堂、後楽園球場、田園コロシアム、日本武道館、東京ドーム、有明コロシアム、有明アリーナでの興行です)

第1位 アントニオ猪木   117回出場

さてやはりというか、東京大会場でのメインエベント出場回数が最も多かったのは、燃える闘魂のアントニオ猪木でした。
1966年10月の東京プロレスでのバレンタイン戦(蔵前)から、1998年の新日本プロレスの引退試合ドン・フライ戦(東京ドーム)まで、実に
117回のメイン出場。1989年に国会議員となり実質セミリタイアしていますから、それまでの23年間に112回のメイン出場で、平均すれば1年に5回弱メインに登場していたという、凄まじい回数です。
日本プロレス時代から馬場とのタッグでそれなりの回数メインに出てたこともあるんですけど。新日本になってからはメイン出場が当たり前で、1980年には年9回もメインエベントを務めました。
ただ40歳を越え、体調が衰えてからもメインを張り続けたのは良し悪しで、世代交代が遅れたことも事実でしょう。

第2位 ジャイアント馬場 80回

続いて2位は、こちらも当然ながら世界の巨人、ジャイアント馬場です。
1963年3月の力道山・馬場・東郷対オコーナー・エリス・Xの6人タッグ(蔵前)から、1994年3月の三沢・小橋対馬場・ハンセンのタッグ戦(武道館)まで80回出場してますね。
日本プロレスの頃は馬場のインター防衛戦が東京大会の定番。全日本プロレスの初期もPWFの防衛戦でメインを張りましたが、1976年以降は鶴田や
ファンクスと分け合う形を取り、全日本の東京大会場使用頻度が少なくなったこともあって、猪木とは差がつきました。とはいえ80回は大変な回数です。

第3位 力道山   64回

馬場、猪木ときて、3位に力道山が来るのがとても納得感があります。
何せ実質10年間しか活躍していない力道山ですから、タイトル防衛回数の
ランキングをつけても、さほど上位にはこないでしょう。しかし興行の記録となれば、10年間メインを独占していたスーパースターの凄さが、はっきりと現れます。
10年間でメイン64回出場ですから、年平均で6回強は東京の大会場でメインエベントを務めていたということです。しかし、平均テレビ視聴率40~50%を取っていた力道山としては、それでも控え目に見える程です。

さてここまでは納得のランキングだと思うのですが、4位以下がなかなか興味深いところだと思います。

第4位 三沢光晴  62回

第5位 武藤敬司  59回

三沢と武藤が4位と5位で並ぶ。しかもメイン出場回数が僅差というのが大変に面白いところです。もちろん同時に同じ団体に所属したことはなく、出場回数を誰かがコントロールしたわけではありません。自然の流れの中で、
そうなったのです。
つまりこの二人のレスラーとしての価値、興行価値は、文字通りに『甲乙つけがたい』ということなんですね。
三沢は四天王時代といわれた90年代の全日本プロレスにおいても、常に興行の軸でした。その意味ではジャンボ鶴田を越えた、絶対的なメインエベンターとしての信頼感が、馬場からあったといえるでしょう。力道山の64回とほとんど差がない62回のメイン出場というのは、レジェンドの領域といえるのではないでしょうか。
武藤は新日本時代は橋本にメインの回数を一歩譲る扱いでしたが、全日本、所属外として参戦した新日本、W-1、そしてプロレスリング・ノアと、細かく稼いで、結果として三沢と肩を並べる出場回数となりました。これもまた
レスラーとしての武藤の高い価値を示す事実だと思います。

第6位 天龍源一郎  54回

第7位 川田利明   49回

天龍と川田が6位と7位で並ぶのも、これまた興味深いと言いますか。
天龍は全日本で「天龍革命」を起こし、鶴田を越える興行の軸となり、その後はSWS、WARで新日本との対抗戦を始め、フリー的に重要視されて、
オカダカズチカとの引退試合までメインを務めました。選手寿命も長い選手だったので、この位置にくるのも納得です。
これに対して川田は、四天王時代は三沢に次ぐ存在という位置づけでしたが、ノア勢が抜けてからは全日本の看板を背負うことになり、結果としてレスラーバリュー以上のメイン回数を務めた感じですね。

第8位 棚橋弘至  46回

第9位 橋本真也  43回

新日本の新旧エースが、8位と9位にきました。
橋本は、90年代に新日本が東京大会場のビッグマッチを乱発していた頃の、興行の主軸です。今思うと「武藤より橋本」というのがアレでもあるのですが、当時としては新日本のカラー的には橋本だったのです。
これに対して棚橋は、猪木イズムが払拭された時代の新日本プロレスのエース。というより、彼の存在が新日本のカラーを変えたとも云えます。
現役レスラーとしては最多のメイン出場回数は、さすがと言うところです。

第10位 ジャンボ鶴田  42回

そして「最強論」では常にトップで名前があがるジャンボ鶴田が10位です。この10位というランクは低いのか、高いのか。天龍よりは低いが、長州藤波よりは上。でも三沢川田には劣っている。
鶴田の場合、初めてのメインは22歳の時の、馬場と組んでのファンクスとのインター・タッグ戦(蔵前)。25歳の時はガニアやテリーとシングルでメインを張っていますから、その早熟さからすると、もっと回数が増えてもよかった気がします。
もちろん42回は少なくはないけれど、割とタッグでのメインが多いんですね。馬場、天龍、谷津、田上と組んでのメインが。
そしてシングルマッチでは、ブロディに負けた、天龍に負けた、三沢に負けたと、負けた試合の方が印象に残るのも事実ですw
要するに、三沢のように完全に軸になるエースとしては、(馬場に)託されなかった部分があるのでしょう。
とはいえ、鶴田がメインを務めた試合には先ほどのブロディ、天龍、三沢戦はもちろん、マスカラス、フレアー、ニック戦など名勝負、好勝負も多いので、やらせてみれば期待に応えるレスラーでもありました。
色々ありますが、ベストテンに入って良かったですw

ということで、ここから11位以下をザっと見ていきましょう。

11位 スタン・ハンセン  39回

12位 オカダ・カズチカ  38回

13位 小橋建太      37回

 同  秋山準       37回

15位 長州力       35回

ハンセンが外国人ながら11位に入っているのは驚異的ですね。
オカダは2012年から2023年の12年間で、38回のメイン出場は
立派なもので、この時代の「ブシロードによる新日本プロレス黄金時代」を支えた、大エースと言えるでしょう(逆にこれだけ軸にしていたオカダの離脱が、新日本に与えたダメージは小さくないと思います)。
秋山は、シングル王者としてはいつも短命で、一体どこでそんなにメインに出ていたかと思うのですが、いつも挑戦者サイドなどで絡んで貯金を稼いだ感じでしょうか。
長州の15位もバリュー的には少し物足りない位置です。これはやはり、新日本で猪木の長期政権の煽りを食った部分があるのでしょう。

第16位 佐々木健介   34回

第17位 藤波辰爾    28回

第18位 高田延彦    27回

 同   蝶野正洋    27回

 同   田上明     27回

 同   中邑真輔    27回

佐々木健介も、新日本で比較的大事にされた上に、フリー的な立場でも各団体で重宝にされたので、この位置にきましたが、藤波より上なのは納得できない部分もありますw
藤波は当初はジュニアだったこともありますが、やはり猪木のメイン独占状態の犠牲になったといえますね。1985年、86年、87年。このあたりではもっとメインに起用されるべきでした。これでは88年に飛龍革命を起こすのも納得ですが、その矢先の怪我も痛いところでしたね。
高田と蝶野、田上と中邑が同じ回数というのは、なかなかカオスですねw
22位以下を見てみましょう。

第22位 永田裕志  25回

第23位 豊登      23回

第24位 高山善廣    20回

第25位 小島聡     19回

 同   内藤哲也    19回

22位から25位の顔ぶれもなかなかカオスです。
永田と豊登は、異なる時代における「つなぎのエース」ですねw
高山はフリー的な立場で各団体に使われた価値あるレスラー。小島も然りです。
内藤哲也は人気の割には、この位置というのはどうなのでしょうか。マッチメイク的にはオカダのような軸には使われにくいキャラだったのですかね。
以下、ザっといきます。

第27位 ベイダー    17回

第28位 前田日明    16回

 同   ドリー・ファンク・ジュニア 16回

第30位 馳浩      15回

 同   鈴木みのる   15回

 同   テリー・ファンク 15回

 同   スティーブ・ウイリアムス 15回

第34位 飯伏幸太    14回

第35位 ラッシャー木村 13回

 同   天山広吉    13回

 同   丸藤正道    13回

 同   杉浦貴     13回

 同   タイガー・ジェット・シン 13回

第40位 藤原喜明    12回

 同   越中詩郎    12回

 同   谷津嘉章    12回

 同   小川直也    12回

これでベスト40です。外国人勢、そしてノア勢が入ってきました。
近年の東京大会場興行は新日本が圧倒的な回数なのですが、その中で
なんとか丸藤、杉浦が割り込めた感じです。
苦労人のラッシャー木村がランクインしているのもなかなかです。

ということでランキングを見てきましたが、いかがでしょうか。
馬場猪木が強すぎて、鶴田や藤波長州は苦労したとか、90年代は大会場興行が多くて、2010年代以降は少ないというような条件差もあるのですが、それを差し引いても、なかなか味わい深いランキングだとは思います。
他にも色々なデータで歴代レスラーを格付けしたいと思っていますが、とりあえず、今日はここまでということで。











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