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リーダーに怖さは必要か

スポーツ雑誌のNumberの9月26日号


星野仙一と仰木彬の両監督をピックアップして
リーダーに怖さは必要なのかどうかを議論する内容


星野仙一監督の恐怖と流儀とは!?

星野監督はまさに昭和時代の野球監督の代表的なような
よく言えば熱血指導、悪く言えば鉄拳制裁の恐怖政治を
用いた監督だった

闘将と呼ばれた星野監督は
腑抜けたプレーや逃げた姿勢には
本気で怒り、プロにも関わらず本気で殴っていたという

しかし、ただ怖いだけ、ただ暴力使うだけでは
チームが強くなることはない

実際、星野監督は監督通算17年を務め
4回のリーグ優勝、日本一を1回獲得している。

そんな星野監督の流儀は3つ

①信じた相手は徹底的に信頼する
②ヤル気にさせるアメとムチと演技
③逃げの姿勢は許さない

このように
星野監督は非常に情熱的で
時には選手たちに強く厳しい態度を示していた。

彼は高い基準を設定し、選手たちに強い責任感を持たせることでチームの結束力を高めた。

また、厳しさの裏には深い愛情があり、選手たちの成長を第一に考えていたため、多くの選手が彼を尊敬し、信頼したと言われる。
このような情熱と厳しさのバランスが、チームの強さの基盤となったと考えられる

星野監督の愛情深さを象徴するエピソードとして、彼が厳しい叱責をした後に、個別に選手と向き合い励ましの言葉をかけていたと言われる。
例えば、表向きでは厳しい指導をしながらも、選手の精神的な負担を減らすために、試合後や食事の場で個人的にサポートをしていた。

有名な話では元中日ドラゴンズのエース、今中慎二との関係がある。
星野監督は、今中がスランプに陥っていた際、厳しく叱咤する一方で、彼のために特別なトレーニングメニューを組み、精神的に寄り添いながら復調を支えていた。
表では厳しい態度を見せながら、裏では選手を気遣い、成長を願う姿勢が星野監督の特徴で、結果として今中はエースとして復活を果たす。

彼の厳しさの裏には、常に選手の成長や成功を心から願う深い愛情があった。

仰木監督の恐怖と流儀とは!?


仰木監督は仰木マジックと呼ばれ
奇襲、奇策で注目を集めた

監督としては通算14年間勤め
リーグ優勝は3回、1度の日本一を獲得している

星野監督と違って怒りを表面的に出したり
鉄拳制裁をすることはほとんどない

ではなぜ怖さがあったのか?

それは成果主義でデータを重視したため
成果が出ない選手を急に干したりすることもあり
その采配により選手はプレッシャーを感じていた

仰木監督は、元近鉄バファローズの清川投手を
期待されながらも結果を残せなかったために「干された」形となった。

仰木監督は、チームに貢献できない選手には冷徹な判断を下すことがあり、成果を出せなければ厳しく起用されない状況を作り出していた

このような成果主義的な姿勢は選手に強いプレッシャーを与えたのである。


そんな仰木監督の3つの流儀は

①データ主義と独特な勝負勘
②徹底したゲン担ぎ
③プライベートもあけすけに

①データ主義と独特な勝負勘
仰木監督はデータに基づいた選手の起用を徹底しましたが、時には独自の勝負勘で采配を振るった。
例えば、重要な場面でデータに反する選手を起用し、これが勝負を決めたことがある。
また、イチローを1番打者に抜擢したことも有名
この采配は当時大胆であり、若手のイチローに大きなプレッシャーをかけたが、結果的に彼の才能を引き出し、リーグを制覇する大きな力となった

②徹底したゲン担ぎ
勝利のために細かいゲン担ぎを徹底。例えば、試合前に同じ食事やルーティンを続けることが知られていた

③プライベートもあけすけに
選手とフランクな関係を築き、居酒屋で一緒に食事や飲み会を楽しむなど、プライベートでもオープンな態度で接していた
選手たちはこの距離感を好んでいたと言う


リーダーに怖さは必要か?

「リーダーに怖さは必要か?」という問いについて
答えを出すのは非常に難しい

リーダーが厳しさや怖さを示すことで、チームが団結し、規律が保たれることもあるが、一方で信頼や敬意を失うリスクも伴う

そんな難しい問いについて
2人の名将は現代でも成果を出せたのかから考えてみたい

星野監督と仰木監督が現代でも成果を出せたのか!?

答えは、彼らのスタイルの良さを維持しつつ、一部現代に合わせて修正をしていくことが必要と考えられる

星野監督の「厳しさ」と「愛情」のバランス、仰木監督のデータ主義と独自の勝負勘は、現代の選手たちにも強い影響を与えられる
ただし、現代の選手管理やメンタルケアが重視される環境では、恐怖だけに頼らない柔軟なリーダーシップが必要となる

星野仙一の場合:
彼の情熱的で厳しいリーダーシップは、現代においても力を発揮するだろう。ただし、もちろん鉄拳制裁は許されない。

現在は選手の個性やメンタルヘルスをより重視する時代と変化している。そのため、恐怖を利用するリーダーシップスタイルは適度に調整していくことは必要となる。
星野監督自身も厳しさの裏に深い愛情を持っていたため、恐怖一辺倒ではなく、選手との信頼関係を強化する面が現代に通じる要素だと考えられる

仰木彬の場合:
仰木監督の成果主義や独特の勝負勘は、データドリブンな現代スポーツにもそのまま通じると思われる
彼のデータ分析に基づく采配や柔軟な戦術は、今でも十分に有効であり、今の時代のトレンドともあっている
ただし、選手の不安やプレッシャーを過度に強いる恐怖的な部分は、現代の選手たちには逆効果となる可能性もある
だからこそ、成果主義をベースで采配はしてもいいが、その基準や判断をした背景を説明などしていくことによって納得度とプレッシャーを減らすことでパフォーマンスをより発揮できるようになるのではと考えられる

現代のリーダーシップは、厳しさや恐怖だけでなく、共感や柔軟性、データ活用が求められており、星野監督や仰木監督も時代に合わせた適応が必要だったかもしれない。
しかし、彼らの基本的なリーダーシップスタイルは依然として強力な武器となり得たと思われる。

本日は以上!!

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