ハモン決死の特攻!リュウの死がホワイトベースに残したもの~機動戦士ガンダム 第21話「激闘は憎しみ深く」感想
ハモンによるランバ・ラルの弔い合戦
ハモン「使い古したザクが1機とマゼラアタックの砲塔が4門だけとは」
タチ「明らかにマクベ大佐は協力的ではありませんでした」
ハモン「あてにしますよ、タチ中尉。なんとしてでもラルの仇を討ちたいのです」
タチ「我々とて同じ思いです、ハモン様」
ランバ・ラル亡き後、ハモンは仇討ちを目論む。
残された戦力に乏しいハモンはマクベに補給を依頼。しかし、マクベから補給物資は届いたものの、内容は使い古したザク1機とマゼラアタック4機。
戦力的にはホワイトベース討伐には不足だろう。
「明らかにマクベ大佐は協力的ではありませんでした。」というタチ。
マクベは鉱山基地の実情を知りすぎたランバ・ラル隊を戦闘にかこつけて亡き者にしようとしている。前回はドム3機がドズルから手元に届いているにもかかわらず、手元で握り潰しランバ・ラルに渡さなかった。
味方から背中から撃たれる状態のランバ・ラル隊。窮状が続くが、敵討ちという目標はぶれない。
ブラック企業ーホワイトベース
カイ「かなりひでえな!この調子であちこちやられ続けたらたまんないぜ」
ハヤト「・・・部品も底をついてきた。武器も乏しいし、どっかで補給を考えませんとね!」
ブライト「ぼやくなハヤト。前線では何が起きるかわからんのだ。知恵と工夫で切りぬけてくれ」
ハヤト「知恵と工夫ですか。それよりアムロを」
ブライト「それを言うな」
前回、ランバ・ラル隊を撃破する際にホワイトベースのサブブリッジを破壊せざるを得なかった。その修理を必死で続けている。
ぼやくハヤトに対してブライトが「知恵と工夫で切り抜けてくれ」という。
この手の発言はブラック企業が語られる文脈でよく聞くセリフである。なんらの具体性もなく、「とりあえず現場で頑張ってね」という以上の意味をもたないただの精神論である。
これはブライトがそうしたブラックな素質をもっているというよりも、状況が過酷すぎて打つ手がなくなってきてしまい、こういうことくらいしか言えなくなっているとみるべきだろう。
ここでハヤトが「それよりアムロを」とアムロの話題を持ち出すが、ブライトが「それを言うな」と話をそらす。
今回もアムロとブライトの関係のお話だということが窺える。
重症のリュウ
フラウ「何かして欲しいことない?リュウ」
リュウ「い、いや、ないよ。俺は順調だってみんなには言っといてくれよ・・・」
フラウ「ええ」
リュウ「ブライトの奴、アムロをまた独房に入れたんだって?」
フラウ「ええ・・・」
リュウ「アムロが突っ張ってんのか?」
フラウ「・・・」
リュウ「ブライトだな・・・」
前回、ランバ・ラルとの戦闘中に銃撃を受け負傷したリュウをフラウボウが見舞っている。。
描写としては頭に包帯を巻いてじっとりと汗をかきながらベッドで寝ているだけなので、そんなに辛そうに見えない。
ただ、これは「機動戦士ガンダム」はあくまでもちびっ子向けのアニメなので、あまりにも生々しい負傷の描写ができないという制約があることによるものであろう。
そういうわけで、この辺りの描写については視聴者側がある程度想像力を豊かにして「迎えに行ってあげる」必要がある。
瀕死の重傷をっているリュウは「俺は順調だってみんなには言っといてくれよ」とフラウボウにいう。みなを心配させまいとする仲間想いのリュウの優しさである。こうした描写があることで今回のラストが視聴者の琴線に触れるのである。
ここでハヤトと同様にリュウもアムロに言及する。
アムロは再び独房に入れられているようだが、前回までとは事情が若干異なっているように見える。
前回まではアムロの身勝手さや意固地になっている様に問題性があったように見受けられたが、今回の焦点はブライトのようだ。
ハモンの演説
ハモン「よく準備をしてくれました。ガルマ様の仇討ち部隊として地球に降り立ったものの、我々はまだ任務を終わっておりません。一見小さな作戦ではありますが、敵は連邦軍の最新鋭戦艦とモビルスーツです。ジオンの国民は我々の戦果に期待しております。」
ハモン「(ランバ・ラルは私にもったいないくらい実直な男性だった。あんな心を寄せてくれた人の為によしんば、砂漠で散るのも後悔はない。)」
ハモン「この作戦に不服がある者は参加しなくとも、ランバ・ラルは怒りはしません、私もです」
タチ「その心配はございません、ハモン様。全員引かぬ覚悟であります」
ハモン「ありがとう。トルガン、頼みます」
トルガン「はっ、ハモン様」
ハモン「ミサキも頼みます」
ミサキ「はい、ハモン様」
ハモン「イリューシ、頑張ってください」
イリューシ「はい、必ず仇を」
兵士たちを前にハモンが演説をする。今回のハモン達の戦闘目的はいったい何だろうか。
冒頭でのタチとのやり取りではランバ・ラルの仇討ちを目的としているように見える。
その一方で、演説内容ではあくまでもガルマの仇討ちを果たし、ジオン国民の期待に応えることを目標として据えている。
表面的にはガルマの敵討ち、真の目的はランバ・ラルの弔い合戦といったところだろう。
演説の途中、ハモンの回想が挟まる。そこではランバ・ラルのために砂漠で散る覚悟が示される。やはりハモンの真の目的はランバ・ラルの敵討ちである。
演説後、タチが「全員引かぬ覚悟であります」といい、ハモンが兵士一人一人の名前を呼びながら、固く握手する。
ランバ・ラル隊の結束の固さが窺える。
野生の虎
リュウ「アムロの事だがな・・・」
ブライト「出す訳にはいかんよ。俺達が期待する態度を見せれば、あいつはまだまだ自惚れる」
リュウ「そ、そうでもないぜ。ね、ミライさん」
ミライ「ええ、でも規則は」
ブライト「野生の虎でも檻に入れておけば自分の立場がわかってくる」
リュウ「アムロが自分でわかるのを待つ訳か。言い逃れに聞こえるが」
ブライト「俺の言い逃れ?なぜだ?」
リュウ「人間にはな言葉があるんだ。俺の元気な内に・・・」
ミライ「リュウ、何を言うの?」
リュウ「ブライトはアムロとゆっくり話し合った事ないんだろ?それじゃあ虎はおとなしくにはならん。」
ブライトとミライが修理をしているところにリュウがやってきてアムロの扱いについて話す。
ブライトはアムロに対して厳しい態度で望まないとどんどんアムロが自惚れていってしまい、ますます扱いにくくなると考えている。
それをたとえて「野生の虎も檻に入れておけば自分の立場がわかってくる」という。
これに対してリュウは、もっとアムロと対話してはどうかとブライトに問いかける。
リュウのいうことももっともだ。言われてみれば、この間、アムロが脱走して、戻ってきて、独房に入れられている間、アムロとブライトが会話をしている描写はほとんどない。
2人の間を取り持っているのはもっぱらリュウで、アムロとブライトの直接的なやり取りはほぼなかった。
ブライトのようなやり方でわだかまりが解消する可能性もあるが、やはり時間がかかる。
リュウはブライトにアムロとの対話を促すが、実現に至っていない。その原因はおそらくはブライトにある。
前回、ブライトは「アムロがいなくなったとき、自分はとても不安だった」と本音を吐露していた。
ブライト「アムロがいない間、指揮者としての僕はひどく不安だったってことさ」(第20話)
アムロと直接対話した場合、「アムロがいなくて不安だったという自分の弱い部分を見抜かれしまうのではないか」、「そういう自分の弱みを見せてしまうとアムロは増長し、ますます扱いが難しくなってしまうのではないか」という懸念から、直接対話を意識的にか無意識的にか避けていたのかもしれない。
これをリュウはブライトの「言い逃れ」と見事に看破している。
アムロの心境の変化
リュウ「・・・俺の事はいい。な、お、お前ブライトがまた独房に入れたのを腹を立てて、いないのか?」
アムロ「僕が?ブライトさんの処置わかります。怒ってなんかいません」
リュウ「ならいいんだ。・・・ブ、ブライトがな、お前は野生の虎だっておっかながっているんだよ・・・お、おかしいだろ?」
アムロ「野生の虎ですか?」
リュウ「アムロ、期待しとるぞ」
独房内のアムロにリュウが話しかける。
これまでアムロはブライトの措置に対して反発し、「ホワイトベースを降りたっていい」などと発言していた。
ところが、ここでは「ブライトさんの処置わかります。怒ってなんかいません」と殊勝なことを言っている。
前回までかなり意固地になっていたアムロだが、ここにきて心境が変化してきている。
錐の戦法
タチ「錐の戦法です。昔から伝えられております最高の突撃攻撃法であります。第一波の攻撃を敵の最も弱いと思われる所に掛けます。ほかには一切目を向けずただ一点を抜く。我々の生還は不確実でありますが、間違いなく木馬を撃破する事ができます」
今回のハモンの作戦は「錐の戦法」(きりのせんぽう)である。タチの説明によれば、敵の弱点に攻撃を集中させ、一点突破を狙う作戦のようだ。
しかし、ハモンに残された戦力はホワイトベースを撃破するにはあまりにも少ない。
ザク1機、サムソン2機、マゼラトップを上部に設置したカーゴ、兵士は16人である。
「我々の生還は不確実」とタチもいうように、これは木馬と差し違える覚悟での特攻である。
戦闘開始!
タチ「絶好だ、木馬め」
カイ「うっ、て、敵か?うわっ!しまった!うしろからか!」
オスカ「敵襲だ!」
ブライト「どっからだ?て、敵は」
カイ「好きにさせるかよ!」
「ちぇっ、ザク1機でホワイトベースをやろうってのか、生意気言っちゃってー!」
ハヤト「ジョブ・ジョンさん、もっとスピードを上げられませんか?」
ジョブ「調子良くないんだ。この間の直撃食らったのがまだ直りきってないんだ」
ハヤト「カイさん!」
カイ「ザ、ザクだけじゃねえのか!」
ジョブ「だ、駄目だ、シャフトが折れてるらしい。エンジンはかかってるんだけど、ハヤト、どうする?」
ハヤト「ど、どうするって、ここからじゃ十分な援護ができない。あっ?」
いよいよランバ・ラル隊とホワイトベースとの最終決戦が始まる。
ザク1機が右後方からホワイトベースを襲撃。
これにカイのガンキャノンが対応する。
ガンタンクも援護しようと進行するが、キャタピラの調子が悪く、スピードがでない。
第19話でガンタンクはザクの砲撃を受けキャタピラを損傷し、行動不能となった。そのときの破損部分が直りきっていないようだ。
ここでザクに応戦するガンキャノンの前にサムソン2機が現れた。予期せぬ追加戦力にカイが「ザクだけじゃねえのか!」うろたえる。
そこに追い討ちのようにガンタンクが完全に動けなくなってしまった。ホワイトベースピンチ!
「責任は俺がとる!」
リュウ「そ、それよりもア、アムロを独房から出すんだ。責任は俺がとる!」
セイラ「わかったわ・・・その代わり、リュウはベッドにいるのよ」
リュウ「わかっている、セイラさん」
セイラ「ブライト」
ブライト「セイラ、どこにいるんだ?早くブリッジに上がれ」
セイラ「アムロの独房のドアナンバーを教えてください」
ブライト「なんだと?」
セイラ「今までリュウがここにいたのよ。彼が責任をとるからアムロの出動を」
ブライト「おせっかいが」
セイラ「私も責任をとるわ、教えてください」
ブライト「F36タイプだ」
リュウがアムロを独房から出すように提案する。
セイラがブライトに対し「リュウが責任をとるからアムロの出動を」と迫る。セイラ自身も「私も責任をとるわ」と覚悟を決める。
セイラの言葉にブライトもアムロを独房から出すこととした。
リュウとセイラが「自分が責任をとる」といってブライトに迫っているが、「責任をとる」といっても一体どうするというのだろう。
軍紀違反として自分達も独房に入るというのだろうか。そんなことをしてもホワイトベースの戦力が弱まるだけだし、人間関係も一層ぎくしゃくしてしまうだろう。何よりマクベの勢力圏内でそんなことをするのは危険すぎる。
結局のところ、ここで「責任をとるからアムロを独房から出せ」というのはブライトに対する強要・脅しである。
前回まではアムロの方が意固地になっていたが、今回はそうなっているのはブライトの方である。ブライトはまだ「アムロを出したらつけ上がるに決まっている。しばらくは閉じ込めておかなければ」と意固地になっている。
そんなブライトに対してリュウとセイラが「こんな危機的状況でいつまで意地はってんだ」と叱り付けているのがこのシーンである。
カイ「ううっ、ま、まだ新手がいるのか?」
ハモン「フフ、木馬め。案の定自由には動けまい。ランバ・ラル隊のしぶとさ、見せてあげよう」
前半パートのラスト、さらなる危機がホワイトベースを襲う。
これまでのザク1機、サムソン2機に加えてハモンのカーゴも接近してきた。
ガンタンクも動けず、援護も期待できない。果たしてホワイトベースの運命は!?
コアファイター発進
クルー「1、2、3番はまったく出力が上がりません!」
ブライト「構わん!ミライ、離陸しろ」
ミライ「了解!」
ホワイトベースの右エンジンの出力が上がらない。
ブライトは構わずミライに離陸を指示する。
ミライ「セイラ、ガンダムの発進は大丈夫ね?」
セイラ「は、はい、大丈夫のはずです。ガンダム発進どうですか?」
オムル「メカマンがみんな怪我をしていて修理が・・・」
アムロ「動けばいいんだ!」
セイラ「アムロ!」
アムロ「ともかく、コアファイターで出ます。修理中でガンダムにドッキングしていないんです」
セイラ「了解したわ、アムロ。ホワイトベースが発進するかもしれないけれど、いいわね?アムロ」
アムロ「大丈夫です!」
セイラ「ブライト、ミライ、コアファイター出ます。よろし?」
ブライト「やらせたくなくてもやるんだろ、セイラ」
セイラ「ブライトさん」
ブライト「ガンダムがなければ立ち向かえんというのに」
続いて独房から出たアムロ。現在ガンダムは修理作業中でコアファイターとドッキングしていない状態だ。そこでアムロがコアファイターでの出撃準備に入る。
セイラがブライトにコアファイター発進の確認をとるが、このときのブライトの返答が何ともガキっぽい。
「やらせたくなくてもやるんだろ」とは、先ほどリュウとセイラに迫られてアムロを釈放した(させられた)ことを根にもっているのだろう。
ブライトとしては本当はまだアムロを釈放したくなかったにもかかわらず、リュウとセイラに迫られてやむなく釈放した。
今度は、ガンダムではなくコアファイターでの発進許可をセイラに求められている。
ブライトはガンダムでの出撃を念頭に置いていたようだが、前回のランバ・ラルとの戦闘でクルーが多数負傷しており、ガンダムの修理が追いついていないのであるから、こうした措置もやむを得ない。
しかし、意固地になっているブライトにはガンダムでの出撃が叶わないことに「もう勝手にせぃ」と言わんばかりの態度である。
ブライトはいつまでこのような態度を取り続けるのか。
カイ「ザクの野郎!俺だって、俺だって前の俺とは違うんだ!引かねえぞ、引かねえぞ!」
ガンダムが出撃できず、ガンタンクも動けない。孤軍奮闘中のガンキャノンだが、カイの働きが立派である。
普段冷笑的で不真面目な態度をとっているカイが、「引かねえぞ、引かねえぞ!」とザクとサムソンを食い止める。
カイがガンキャノンで初出撃したのが第8話のことである。このときも「俺だって、俺だって」といいながら奮戦していたが、同時に反ベソもかいていた。
その頃に比べたらかなりの成長である。見事な働きだ。
アムロ「これ以上ホワイトベースに触らせるものか!」
コアファイターが出撃し、カイの援護を開始。ホワイトベースも離陸した。これで敵の攻撃を凌ぎ離脱できると思われたが、ホワイトベースが山の稜線に引っかかってしまった。
ブライト「ガンタンクが故障だと?ミライ、ホワイトベースはこのまま動けんのか?」
ミライ「浮力がつきません、ハイパーマグネットが」
ブライト「ガンダムパーツを発射しろだと?アムロが言ったのか?」
ホワイトベースは浮力が足りず、離陸できない。ガンタンクはキャタピラの故障で動けず無力化している。
アムロからガンダムパーツの射出要請が来ているが、ブライトは心情的に抵抗があるようだ。
問題山積のホワイトベース。ここで再びリュウが動き出す。
リュウ出撃
クルー「リ、リュウさん、どうするつもりなんですか?」
リュウ「ガ、ガンタンクを動かさにゃならん・・・」
リュウ「ホワイトベースが引っ掛かってくれなけりゃ、こ、こんな事もできなかったところだ・・・」
リュウがバギーでホワイトベースから出る。さきほどホワイトベースが稜線に引っかかってくれたおかげでバギーで外に出ることができた。
リュウの向かう先はガンタンク。このあとリュウは無事ガンタンクまで到着し、ガンタンクからコアファイターを分離するわけだが、そのあたりの経過はラストシーンで回想という形で描写されている。
ガンダム出撃!
アムロ「ようやく1機か。まったく出遅れた」
オムル「アムロ、ガンダムパーツの発射ができそうだ、いいか?」
アムロ「やってください、コアファイターの弾は撃ち尽くしました!」
アムロがコアファイターでサムソンを1機撃墜。しかし、コアファイターに残弾はない。
このタイミングでようやくガンダムとのドッキングの準備が整った。
いよいよガンダムの出撃だ!
ガンダムパーツとのドッキングを済ませた直後、ビームライフルで早速サムソンを撃墜。
続いてザクを狙う。
しかし、ザクがホワイトベースにとりつき、右側エンジンをヒートホークで破壊しにかかる。
アムロ「し、しまった、狙い撃ちはできても、ここからじゃホワイトベースまで傷つけてしまう。格闘戦に持ちこむしかないのか!」
ザクに接近しようとするガンダム。そこに邪魔が入る。ハモンのカーゴだ。
ハモンのカーゴに狙いを定めるガンダムだが、ここでアムロがあることに気づく。
アムロ「ん?待てよ、これは特攻するつもりじゃないのか?とすれば、あの中は爆薬で一杯のはずだ。だ、駄目だーっ!!」
ガンダムがカーゴを力尽くで抑え込みホワイトベースへの接近を必死に阻止しようとする。
ハモン「・・・特攻させぬつもりか?小癪な!」
ここで、アニメでは少々分かりにくいが、カーゴの上部に設置されていたマゼラトップ3機がカーゴから離脱している。
ハモン「フフ、ガンダム一機でそれが止められるものか。木馬にぶつかればその中の爆薬・・・タチ、ガンダムをうしろから倒しておしまい!」
カーゴを抑えるのに精一杯のガンダムの後方からザクが攻撃を仕掛ける。
目の前には爆薬満載のカーゴ、空からはマゼラトップ、後ろからはザクが襲撃してくる。
ホワイトベースはエンジンの故障のため逃げられない。ガンダムがやられてしまえばカーゴがホワイトベースに激突しホワイトベースは撃墜されてしまう。ホワイトベース大ピンチ!
ここでアムロのスーパープレイが飛び出す。ザクを片手で上空へ投げ飛ばし、マゼラトップにぶつけてしまった。これは反則級。
しかし、カーゴとマゼラトップ2機がまだ残っている。ここで後方からハモンのマゼラトップがガンダムを捉える。ここまでか・・・!?
リュウの最期
フラウ「撃ちましょうか?」
ブライト「マゼラトップだけを狙える訳がないだろう」
ハモン「いくら装甲の厚いガンダムといっても、これだけ近ければ持ちはすまい。そしてガンダムとカーゴの爆発力は木馬をも・・・」
アムロ「ハ、ハモンさんか?」
ハモン「ほんと、好きだったよ、坊や・・・」
アムロ「うわっ!」
ハモン「これでおしまい、・・・ああっ!」
ハモンが笑みを浮かべながらガンダムに最後の攻撃を仕掛ける。
忘れてはならないのは、ここでガンダムを撃破すればハモンのマゼラトップもカーゴの爆発に巻き込まれてしまうことである。
「これでおしまい」なのはガンダムだけではなくハモンも同じだ。
ハモンのマゼラトップの向こう側からコアファイターが接近してくる。
リュウ「うああーっ!!!」
リュウの乗ったコアファイターがハモンのマゼラトップに体当たり攻撃!
みごと撃墜することに成功。
すかさずガンダムがカーゴの片方のエンジンを破壊し、ホワイトベースから離れたところを狙撃して大爆発。
残ったマゼラトップもあっさり撃墜。戦いは終わった。しかし…。
リュウの死が残したもの
ジョブ「ぼ、僕が殺しちゃったんです、ぼ、僕が、僕が・・・」
アムロ「違いますよ、やめてくださいジョブ・ジョンさん。僕だってそうです、ハヤトだってそうかもしれない。み、みんな、みんな、みんなが!みんなが!」
ブライト「アムロの言う通りだ。・・・我々が・・・我々が未熟だった為にリュウを殺し、何人もの仲間を・・・」
ブライト「か、勘弁してくれ、リュウ、勘弁してくれよ。な、お、俺達こ、これからどうすりゃいいんだ?え?リュウ、教えてくれ。教えてくれんのだな・・・もう・・・」
セイラ「・・・ブライトさん、やめましょう。ジオンを倒すしかない。戦争が終わるしか」
アムロ「そ、そうさ、そうですよ・・・。それしかないんですよーっ!!!それしかないんですよーっ!!」
クルーがそれぞれに泣きじゃぐりながら、自分のせいでリュウを死なせてしまったのではないかと自責の念に駆られている。
ランバ・ラル隊との戦闘の中で多くのクルーが死んでいった。特に前回のホワイトベース内での白兵戦での被害は甚大である。
こうした未曾有の危機にありながらも今一つまとまりにかけたホワイトベースのクルー達。それぞれがそれぞれの思惑で行動し、そうした身勝手な行為の積み重ねがホワイトベースを危険に晒していたのだ。
その中でただ一人リュウは、ばらばらになりつつあったクルー達をつなぎ止めようと奔走していた。孤軍奮闘していたリュウがホワイトベースの絶体絶命の危機を身を挺して救ってくれた。
ホワイトベースのクルーたちには相当堪えるだろう。やはりこれくらいのことがなければ人はまとまれないのかと思わされる重いシーンである。
唯一の希望があるとすれば、クルー皆がそれぞれに自分たちの行動を心底省みていることだ。そして「こんな戦争をさっさと終わらせなければ」と自分たちの置かれた状況に目を向けている。
第21話の感想
リュウの壮絶な最期だった。
ここに至るまで、数話かけてホワイトベース内のリュウの立ち位置が丁寧に描かれていた。アムロの脱走を受けて、徐々にバラバラになっていくホワイトベース内のクルー。そんな中、リュウだけはなんとかみなの心を繋ぎ止めようと奔走していた。
ハヤト達が脱走した時もそれを追いかけたのはリュウだった。ブライトも「リュウ頼む」といってリュウに頼っていた。今回も重症の体を引きずるようにしながらアムロとブライトの関係を取り持とうと方々を説得して回っていた。
ホワイトベース内の誰もがリュウに甘えていたのだ。
そのリュウがいなくなったホワイトベース。リュウの死を無駄にしないためにもホワイトベースには奮起を期待したい。
リュウの死のインパクトに隠れ気味だが、ハモンの覚悟にも言及しておきたい。
ハモンのマゼラトップがガンダムの後方に回り込み、砲撃するシーン。
「ガンダム絶体絶命のピンチ!」だが、同時にハモンの命も危険にさられている。
爆薬を満載したカーゴを抑え込んでいるのはガンダムである。そのガンダムが破壊されれば、カーゴの進行方向正面にいるハモンも無事では済まない。間違いなく死んでしまう。
つまりハモンにとってガンダムを攻撃することは自殺行為に等しい。
その覚悟があったからこそ、あそこまでガンダムを追い詰めることができた。これまでのお話の中でもっともガンダムが窮地に立たされたシーンといってよいであろう。
さて、ランバ・ラル隊との戦闘は今回で終焉を迎えた。オデッサ作戦までの当面の敵はマクベである。次回はマクベ本隊との戦闘のようだ。リュウの死を受けて変わったホワイトベースをぜひ見せて欲しい。
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