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正しく値付けする力
目の前にあるものを「正しく値付けする力」は非常に強力です。この力だけで十分なお金を稼ぎ、暮らしている人さえいます。
なぜ正しく値付けする力が重要なのかというと、「アービトラージを見抜けるから」です。
アービトラージとは、価格の歪みのことです。あるモノが、妥当な価格よりも安かったり、高かったりしたときにそのモノを買ったり売ったりしておき、妥当な価格で売ったり買ったりすることで利鞘を得ることができます。金融における、いわゆる裁定取引です。
金融商品のように市場で取引されるもの以外にも、アービトラージは存在します。昔からあるのは骨董品です。然るべきところで売ればそれなりの値が付くものが、ガラクタ同然の値段で売られていることがあり、そういった「掘り出し物」を見つけて鞘抜きをする仕事は古くから存在します。
こういった、明確に値段がつけられるもの以外にも、アービトラージの考え方を適用できるものが多くあります。例えば知識です。21世紀に入る前には、人工知能を研究している人はそれほどおらず「冬の時代」と呼ばれ、研究領域として今よりも遥かにマイナーでした(参考:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc142120.html)
しかし、今では人工知能は活発に研究され、大学や大学院で人工知能を専攻していた人は高い給与でテック系企業に引き抜かれます。2000年より前に既に研究を開始していた人は、知識のアービトラージを活かして現在の潮流から大きなメリットを享受できている可能性があります。
このような数十年単位の変化でなくても、数年単位で世の中の評価が大きく変化することは現代では頻繁に発生しています。目の前にあるモノを正しく値付けし、高い評価を与えられると感じたらそれにベットしてみる。そうすると、時間とともに適正価格に収斂していき、エントリー時よりも高い値がついて利益を享受できるというわけです。
人間には未来予測は不可能です。しかし、値付けは可能です。モノに値付けをして、アービトラージがありそうと思ったらベットしてみる。こうすることで、特別なことをせずとも時間ともに価格が適正化されて利益を得られる。このような「目利き」を軸とした戦略もあるということを理解しておくと、トレンドに合わせた省力的な高いアウトプット創出が可能となります。