最近の記事

Boss the MC (Ill-Bosstino)氏へのオープンレター

※本投稿は 2024年6月24日のBoss氏のツイッター(X)上での投稿を踏まえた記録用です。 私Genaktion(Gen Daniel Bell-Ota)はアメリカ東部在住のラップファンです。2021年頃まで東京でヒップホップに関する原稿の執筆やラジオ番組などへの出演をしていましたが、ほぼ無名です(2020年にラップに関する単著を上梓しました)。先日貴殿のライムに関してのご発言をツイッター(X)で拝見し、不躾にもメンションした者です(その節は大変失礼いたしました)。

    • Rhymester Mummy-D氏に対する批判動画まとめ

      RhymesterのMummy-D氏が2008年ごろから発信・拡散している韻不要(軽視)論について、英語詩的観点から批判しています。 地球の裏側から見た極東のラップ界とその現実(1:22:40辺りから) https://www.youtube.com/live/Ys5Kjcl-evU?si=DZfns4hfwPjq2Q5e&t=4960 「Rhymester」というグループ名についての見解の補足 https://www.youtube.com/live/oE9noTIJh

      • 河出書房 『DJプレミア完全版』 とWikipediaの不可解な相似について

        ※ 2/10 更新、引用画像のページ番号など追加、直接本稿で言及している部分と関係のない箇所はトリミングしました。 ※2/25 更新、追記を追加しました。 はじめに 先月26日に『DJプレミア完全版』(DAWN編)という書籍が河出書房新社より発表された。あいにく筆者は現在米国在住のため、入手が難しい和書にあまり興味を抱いていなかったのだが、ネット上の反応を見聞きするとなかなか厳しい内容になっているようだ。特にDJたちの評判が芳しくないようで、今回とある義憤に駆られたDJ

        • 『Get Hype!』刊行に寄せて

          北陸有数、というよりもはや世界的なラップレコードのコレクターであるKoichiro氏が自身のコレクションを元にしたビジュアルアート集を来月5日に発表する。その名も『Get Hype! - A Collection of Hip Hop Ads, Promo Kits & Records』。タイトルの「Get Hype」は掛詞になっていて、そのまま「盛り上がれ(Get Hype)」という意味の俗語的表現と、「広告=Hype」を取り上げたアート集であるということがここで表現されて

        • Boss the MC (Ill-Bosstino)氏へのオープンレター

        • Rhymester Mummy-D氏に対する批判動画まとめ

        • 河出書房 『DJプレミア完全版』 とWikipediaの不可解な相似について

        • 『Get Hype!』刊行に寄せて

          なんでそんなに

          “なんでそんなに英語を使ってやんのが好きなの? そりゃなんでも自分の言葉を使わなすぎだろ” この2行は、最近新曲の発表やネット上の論壇などで世間を賑わしているキングギドラのメンバーの曲「なんでそんなに」に登場するラインだ。 2004年発表の曲だが今も変わらず適用される内容であるため、引用した。 (なお、本稿はキングギドラに対する論評ではない) この曲がリリースされた当時は、「バイリンガルラップ」と呼ばれる日本語・英語が混交したラップが全盛期で、同曲は「ちゃんぽん英語」とい

          なんでそんなに

          2022年の身辺変化と雑感

          2022年もあとわずかとなったので、忘れないように今年訪れた変化とその雑感を記録しておきます。 ●移住 かれこれ十数年東京在住だったのだが、2022年11月に家族で米国の東の方に移住した。今はやっとクリスマス行事が落ち着き、のんびりこれを書いている。 ●2022年のアメリカ 〜フロント側のライセンスプレート消失〜 十数年ぶりに米国に住んでみてまず驚いたのは、フロント側のライセンスプレートが撤廃されていたこと(私の住んでいる州だけかもしれないが)。つまり、往来を行き来して

          2022年の身辺変化と雑感

          あの頃のヒップホップは

          私が夢中になった90年代初頭のヒップホップ/ラップミュージックでは、いつも誰かが“痛み”を表現していた。 Tragedyのシングル曲"Grand Groove (Remix)"は冒頭で自分の人生を(産まれた時の記憶があるという詩的な演出込みで)振り返りながら、今はなきストリートの仲間たちや家族へ捧げたメッセージが展開されてゆく。 同じく彼のシングルヒット"Street Life (Return of the Life Mix)"は、シングルマザーとなった少女の悲劇や、スト

          あの頃のヒップホップは

          泉山真奈美さんの論評者の訳詞を論評してみた

          先日訳あって泉山真奈美さんのことを思い出していた。90年代初頭から後半にかけて活躍されていたライター/翻訳家の方で、当時ラップやR&Bなどのジャンルを追っていた向きには馴染み深いお名前ではないかと思う。私も彼女の諸作にはお世話になっていて、特に彼女が対訳を担当したPublic Enemyの『Singles N' Remixes 1987-1992』は思い入れの深い作品である。 実は泉山さんとは2013年頃にツイッター上で交流があり(といってもフォロー関係にあった程度だが)、

          泉山真奈美さんの論評者の訳詞を論評してみた

          『インディラップ・アーカイヴ』出版記念2 ダースレイダー×荏開津広×Genaktion鼎談 「インディラップの魅力を語り尽くす」 (オンライン)

          2020年11月27日(金)にDU Booksより出版された『インディラップ・アーカイヴ』。本書の出版記念第2弾となるイヴェントが12月22日(火)に決定いたしました。好評を以って迎えられた第1弾に引き続き、今回も京都精華大学講師の荏開津広氏をお招きし、ヒップホップの魅力について存分に議論する機会としたいと思っておりますが、第2弾となる今回はなんと、スペシャルゲストとしてラッパー/MCのダースレイダー氏のご参加が決定いたしました!  ダースレイダー氏といえば、近年はアーティ

          『インディラップ・アーカイヴ』出版記念2 ダースレイダー×荏開津広×Genaktion鼎談 「インディラップの魅力を語り尽くす」 (オンライン)

          「インディラップ・アーカイヴ」内容のご紹介 (第2章:最盛期)

          先週公開しました第1章:序章の告知記事に引き続き、11月27日(金)発売の拙著『インディラップ・アーカイヴ もうひとつのヒップホップ史:1991-2020』に関する簡単な内容のご紹介をさせていただきます。今回は次章となる「第2章:最盛期」について。こちらは1997年〜2004年に発表されたアルバム作品を取り上げた章になっておりまして、本書における中核となる章です。 上記は発売元であるDU Booksさんの公式ページに掲載されているサンプル紙面なのですが、本稿のテーマである「

          「インディラップ・アーカイヴ」内容のご紹介 (第2章:最盛期)

          書籍出版のお知らせと内容のご紹介 (第1章:序章)

          先週よりツイッターなどで告知をしているのですが、この度DU Booksさんから『インディラップ・アーカイヴ もうひとつのヒップホップ史:1991-2020』という書籍を出版することになりました。これまで雑誌などへの寄稿記事や自主出版などを中心としてきましたが、初めて自身名義の書き下ろし単行本となります。今年一年集中して書いた一冊になりますので、是非ともおめ通しいただけますと幸いです。発売日は11月27日(金)です。 内容など本書は現在DU Booksさんの公式ページで試し読

          書籍出版のお知らせと内容のご紹介 (第1章:序章)

          『インディラップ・アーカイヴ』出版記念 荏開津広×Genaktion対談 「ヒップホップの今とこれから -現代のラップとアメリカ-」 (オンライン)

          ヒップホップが誕生してからおよそ半世紀。2020年代の幕開けとなる本年は、年始となる1月末の新型コロナウイルス感染症拡大により、激動の一年となりました。人々の生活様式は刷新、移動は制限され、ニューノーマルという「非接触」のコミュニケーションが主流となった本年。北半球ではこれから本格的な冬の到来を迎え、まだまだ感染症対策は予断を許しません。 そんな鬱々とした2020年ではありますが、年度最後に素晴らしい企画が実現しました。ヒップホップジャーナリズムの分野で長年ご活躍され、現在

          『インディラップ・アーカイヴ』出版記念 荏開津広×Genaktion対談 「ヒップホップの今とこれから -現代のラップとアメリカ-」 (オンライン)

          名と実の乖離

          最近外国出身者に日本の政治システムの説明をしなければならないことが増えた。例えば、 「日本の与党の名前って何?」というような質問。 私はとりあえず"It's called the Liberal Democratic Party"とかなんとか返答するわけだが、自分でそう発言しておいて、自分の言葉に耳を疑うばかりだ。なにせ、この"Liberal Democratic Party"という字面、とてもじゃないが私の知っている「自民党」とは程遠い。 日本という枠組みの外で、日本

          名と実の乖離

          見えている世界の違い?

          Shing02氏というMC/アーティストがいる。90年代半ばごろからLiving Legends周辺やレーベルMary Joyで活躍していた方で、近年ではNujabesとのLuv. Sicプロジェクトで有名じゃないかと思う。先日たまたまネットを眺めていたら、突然彼に対する批判が集まっていた。どうやら下掲のツイートが原因らしいので、スクリーンショットを載せておく(4月23日保存)。 彼のTLを追ってみたら、どうやら彼は、何日間か、今般の新型肺炎問題への声明を熟考の上、上掲の「

          見えている世界の違い?

          人民と臣民

          連日日本のニュースを読んでいる(観ている)と、頭がおかしくなりそうになる。色々時勢に関して言いたいことが溜まっているのだが、誰にも需要がなさそうなので具体的な言及はやめておくとして、やっぱり自称アメリカかぶれ(https://note.com/genaktion/n/n0783447a41e4)としては、これら極東社会の問題の本質は「integrityの欠如」にあるのじゃないかと思うより他にない。 integrityという言葉は、おそらく日本語訳はないと思う。よく「誠実さ」

          人民と臣民

          "日本独自のやり方"を誇るときは…

          世間を賑わせているコロナ禍。おかげで我が家の生活も一変した。まず、以前より圧倒的にニュース(TV)を観るようになった。私はもともと映像よりも自分のペースで読み進められる活字が好きなので、ニュースは大体電子版の新聞で追うことが多いのだが、こと新型コロナ関連においては、テレビを見ていた方が手っ取り早い。最近はHuluのリアルタイム動画で、BBCとCNN(Huluの日本アカウントのCNNはなぜか同時通訳が入るのだが、あれ需要あるのか?)、YoutubeでABCなどが観れるようになっ

          "日本独自のやり方"を誇るときは…