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裏切り者は誰だ 「VIVANT」2話

 すでに4話まで進んでいるというのに、こちらでは遅筆のため「VIVANT」2話を噛みしめるように感想を。

 2話の舞台も「バルカ共和国」。まだ洋画を見ているのではないかとの錯覚は続く。前回(1話)、冷や汗も何度もかきながらたどり着いた大使館だったが、ここからは日本への帰国を目指した旅がはじまった。

 この回を象徴することばをあえて探すと、「裏切り」。これまでさんざん現地警察に先を読まれてきた一方、その行動を逆手にとって危機を脱した乃木たち。だがこの回からは、警察以外の者へも、裏切りの可能性を強く意識せざるを得ない展開だ。その最たるが大使。日本への帰還を乃木たちに約束した張本人だった。しかし、本当はバルカ政府と協力関係を結んでいた。その結果、乃木たちはまた警察に追われ続け逃走することになる。
 そして、誤送金問題にも「裏切り」説が浮上。野崎は、丸菱商事の中で今回の送金事案を把握していた5人の中に裏切り者がいると発言。のちにこの野崎と乃木のやりとりは、とんだ茶番をみせられていたことが分かる。ただ、いまだにわたしには、野崎の立ち位置は分からない。いや、理解できていないだけなのか。
 そして乃木たちの行動をうまくアシストしてくれる存在がまた微笑ましい。

 さて、2話では物語の核心が示された。前話で明かされることなく終わった「ヴィヴァン」の意味。それはBEPPAN、別の班、「別班」。
乃木に言い残された問いは、「おまえが”別班”か」ということだったのだ。1話の早い段階で、物語の道筋が示されていたにも関わらず、ここでようやくわれわれにも理解をさせてもらえた。
 この段階で、乃木だけに聞こえるもうひとりの乃木、「F」が「別班」に関わると確信めいてくる。大使館でヴィヴァンが「別班」だという仮説が出てからというもの、「F」は姿をあらわさなかったように思う。そのうえ、乃木がうなされる夢、かつての記憶もじょじょに鮮明となってきていた。乃木自身の中で「ヴィヴァン」が「別班」へ変換されたことが関わっているのか。「F」による指示やことばはすべて、乃木の運命をも左右されるものだった。CIAの友人へ電話をうながしたり、砂漠で瀕死の状態に陥ったときにはスマホのライトで周囲にしらせるよう伝えたりしている。さらに、現地警察の追尾をいちはやく察知したのも彼だった。
 
 そうとなると気になるのは野崎の立ち位置。本当に乃木は「重要参考人」なのか。大使による裏切りの落とし穴も難なくすり抜け、日本へと導くものの、どこまで理解した行動なのか疑念をもつ。1話であれほど野崎に心酔し、乃木へのまなざしに燃えあがっていた手前ではあるが。
 さらに、遊牧民は何者なのか。アディエルの死を悼み、ジャミーンの心中をおもんばかり、仲間であることはまちがいないだろうが、「F」の指示を受けて乃木が救われたことを考えると、どうも「F」による想定外の導きではないのではないかとも考えてしまう。乃木や柚木によるジャミーンへの執着も疑問。もともと日本に渡航させる目的が治療以外にもある・・・なんてことを考えるのはやめておこう。3話をゆっくりと思い出しながら今度も感想を振り返る。

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