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第9回 Q&A 作品における有料と無料の壁

Q.   Y.Y smileさん
はじめまして。『四月になれば彼女は』、言葉と音楽と映像にこんなにも心を動かされるのかと上映後に頭が真っ白になりました。
人並みに映画や小説を通ってきた人間だと思うのですが、『四月になれば彼女は』が人生で一番好きな映画で、『億男』が一番好きな小説です。
大好きな方にこんな言い方をするのはとても心苦しく申し訳ないのですが、1番聞きたいことを質問させていただきます。
『四月になれば彼女は』に賛否両論の意見があることに対してどう感じられていますか?
川村元気さんに「この作品の良さが分からないなんて、まだまだなやつだなと思います」と言っていただけたら救われるし、また「そういう人もいるしその気持ちも分かる」と言っていただけたら私も視野が広がる気がして。
お答えいただけますと幸いです。

A. GK

賛否両論ある作品をつくりたいと、いつも思っています。
映画でも小説でもアートでも、長い目で見ると歴史に残っているのはそういう作品だからです。

映画『告白』あたりから僕のつくる作品は、常に賛否両論に晒されてきました(苦笑)。
「皆が絶賛」するというのは「その時代に見事にハマった」作品だと思います。
もちろんそのような作品に対する憧れもありますが、せっかく映画や小説をつくっているのだから、10年後、100年後にもどこかで語り継がれ、誰かに読み継がれていくものを作りたいと思っています。

そのためには強い「賛」と同じくらいの強烈な「否」がないと、なぜか生き残れない。
目を背けたくなるような人の無様さや、消せない記憶、心の痛み、後悔を描く。
それはどこか生命のサバイヴに似ているような気がしています。
強い外敵や天敵にさらされた動物ほど、種として長らく生き延びていくような。

同じようなことが、人間にもいえるような気がします。
誰からも好かれるような人気者より、クセがあって好き嫌いが別れるけど、なぜか忘れられないような人に僕は惹かれます。

9月に発売される映画『四月になれば彼女は』Blu-rayのメイキングを一足先に見たのですが、そういう人たちの悪あがきがたくさん映っていました。スタッフもキャストも、皆ひと癖もふた癖もある人たちで、けれども誰もが懸命に作品のために力を尽くす、そんな愛すべき人たちでした。

願わくば、これからもそういう作品を作っていきたいと思いますし、そんな賛否両論の「賛」を担っていただけたら……嬉しいです。

Q.  soraさん 
私は3Dアニメーションを制作しているアーティストです。現在、Instagramでは30万人以上のフォロワーを持ち、特に海外のファンから多くの支持をいただいております。 日々の活動を続ける中で、どのように自分のコンテンツを効果的にマネタイズしていくべきか試行錯誤している状況です。特に、生成AIによりコンテンツの制作能力が広く普及し、オリジナル作品がコモデティ化している現状に直面しています。このような時代において、どのようなコンテンツが希少価値を持つのか、またその希少価値をどのように生み出し、マネタイズしていくべきか、ご自身でクリエイターとしても活躍されている川村さんにご助言をいただければと思っております。

A. GK

すでにそれだけのファンを獲得しているということは、作品に相当の力があるということだと思います。
SNSを見ていると、本当にレベルの高いアニメーション作品やCG作品を目にすることが増えてきました。

それらの作品やクリエーターたちが、たくさんの「いいね」を獲得する一方で、なかなかそれらを「仕事」や「お金」に変えていくのが難しいという現状もよく聞きますし、相談を受けることも増えました。

そういう時に僕は「作品における無料と有料の壁」について話しています。

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