ハーブティー飲んでみた
多分飲んだことはあるけど、ほとんど味の記憶は残っていなかった。覚えてるのは「葉っぱクセェ」という印象だけで、その「葉っぱクセェ」飲み物をわざわざ選んで飲もうとは今まで思えなかった。
最近体調が良くなかった。某ねだんさん曰く、腎臓と胃腸が悪いとのことで、確かに空腹になるたび胃痛があったし、アルコールやカフェインを摂取しても胃痛があった。
わたしにとって飲み物は貴重な嗜好品で、最近は紅茶、コーヒー、アルコール類などの味覚遊びをこれからやっていきたい!やっていくぞ!のタイミングでこの内臓たちの不調が始まってしまった。どうしたもんかと思いながらも、選択肢としてその場に存在していれば、カフェインが少ないものやカフェインレスのものを選ぶ努力をする程度で、我慢することは選べなかったから構わず色々飲み続けていた。
そんな中、職場近くに新しく出来たお茶屋さんに足を運んだ。目的は特になくて、新しいから入ってみただけだった。同僚に、粉末の抹茶ラテが美味しいよ、とおススメされたから気になったのはあるけど、それだけだった。
5分に一度はお茶の試飲をせっせと運んでくるお店で、ちょっと長居すれば体が温まるレベルの量を飲ませてもらえる。健康茶、中国茶、煎茶に紅茶、たくさん種類があった。同僚に紹介されたのは抹茶ラテのほうだが、試飲できたのはほうじ茶ラテだった。たっぷりとしたミルク感と香ばしさがとても素晴らしく美味しかった。粉末のくせに生意気だ!
そんなお店で、ハーブティーの棚を見ていたら、「眠り姫ブレンド」という乙女心をくすぐる文字列が目についた。カモミールとラベンダーと、あとはなんかいろいろが入っているらしい。ティーバッグがサンプルでぶら下がっていた。その半透明なピラミッドの中には茶葉や小さな花がたくさん入っていて、葉っぱや花がお湯に浸かって開いていくのを見たいなと思った。
ティーバッグがぶら下がっていた場所は少し高くて、わたしの鼻からは遠かった。「香りのテスターありますか?」と店員さんに尋ねると、「お淹れしますよ」とにこやかに答えるとそそくさとお茶を淹れに視界から消えていった。サービスが良い。
そして戻ってきた店員さんのお盆の上には二つのカップがあり、「眠り姫ブレンドと、心ぽかぽかブレンドです。眠り姫はカモミールとラベンダー、心ぽかぽかはカモミールとジンジャーなので飲み比べてみてください」と二つのカップを渡してきた。サービスが良い。
とはいえ、ハーブティーというものに対する印象が「葉っぱクセェ」だったわたしにとって、いきなり2杯の試飲は少し覚悟のいるものだった。ショットグラスサイズとはいえ、連続2杯。しかもお願いした手前残すわけにもいかない。ぐぬぬと思いながら、まずは眠り姫ブレンドに口をつけた。
お花だった。わたしはお花を飲んでいた。葉っぱじゃなくてお花だった。美味しいのかはよく分からなかったが、吐息が瞬間的にお花になった。香りをメイクしていた。感動を覚えた。花吐き病という架空の流行病のことが頭をよぎって、大変にエモーショナルな気持ちになった。
ひとつ目のカップを空にしたら、次は心ぽかぽかブレンドを口に含んだ。このほのかにスパイシーな雰囲気がジンジャーか、と思った。お茶の中に香りとして組み込まれるジンジャーとは初対面だったので、ジンジャーさんの知らない一面を垣間見た。
眠り姫ブレンドは、お花の香りが広がってゆく感があったが、それに対して心ぽかぽかブレンドは沈んでゆくような落ち着いた雰囲気があった。
なるほど、これが心ぽかぽかか…などと納得を得た。
美味しいかどうかはよくわからなかったが、口の中に広がる花の香りは美しく思った。ティーバッグの見た目、入ってる缶、名前、香り、全部がかわいい!欲しい!となり、購入した。
ついでに苺のケーキを食べてるつもりルイボスティーも試飲で惚れて買ってしまった。名前がいちいちかわいくて、わたしの中の少女性がくすぐられてしまう。
こうして、わたしは飲む時間を全く考慮しなくて良いファビュラスなティーを手に入れた。ルイボスティーにせよ、ハーブティーにせよ、今まで手を出してこなかったジャンルのものなので今後も色々試していきたい所存である。
飲み物の味覚遊びはとてもたのしいね。