Dockerイメージに使うにはDebianかUbuntu、どちらが良い?
Dockerイメージを作成する際、ベースイメージの選択は重要な決定の一つです。ちょっと前まで、UbuntuよりもDebianの方が軽量だ、と言う認識のまま今に至っていましたが、改めて調査してみました。
DebianとUbuntuの概要
まずは、DebianとUbuntuについて簡単におさらいしましょう。
Debian
1993年に開始された歴史あるディストリビューション
安定性と信頼性に定評がある
保守的なアプローチで、パッケージの更新は慎重
Ubuntu
2004年に登場し、Debianをベースに開発された
ユーザーフレンドリーさを重視
最新のソフトウェアとの互換性に注力
Dockerイメージとしての比較
では、Dockerイメージとして使用する際の両者の特徴を比較してみましょう。
1. イメージサイズ
イメージサイズは、Dockerを使用する上で重要な要素の一つです。
一般的に、Debianの方が小さいイメージサイズを誇ると言われていますが、実際にはバージョンやアーキテクチャによって異なります。
以下の表は、UbuntuとDebianのイメージサイズの比較です。
古いバージョン(特に16.04 / jessie)では、Debianが明らかに小さいイメージサイズでした。
UbuntuよりDebianの方が小さいサイズ、と言う認識でしたが、
最新のバージョン(22.04 / bullseye)では、アーキテクチャによってはサイズが逆転していますね。こりゃすごい。
2. パッケージの更新頻度
Debian: 安定版は長期間変更がなく、セキュリティアップデートのみ
Ubuntu: 6ヶ月ごとの定期リリースと、長期サポート(LTS)版の提供
Dockerイメージを頻繁に更新したい場合はUbuntuが、長期的な安定性を重視する場合はDebianが適してそうです。
3. ソフトウェアのバージョン
Debian: 比較的古いが安定したバージョンのソフトウェアを提供
Ubuntu: 最新のソフトウェアバージョンを提供する傾向がある
最新の機能や互換性が必要な場合はUbuntuが有利ですが、安定性を重視するならDebianが良いでしょう。
4. コミュニティとサポート
Debian: 技術的な深い知識を持つユーザーが多い
Ubuntu: 幅広いユーザー層と豊富なドキュメント
Ubuntuの方が初心者向けの情報が豊富ですが、Debianも根強いコミュニティがあります。
5. セキュリティ
Debian: セキュリティに対する厳格なアプローチ
Ubuntu: 迅速なセキュリティアップデートの提供
両者ともセキュリティには十分な注意を払っていますが、アプローチが異なります。
Debian セキュリティ情報 | Ubuntu セキュリティ情報
どちらを選ぶべきか?
結局のところ、イメージサイズの優位性がなくなった現状
DebianとUbuntuのどちらを選ぶかは、プロジェクトの要件や個人の好みによって変わってきそうです。
と言うことで、以下のような点を考慮して選択すると良いでしょう。
Debianを選ぶ場合
極めて安定したシステムが必要
最小限のイメージサイズが重要
長期的な一貫性を重視
セキュリティに対する厳格なアプローチを好む
Ubuntuを選ぶ場合
最新のソフトウェアバージョンが必要
広範なコミュニティサポートを活用したい
頻繁なアップデートを望む
初心者にもフレンドリーな環境を求める
まとめ
DebianとUbuntuは、どちらもDockerイメージのベースとして優れた選択肢です。
プロジェクトの要件、開発チームの経験、必要なソフトウェアのバージョン、ターゲットのアーキテクチャなどを総合的に判断して、適切な方を選びましょう。
また、どちらを選んでも、以下の点に注意することが重要です。
セキュリティアップデートを定期的に適用する
不要なパッケージは削除し、イメージサイズを最小限に保つ
マルチステージビルドを活用して、最終的なイメージサイズを削減する
プロダクション環境では、具体的なバージョンタグを使用し、latestタグの使用を避ける
以上