全方向に整える「中心力」(1)
あなたの人生は、「今、いい流れだ」と感じていますか?それとも、「精一杯やっているのに、いい流れでない」と感じていますか?
私は鍼灸師として日々、様々な症状でお悩みの患者さんと接し、漠然と後者のように感じている方々が、とても多いように思います。
「人生は、自分が思うようにいかない」
「自分の人生、良くなる気がしない」
この電子書籍をご覧になっているあなたも、もしかしたら、こんな心のモヤモヤを抱えているのかもしれません。
でも、あなたなら、大丈夫です。なぜなら、こちらを手に取ってくださったということは、あなたには悩みの突破口を開こうとする意欲的な人だからです。
これから、先ほどの自分を落としめる独り言を切り崩し、人生の流れを自分の方に手繰り寄せる内容をお届けしていきます。
改めまして、自己紹介します。私は、臨床20年以上のべ約7万件以上の施術実績がある鍼灸師です。鍼灸師としての経験や私自身の人生の経験から、「生命の神秘」を探求するようになりました。
その探求から、東洋医学・活法・キネシオロジー・脳科学など、様々な叡智が結集した、体・心・脳を三位一体で統合する『身口意ととのう脳活』というコーチングメソッドを開発しました。
私の鍼灸院に来院される方の相談内容は、自律神経症状、メンタル症状、また身体各部位の疼痛性の疾患など、多岐に渡ります。
これまでの経験から、どんな病気も、根本的には、単なる肉体的な問題ではないことを実感しています。
それは、多くの病気の背景として、親との関係や夫婦関係、子育ての悩み、仕事の不安、周りの人に拒絶・無視されるなど人間関係のトラブルによって生じた、何かしらの心の葛藤が関与しています。
現代医学的に、体を機械の部品のように捉えてしまうと、心の葛藤が病気とどのように関係しているか、理解できないでしょう。
日本には古くから「病は気から」という慣用句があるように、多くの病気は見えない“エネルギーの歪み”によって生じます。
エネルギーは、血液やリンパ液の中を流れる栄養素やホルモンだけでなく、実は、思考や感情などの「情報」も、体の各組織や器官に送り届けられていることをご存じでしょうか?
特に、「言葉」が、エネルギーを介して、体と心の両方に、強く影響を及ぼしていることは、あまり知られていません。
私は、普段の臨床で、病気のご相談を受ける際、言葉遣いに気づいてもらうように働きかけています。
たとえば、「~しなければならない」「~したい」、義務と欲求で表現したとき呼吸の深さや筋肉の動き具合など、言葉遣いが体にどのように影響するのか、その違いを実感してもらっています。
そして、普段から使っている言葉遣いを自覚し、適切に改めることで、即座に、身体症状が変化することが起きます。
先ほどの「自分の人生、思うようにいかない」という考えは、間違った信じ込みです。ただ「思うようにいかない」と思ったことが、その通りになっているだけです。
では、なぜ、多くの方が「思うようにいかない」と信じ込み続けてしまうのでしょうか。
それは、自分が何のために存在しているのか、その「存在価値」に気づいていないからです。存在価値について、第3章で詳しくお話しますが、ここでも簡単にお伝えしましょう。
誰もが存在価値を備わっていますが、多くは、人生の前半では、「欠いた」状態で生まれてきます。なぜなら、お金持ちの子どもはお金の価値が理解し難いように、始めから存在価値を知っていては、その価値に有難みが減ってしまうからです。
では、鍼灸師の私が、症状そのものより、存在価値に着目するようになったのか、その理由についてお話しますね。
患者さんの大半は、「たとえ一時的でも楽になれば」というように、苦痛を回避する動機で来院されています。
私は、かつて、患者さんの苦痛軽減のお役に立てればと思いで、症状に関連する情報を聴き出すことに力を入れていました。その為か、患者さんは自分の症状を治したいために、あるいはただ自分の辛い状況を分かってもらいたいために、
「朝、起きてから、しんどいし、体のあちこちが痛いし、毎日、家事するのも億劫なんです。それなのに、うちの旦那は、知らんぷり!」
といった、症状や苦痛について、事細かに説明してくれます。
私は、患者さんに、ポジティブな側面があることを分かっていながらも、無意識で「この人はネガティブな人」というレッテルを貼ってしまいがちでした。
しかし、いつしか、私は、患者さんのネガティブ要素を助長してしまうやりとりに、疑問を持つようになりました。
また、私自身、「症状は悪いものだから無くさないといけない」といった強迫観念に似た思いで、患者さんに接していたことに気づき、それまでの接し方を改めるようにしました。
そこで、
「どんなとき自分らしく過ごしています?」
「症状が良くなっても、良くならなくても、人生で、やりたいことは何でしょうか?」
といったように、症状に限定されないで、その人が本当に心から望んでいる状況の情報を集めるようにしました。
すると、その場面をイメージしてもらい、体の感覚を味わうだけで、施術前に症状が緩和していったことを、何度も体験しました。
こうして、患者さんの思い・感情を深掘りしていったものが、その人にとって「大切なモノゴト=価値」につながることに気づきました。
更に、「何のために病気が必要だったのか」といった、これまでと違う角度から、病気を見直していくと、「本来の自分が望む生き方」に気づくために必要な体験だったと、自覚される方が増えました。すると、そういう方ほど、病気をやめていったのです。
何度も、こういった経験を積み重ねていったことで、今では、病気を含め、どのような試練や逆境も、自分の存在価値や生きる目的に気づかせてくれるメッセージであることを確信しています。
コロナショック以降、社会の価値観が大きく変化しました。コンピューターがアップデートされるように、これまで通用していた常識が、刷新していったことを、皆さんも体験されたはずです。
こういった時流の変化に伴い、私たち自身をアップデートしていくために、ある力を取り戻すことが必須になってきています。
その力とは、「中心力」です。
(次に続く…)