1096_良心に従う
「この花、綺麗だね」
「でしょ。芍薬の花。すごく綺麗ない花よね」
「花がある暮らしって、丁寧な暮らしって感じ」
「丁寧な暮らしねえ。何が丁寧なのか、よくわからないけど。日本人の憧れてる丁寧な暮らしって、また違うわよね。ヨーロッパの田舎暮らしみたいなのかしら」
「ヨーロッパだと、丁寧な暮らしって、英語でなんていうんだろう」
「丁寧な暮らしはね、ええっと、今ググったら、polite lifeとか、mindful lifestyleとか…」
「mindful?まあ、確かにそれもあるかもしれないけど」
「あ、こっちなんじゃない?a conscientious lifestyle。conscientiousってあんまり聞いたことないけど…」
「conscientiousは、自らの良心に従った、っていう意味になるんじゃない」
「つまり、自らの良心に従った暮らしが、丁寧な暮らしってことね、なるほど」
「丁寧な暮らしって、無印良品みたいな感じのライフスタイルなんじゃないの」
「あれは商業的にされすぎでしょ、あれはビジネス「丁寧な暮らし」だから。本当に丁寧な暮らしって、自らの良心に従った暮らしってことなんでしょ」
「自らの良心に従った暮らし…。それって、どんな暮らしなんだろう」
「良心に従うって、まずその良心自体がなんなのか、そもそもそこからなんじゃない」
「確かに仰るとおり。それがわからないと、何が丁寧なのかどうかもわからないよね」
「良心に従う、か。なるほどね」
「あら、そんなにその言葉が響いた?」
「それなりにね」
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