たまには積読を紹介してみよう:思考の技法 -直観ポンプと77の思考術-(著:ダニエル・C・デネット、阿部文彦、木島泰三、青土社)
ずっと読みたいと思いながら、なかなかタイミングが巡ってこない。そんな積読本が自宅には無数にある。そういった本を読まないのは重要度の問題ではなく、純粋にタイミングの問題だ。積読とタイミングの話は、以前「読書を習慣化するためのポイント」という記事で取り上げたので気になる方はぜひ読んでみていただきたい。
今回紹介するのは、そんな積読本の一冊、「思考の技法」である。面白そうですぐにでも読みたいくらいだが、まだ「読むべきタイミング」が自分の中で巡ってきていない。たまにパラパラとページを捲って、「おお、この本は本当に面白そうだ…」と考えたりしながら、cover-to-coverで読むことはしていない。
著者はダニエル・デネット氏。残念ながら今年の4月に亡くなってしまったが、現代の異才として名高い哲学者だ。そんな彼が思考術を惜しみなく説明してくれるのが本書である。
本書は邦訳版で約700ページある。そして、副題にある通り「77の思考術」。思考術を紹介するだけでも圧倒的な厚みがある。本書の帯には「世界で一番強力な思考のツールボックス」とある。面白くないわけがない。
続いて、目次を見てみる。
まず目を引かれるのは、「直感ポンプ」という言葉。聞いたことがない言葉だが、「もっともすぐれた思考ツール」であるらしい。まずはこれが何かを突き止めることが、本書を読むうえでの鍵だろうと想像される。
そして2つ目の「汎用的な思考道具一ダース」。汎用性の高い道具が最初に示されるのだから、この12個の思考道具は徹底的に理解すべきだろう。
さらに9つ目の「哲学者であるとはどのようなことか?」。私はこういった「そもそも論」を非常に好む。そこには根源的な問いと、それに対する強力で説得的な意見が含まれていることが多いからだ。終盤のハイライトではないかと想像しておく。
さて、なぜこのように読んでもいない本を紹介するのか。それは、これから読む本を「頭の中の見取り図」に位置づけるためだ。自分が読んだことのある本、知っていること、こういったことと「これから読む本」を関係付けるのである。以前紹介した「読んでいない本について堂々と語る方法」で詳しく説明されているが、本は文字を追って読むこと以上に、その本がどこに位置づけられるのかを知ることの方がずっと大事だ。
著者、タイトル、目次、こういったものをパラパラとめくり、少し考えを巡らせておくと、いざその本を読むタイミングになった時にスッと入っていける。今回は、私にとってはその準備のための積読紹介である。