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【調査士事務所所員様向け】絶対ダメ!境界確認・現地立会前に起こしてはいけないたった1つのこと【第3回】

お疲れ様です。
先日隣接地A様の方に対して、立会に向けてのヒアリングを行いました。

結果、失敗・ほぼ失注をいたしました。
「調査士の仕事で失注ってあるの?」って思いませんか?
結論、あります!

ご説明(プレゼン)の最中に完全に不意を突かれたところで失点をしてしまい、境界のお話の継続のための手立てがかなり制限されているのが現状です。
ですので、境界どうのというよりは、お仕事を継続しがたい状況です。

ということで、今回は「絶対ダメ!境界確認・現地確認前にやってはいけないたった1つのこと」ということでお話をしてまいります。

さて、ここでは具体的な内容について述べるのは差し控えますが、

ある土地の確定測量を賜って現地を見てみたところ、当初地図の訂正が必要と思いきや、現地の状況や登記記録を勘案すると、申請人と隣接地2件を含めた、三者地積更正登記同時申請ののち分筆登記および所有権移転登記をするスキームが必要になるということでした。

この度の案件では、申請人だけでなく隣接地所有者の方々含め皆さん良い方ばかりでスキームの複雑さに比べてすんなりとことが運ぶと予想をしておりました。

しかしながら、上に述べた隣接地A様に今回のスキームをご理解いただくため解決方法とその詳細をお話をした結果、

「ウチに利がない(現況の境界線ではなく、もっとウチの土地を他人地へ食い込ませたかたちで境界線をひきたい。金銭的メリットがない。)」←「マジか!こんな奴おるんや!」(せいさんの心の声)

ということ、さらに

「そもそも今あるブロック塀のところがもともとの境界線の位置ではない」

とのことで、思ってもいないところでから火種がくすぶっていることになってしまいました。

今回、三者同時地積更正登記の同時申請をしないことには、お預かりしたお仕事が完了できないということなので、詳細は控えますが、結果として案件を進行させるうえで非常に危機的な状況になってしまいました。

その面談の際に、気を付けていたことやその面談での狙い、そしていつも気を付けていることなんかを一度ここでお伝えしてみます。

なにかしらここで同業者様の反応があれば、おもしろいなと一抹の期待をしております。笑

振り返りをしたとき、今回改めて足りなかったのは、ニード喚起です。

おそらく意味は分かってもあまり調査士のお仕事の中で聞く言葉ではないという印象ではないでしょうか?

今回もしかすると、これを私よりはるかにうまくやってのけてしまう人がいたら違った結果になったかもしれません。

ニード喚起のための具体的テクニックのポイント
1)リアクション
2)バックトラッキング(オウム返し)
3)こちらの解釈を入れず応答する
4)(解決方法の提案の前に)「もし仮に~としたらいかがでしょうか?」→避けたい、もしくは歓迎すべき事態を仮のお話でイメージさせる。

これらはトレーニングが必要です。
営業の世界でもこれらすべてをマスターしている方はほぼいないと思っています。
逆にこれができれば、面前の相手に対して、かなり好印象をもってもらったり、こちらからいろいろヒアリングしても狙ったお返事をとることができるようになってきます。

今回、私の失敗の要因は
a)マスクをしていた

  • 表情が見えにくかった。体を使ったり声に抑揚を持たせるなどしてリアクションを大きめにとるように努めたが、視覚的にわかりやすい「表情」という武器を十分に使えなかった。

b)解決方法を示すまでの導線が拙速すぎた。

  •  今回の事案の論点を整理して、わかりやすくパワーポイントで視覚的にわかりやすい状況を作った。ただ、お相手の腹の内をお聞きし切っていていただくまえに解決方法を提示したため、拙速にこちらの手の内を明かしてしまうことになってしまった。ニード喚起も不十分だった。さらに、ヒアリングをしている際に、今回の解決方法のプレゼンの前提になっている隣接地境界線の認識がこちらと違ったため、解決策の提案がほぼ不発に終わった。というより、むしろ逆効果になった。

c)隣接地所有者Aの土地に対する過去の経緯について、解決策を提案する前に事前情報をお聞きしておくための1ステップを踏んでおけたにも関わらず、その1ステップを踏まなかった。

  • 結果論ではあるが、隣接地所有者Aは初めてご挨拶をした際に、今回の事案に対して非常に好意的意欲的に事態の解決を図りたいというような物言いだったことになったため、事前情報をお聞きする1ステップを踏まなかった。できたこととすると、初回のご挨拶の際に、もっと突っ込んでヒアリングしておくことが良かったと振り返っている。

※今回の解決方法としては、申請人や隣接地所有者にもっとも経済的負担を強いることなく、一方で登記実務や対登記官への申請という観点で見ても奇をてらうわけではない、正攻法で取り組んだ申請になる予定だった。
しかしそれには、申請人だけでなく、隣接地所有者に対しても申請やその後の分筆・所有権移転までをご了解いただく必要があった。
そのため、この当時の面談は今後の作業・申請、なにより関係者の土地の問題を解決するに非常に重要なイベントだったにもかかわらず、私の力不足によってご了解を取り付けるところまで至らなかった。

ただ、今回の面談の機会をいただいたことで、ご説明プレゼン資料について雛形を作成することができました。

これはこれで副産物として出来上がりました。

目の前の隣接地所有者Aの反応も良かったです。
専門的な言葉だったり知識が必要になるため、一度で理解していただくにも無理が出やすいのですが、今回はこれが奏功してお話が戻ることなく1周目で内容を理解していただくことができました。

今後は、遠隔地にいらっしゃる方や取引先の若手営業マンなどに対してご説明をする際にZoomでつなぎながらパワーポイントでご説明をすることができるようになりました。

少々お話は脱線してしまいましたが、今回のテーマに
対する答えは【立会前から相手をグリップできないこと】ということになります。

そのために、ニード喚起というテクニックを使い、さらにお話の導線を崩さずに認識の齟齬が生まれないようにパワポ資料まで使用し、お話することになりました。

今回のヒアリング面談の中では、ニード喚起以外にもいろんなテクニックを散りばめて先方にお話を致しました。途中、相手の主張が強くなったりして主導権を握られそうになりましたが、最終的結果的にはこちらの案に条件付きで承認のお返事をいただきました。
しかし、繰り返しになりますが、ほぽ失注です。

最後に今回の副産物であるパワポについて皆さんに共有します。一度ご覧になってみてください。

〇〇様土地報告・解決案.pptx

次回は、なぜこれを使って面談に臨んだのか、狙いと効果を皆さんにお伝えします。

今日も全力で!

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