1258_ターゲット

「係長、至急で新しいメンツ揃えろ、って上から言われてたんですよね」
「そう。察しがいいね」
「こんな時期になんなんすかね。新しいミッションがまた上から降りてくるんですか」
「わからん。俺らには窺い知れない部分だからな」

「ええっと、『男子高校生の火炎使いの能力者4名　期限は11月末まで』だいぶ指定が細かいですね。高校生で能力者とか…。いったい上はこいつらに何をさせる気なんです？」
「わからん。高校生の縛りを考えると潜入任務か、なんかだろうな」
「つっても、11月末までの期限だとすると、だいぶスケジュールがタイトすぎやしませんか。そんな簡単に条件の合う子らをスカウトできるとは思えませんぜ」
「わかっている。だから、上ももう目星をつけているそうだ。ほれ」

「なんなんですか、その漫画の冊子」
「最近の上からの伝達方法の一環だそうだ」
「はい？」
「その漫画の登場人物の名前にマーキングしてあるだろ」
「ええっと、ワタナベツネユキ、クハラカズユキ、あと」
「トノマスグルと、ヒヤマショウタ。その漫画に書いてある男子高校生4名がそのスカウト対象のターゲットだそうだ」
「なんで、それをわざわざ漫画にしてうちによこしてくるんですか」

「最近の上のやり方はよーわからん」
「まさか、このターゲットは本当に単なる漫画の登場人物なんじゃないですよね」
「そうではないことを祈ろう」
「はあ。次はビックリマンシールとかにしてターゲットを指定してきやしないですかね」
「その可能性はゼロとは言えないな」