天沢退二郎さんが1月25日、亡くなりました。
沖縄と天沢さんの関わりといえば、なんといっても沖縄在住者・出身者による詩集を対象とした山之口貘賞の選考委員を2003年から13年間、つとめたことでしょう。
その間に見いだされた受賞者は22人、作品は22詩集あります。この年代の山之口貘賞は、松永朋哉さん、瑶いろはさん、西原裕美さん、佐藤モニカさんら、20代から30代の若い世代に焦点が当たり始めた時期でした。
なかでも西原裕美さんの詩集『私でないもの』(私家版)が受賞した2013年の天沢さんの選評が、冒頭に引用したものです。「私」というものについて「まったくよくわからないものの典型」であるとか「空(くう)がチョコンといるだけ」といった表現があり、西原さんの詩集への評を通して天沢さんの価値観が垣間見えるような文章になっていると思います。
他の選評をみると選考委員3人が一致して推薦しているようですが、特にこのような表現があることから、天沢さんも強く受賞を推していたことがわかります。ひねくれているからこそまっとうである、というような、人間が生きるとはどういうことかという問いに通じる言葉があるように思います。
天沢さんが選考委員をつとめた13年間、選ばれた詩集は以下の通りです。
天沢さんが沖縄の詩の世界に与えた影響は計り知れないものと思います。
ご冥福をお祈りいたします。
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