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こんなのドラマで見ていいの!?(衝撃の「VIVANT」1話感想)

 まだ見ていない人はぜひ、この作品だけは冒頭の15分だけでも見てほしい。おそらく90分はあったという間だろう。
どんなストーリーなのかは知らされない、「夏ドラマで最も注目」と言われている日曜劇場「VIVANT」。
 主演が堺雅人ということだけの知識と、ほんの少しの興味で見てみた。それが最後、1夜にして3話まで見続け、見事にはまってしまった。この衝撃を誰かに共有したい一心でドラマの感想をここにしたためていきたい。

“世界を巻き込む大きな渦”。
 1話の舞台は「バルカ共和国」。世界中で巻き起こるテロについて、関わっているとされる人物がこの国にいた。商社マンの乃木(堺雅人)はみずから身に覚えのない誤送金事件の張本人として“濡れ衣“を着せられた。取り引き先へのカネを取り戻すべく舞台は「バルカ共和国」へ。
 送金ルートをたどる中で乃木はテロの犯人として現地の警察に追われる身に。同じく“ある組織”を追っていた公安刑事の野崎(阿部寛)と出会い、日本の命運をかけて捜査に協力するとともに「バルカ共和国」脱出を試みる。

 1話のストーリーはこのドラマの全体像と登場人物の立ち位置をはっきりと示すための立ち上げに。とくに印象づけられていたのが、乃木が訪ねた「アマン建設」でザイールが乃木に言い残した「おまえがヴィヴァンか?」。
 1話ではほとんどが国外で物語が進められ、物語の謎とスピード感、壮大な自然とアクションに圧倒される。と同時に、ヴィヴァンとは何か。なぜ乃木が“大きな渦”の重要参考人に。見え隠れする複数の組織に乃木自身の明かされない過去・・・と疑問は尽きない。

 スリルとともに目がくぎづけとなるのが、公安刑事、野崎のキャラクターだった。敵対する現地警察の行動を先読みして、難を逃れる鋭さは痛快。そして、にやりと含みをもった笑みと、意図をもった行動をみせたかと思えば、乃木に対しては無邪気な表情をみせる。この起伏のギャップに魅せられた。刑事らしさに心を打たれ、乃木との会話でうかがえる人間らしい表情がなんとも愛らしい。
 おわかりだろうか、ストーリーもさることながら、私は公安刑事、野崎にも惚れた。野崎だけでなく、それほどまでに一人一人のいまの段階でのキャラクターの位置づけが心地よく、時に痛快。公安刑事・野崎とともに任務をこなすドラムの存在もそのひとり。いまだ主人公らしさがない主人公・乃木がみせる“いい人感”も好印象。

 骨太のストーリーに加え、キャラクターの位置づけと役者の表情の変化まで楽しめる映画、いやドラマ。ぜひ見てほしい・・。そしてここにつづられたその衝動の文字列は、いったい誰が見ているであろうかという問いはさておき、自己満足のために書き残していきたい。
 ただ最後にひとつだけ。現在1話の感想を書いているものの、実は筆者はきのう4話までみている。そのうえで振り返ってみても、よく楽しめるドラマであるといえるのは間違いない。


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