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あれこれ対策してもメンタルを病む若者が増える理由とは
多くの中小企業がメンタルヘルス対策に力を入れています。
産業医の配置、相談窓口の設置、ストレスチェックの導入など、企業側もできる限りの対策を講じています。
しかし、それにもかかわらず、メンタルを病む若手社員は増え続けています。なぜでしょうか?
メンタルヘルス対策の施策をするぞ!と決めると、当然ですが、制度や仕組みとして導入していきます。もちろん、それ自体は重要ですが、「本音を話せる関係性の構築」が伴わなければ、社員はサポートを活用しません。例えば、産業医やカウンセリング窓口が設置されていても、「こんなことで相談していいのか?」「評価に響くのでは?」「人事にばれるのでは?」と不安を感じ、利用しない若手社員も多いのが現実です。
以前、私がいた企業にいたとき、役員である人事部長は、本音で話すことを義務化すればいい、ということを声高々にお話されていたことがあります。
本音を強制することは、上司でもできませんよ、とお話したら、鳩が豆鉄砲を食ったように固まっていました。その顔をみて、私も固まりましたが・・・
企業の対策が「義務的なもの」に感じられると、社員は「相談=問題がある人」と捉えがちになります。形式的な対策ではなく、日常の業務の中で自然に話せる環境を整えることが重要です。
では、自然と話せる環境とはどういうものか・・・「心理的安全性」
心理的安全性とは、社員が「自分の意見を安心して言える環境」を指します。若手社員は、「上司に弱みを見せると評価が下がる」「意見を言っても否定される」と感じると、本音を話せず、内にストレスをため込むようになります。
特に日本企業では、上司や先輩が「指導する立場」として厳しく接する文化が根強く残っており、若手社員が遠慮しがちです。心理的安全性を高めるためには、上司が「完璧な人間である必要はない」ということを示し、部下と対話を重ねることが大切です。
若手社員に対して、「どんな環境にも適応するべき」という期待が過度にかかることも、メンタルヘルスの問題を引き起こします。
柔軟な働き方やキャリア観の変化が進む一方で、企業側が「仕事に慣れるのが当たり前」「少しくらい辛くても乗り越えろ」といった価値観を押し付けてしまうことが少なくありません。
もちろん、社会人としての成長には適応力も必要ですが、それが「個人の努力不足」のように扱われると、社員は「自分が悪いのではないか」と自己否定を強め、結果としてメンタル不調に陥ります。
近年の若手社員は、「収入のためだけに働く」という価値観よりも、「自分の成長」や「社会貢献」を重視する傾向があります。(実はここは二分する傾向にありますが、こちらの思考の人を採用したほうがいいでしょう)
しかし、多くの企業では、業務が細分化され、社員が「自分の仕事の意味」を見失いがちです。
企業がメンタルヘルス対策を強化するなら、ただの福利厚生としてではなく、「働く意味」を感じられる環境を整えることが不可欠です。例えば、業務の背景や会社のビジョンを共有し、社員が「自分の仕事がどのように社会に貢献しているのか」を実感できる機会を増やすことが重要です。
まとめ
中小企業がどれだけメンタルヘルス対策を講じても、若手社員のメンタル不調が減らない背景には、「仕組みだけでは解決できない課題」があります。
対策の仕組み化だけでは不十分。本音を話せる関係性を築くことが重要。
心理的安全性を高め、安心して意見を言える環境を整える。
過度な適応力を求めず、個々の成長ペースを尊重する。
働く意味を実感できるように、企業のビジョンや仕事の意義を共有する。
企業が「環境そのもの」を見直すことで、若手社員が健康的に働ける職場が実現できます。単なる制度の整備ではなく、「人間関係」や「職場文化」からアプローチすることが、これからのメンタルヘルス対策の鍵となるのです。形ばかりにこだわりすぎず、純粋にどうしたら楽しく働く職場になるのかを職場で見直してみてはいかがでしょうか。
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