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「思いつきませんでした」

 大学院実習の参観があった。1週間で9本の授業を観た。合宿のようだった。鍛えられているのは、授業参観者である大学教員の方である。

 子どもたちが、「違います」ではなく、「思いつきませんでした」と、他の子どもの発言に反応していた。「自分は考えていなかった」という意味なのだろう。でも、「なるほど」と感心したのか、「ええ、ほんと」と驚いたのか、「確かに」と納得したのか、こころがどう動いたのかを伝えた方が、発言した子どもは嬉しいのではないか。ところで、言葉のちょっとしたニュアンスをとらえるのだが、子どもたちにとって発言は「思いつき」なのだ。子どもはふと考えたこと発言する。「ふと」頭に浮かんだことを口にしている。

 なぜ思いついたのか、どのように思いついたのかと、自分をふりかえることができると、「考える」ことになる。「思う」のではなく、なぜそう思ったのかを「考えた」ことこそ、伝え合うことが重要だ。

 子どもたちがどのような言語環境を教室でつくりだしているのかに着目して、言語環境そのものの質を高めていく。学習集団づくりには、言語が人間を形成するという視点がある。授業づくりで大事にしたいよりどころである。

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