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植物を育てる(26)by立花吉茂
クスノキ科の種子発芽
クスノキの仲間の種子発芽については昨年3月に本紙に書いた。ここでは
冬季に保温するとどうなるか?についての実験結果を報告する。
クスノキ科には常緑の種と落葉性の種とがあるが、落葉性のうち、クロモ
ジ、ダンコウバイ、シロモジは北方系で、アオモジは南に分布する。
実験の方法
大型のプランターに培養土を入れ、200粒の種子を蒔いた。対照区は戸外
に置き、保温区はガラス室に保温の電熱線を張り、砂で覆ってその上にプラ
ンターを置いた。2か年にわたる発芽床の温度を図1に示す。
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実験の結果
実験の結果を図2に示す。
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対照区ではただ1種タブノキだけは年内に発芽を完了するが、他の10種はすべて翌年夏に発芽した。しかし、保温区では3つの群に分かれて発芽した。北方系の3種の落葉性種は発芽が遅く、発芽率が極めて低く、ほとんどの種子が腐敗した。これらの種は、冬季低温で越冬すると正常に発芽する性質があることがわかった。タブノキを除く他の種は保温によって発芽が若干早くなった。
※クスノキ科の種子は液果なので、十分熟させてから、果肉を除いて湿度を
保つ必要があり、乾燥すると発芽力がなくなるので注意を要する。
(「緑の地球」95号 2004年1月掲載)