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掌編 詩「偉大な、そして親愛なる詩人へ」



あの人はみんなの言葉だった
あの人はみんなのやさしさだった
あの人はみんなのかなしみだった
あの人はみんなの友だった
あの人はみんなの師だった
あの人はみんなの光だった
あの人はみんなの闇だった
あの人はひとりだった
あの人はみんなの愛だった
そしてあの人は、わたしの他人だった
もうあの人をもとめることができない
言葉も
羨望も
涙も
感謝も
きいてくれることもみてくれることも一生叶わない
きいてほしかった
みてほしかった
もっとあなたの言葉をききたかった
ごうつくばりなみんな
ごうつくばりなわたし

人生百年時代だなんて嘘
あの人の詩は
二十億光年の孤独をずっと埋め続けてくれる永遠になった
だれでもいいから、くしゃみをしてくれないか




谷川俊太郎さんの詩にたくさん救われてきました。
心から哀悼の意を捧げます。

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