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『神々の山嶺』を読んだオタク

この前kindleでふと見ちゃったからなんとなくポチって読み始めたんですけど、面白すぎてあっというまに読み終わっちゃったんですよ。

カトマンドゥの裏街でカメラマン・深町は古いコダックを手に入れる。そのカメラはジョージ・マロリーがエヴェレスト初登頂に成功したかどうか、という登攀史上最大の謎を解く可能性を秘めていた。カメラの過去を追って、深町はその男と邂逅する。羽生丈二。伝説の孤高の単独登攀者。羽生がカトマンドゥで目指すものは?柴田錬三郎賞に輝いた山岳小説の新たなる古典。

「BOOK」データベースより

「いやまずカトマンドゥってどこだよ」とか「ジョージ・マロリー」って誰だよって話だとは思うんですけど、そこは漫画を読んでくれみんな。絶対引き込まれるから。
※ジョージ・マロリー…の登山家。1920年代のエベレスト遠征隊に参加。「なぜ、あなたはエベレストに登りたかったのか?」と問われて「そこにエベレストがあるから(Because it's there.)」と答えたという逸話は有名

しばしばネタになることとして、さすが谷口ジロー先生の作画というべきか、食事シーンがうまそう!って下記の画像がよくネットにあがってると思うんですよ。確かにこのシーンだけ単独で切り取ったらめちゃくちゃ美味しそうって思うのはわかるし、僕も本編を読む前はそう思ってました。

うまそう

ただ、実際に本編を読んでると、ネットにでてくる食事シーンって物語のクライマックス付近で出てくるんですよね。ネタバレになるんであまり書けないんですけども、『孤独のグルメ』のような日常で「ちょっと飯を入れる」ようなものじゃなく、命を懸けたシチュエーションで彼らは食事をしている。

何言ってんだこいつ

神々の山嶺の一つの物語の骨子としては、主人公である孤高のクライマー、羽生丈二の人生と、実在の登山家であるジョージ・マロリーがエベレストで消息を絶った際、彼が人類初のエベレスト登頂を成し遂げたのか?という山岳界における一大論争テーマ、および彼が遺したかもしれないカメラには何が映っていたのか…?といった山岳ミステリーとして非常に面白いものなんですが、そのミステリー要素と、谷口ジロー先生の重厚な絵で物語が進むので非常に漢臭い話に仕上がってるんですよ。僕含めたライトな読者層は谷口先生の絵でどうしても『孤独のグルメ』を連想しちゃうから、漢臭いストーリーで面食らうと言うか…。

ともあれ、間違いなく面白いです。全巻揃えるとそこそこのお値段にはなりますが、読後感はコース料理を食べたかのような満足感を得られること請け合いですよ。



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